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「あれ?この怪我は?」 リトルはトリルを部屋に案内して、大柄な湯船に二人で入っていた。 「これ?これはね…私が始めてココに来た時にね……」 リトルは静かに話を進めた… その日、膨大な書物の管理を任せるべく、パチュリーは召喚魔法を空き部屋にて行っていた。 「さて、どんな奴が召喚されてくるか楽しみだ……」 彼女の友人、レミリアは小さく呟いた。彼女は立会い、とゆう名目で呼ばれていた。パチュリーの話によると強力な悪魔の眷族が協力すればソレ相応の使い魔が召喚される。とゆう事だった。 そして、召喚魔法が成功し、その衝撃で室内がやや被害を受けるも、その程度ですんだ。 「……コイツはとんだまがいものだ」 レミリアは召喚陣の上で一糸纏わぬ姿で気を失っている悪魔の少女を見て言い放った。 「そんな言い方はないでしょうに。本の整理と管理さえしてくれれば私は満足だし」 パチュリーもそんな反応しかしていなかった。ソレもそのはず。彼女は悪魔になりきれなかった悪魔。 小悪魔族 なのだから。小悪魔…悪魔の下級種族として位置する彼女は魔界でもいいように扱われていない。しかも彼女は悪魔としてもまだまだ幼い。 「……咲夜。いるのでしょう?あと宜しく。パチェはどうする?」 レミリアの科白に溜息を吐きながらパチュリーは 「そうね…今日明日は…仕事無しにしておくし……行きましょうか…」 最初にレミリアがドアを潜り、パチュリーが続く。 「そうだ…貴方とあの子……過去は同じみたいね…」 擦れ違いざまにパチュリーが咲夜に告げた… 「同じ?」 「生き物としてすら見られていなかったみたいね…あの子」 咲夜は目を伏せながら 「なら、私より酷いですね…私は…」 「そう…なら任せるわ。明後日には仕事があることも伝えておいて頂戴」 パチュリーはそう言って廊下の奥へと姿を消した。 「……起きましたか?」 ユックリと起き上がる少女に歩み寄り、その部屋にある毛布を背中に背負わせる 「はい……私は…」 咲夜は少女の言葉を待つ… 「私は…リトル……です…けど……」 召喚魔法とはやはり疲れるのだろうか…少女の言葉がたどたどしい… 「……ごめんなさい…」 咲夜はリトルを抱え、先の衝撃でやや傾いたベッドへと寝かせた… 「なぜ謝るの?何もしてないじゃない。寧ろ私が謝るべきだと思うのだけど?」 咲夜は出来る限り優しく接する。 「だって……」 そして、咲夜は小さく言葉を繋げる 「だってじゃない…。貴方は私達と同じ命なのだから……」 いつか…咲夜が母に言われた科白……まさか自分が悪魔の少女に言う事になるとはあの時は夢にも思わなかっただろう… 「まってて。私のお古で良ければ渡すけど?」 「結構です……だって私は道具なのだか…」 リトルがそこまで言った時には乾いた音が響いていた。咲夜がひっぱたいたのだ…。 「ここでそんな風に思う人はいない!」 リトルは小さく、はい。とだけ答え、咲夜の指示に従ったのであった…。 そして、翌日。リトルは大きな扉の前にいた。その重圧さにリトルは脚を震わせながらもユックリとノックした コンコンッ 無機質な音が廊下に響いた…そして中からは透き通った美しい声。しかしその声の中には威厳が見え隠れしている 「どうぞ」 の声……。 「し、失礼しますっ」 扉を開け、深々と頭を下げるリトル…そして両手で静かに扉を閉める…その様子はさながら面接のようだった。 「まぁ、座って。色々聞きたいことがあるからね…」 リトルは肩を震わせながら言われた通りの椅子に腰を下ろす… (ほ…本来なら……お目通しすら許されない方が目の前にぃ 死にたくない!) リトルの様な下級種族が吸血鬼…悪魔の眷属にお目通しが許されるはずもなく。実質上、リトルは生まれて初めてレミリアに逢う事となる。 「……聴いてた?」 「え、えええええぇぇ。まぁ……」 (聞き逃した!こ、殺されるぅ!) 「で…やっぱり聞いてない!」 「ご、ごめんなさいぃ! こ、ころ…殺さないでぇ!」 泣きながらリトルは椅子から降りて土下座姿勢になる…… 「ふっ……良い事を言ってやる。お前は殺すに足りん。殺す価値もない。殺して欲しければ私にその価値を見せてみろ」 レミリアは鼻で笑った後、号泣しているリトルに問いかける 「価値……」 未だ泣き声のままのリトルはレミリアの目を見る… 「悪魔が示す価値としたら。コレだろう?」 レミリアは手の平に光球を生み出す。リトルはソレを見て慌てて土下座姿勢から逃げ体勢に移行する。 「あら?逃げるの?脚の速い…」 リトルはその自慢の(?)逃げ足で扉を目指す!しかし、放たれたそれ、を背中で感じ取り、住んでの所で体を翻し、かわす。左の翼が少しばかり焦げ、激痛が走るも扉を目指した。 「甘く見ていたわ…まさかソレを避けるなんてね。自信があったんだけど…」 リトルは一旦左へ逃げ、急激に右へを旋回し、レミリアの目の前まで一気に移動する。 「なっ」 レミリアは思わぬ行動に思わず声が出た。まさか目の前まで移動してくるとは! 「私は死にたくない!死にたくない!!」 その涙ながら零距離での渾身の攻撃も、レミリアには効果がなかった。 「…まだまだ、だな」 レミリアはその腕を掴み扉に向かって放り投げる。その無防備になった所に攻撃を加える予定だった。そう、だった。 「きゃぁ!」 リトルが悲鳴をあげる…しかしレミリアは追撃をしなかった。その投げた手が若干ではあるものの、焼けていた。 「……成る程。流石は私の血で召喚されただけある…名を聞こうか、小悪魔よ!」 レミリアが腕を掴んだ瞬間、リトルは攻撃をその腕に集中させたのだ。流石にこの状態ではレミリアといえど防ぎようがなかった。 「り……リト、ル…」 崩れた扉の上からユックリと立ち上がろうとするリトルを支えたのはなんとレミリアだった。 「さすが、としか言えないな…明日からパチェ…パチュリー・ノーレッジの所で仕事が始まる…今の内に休んでおけ」 リトルは小さく 「有難う御座います」 礼を言う 「運んでやろうか?」 「結構ですよ。自分でいけます」 自室にフラフラと自力で戻っていった。 「へぇ、す、凄いね?」 トリルはリトルに寄り添う。その瞬間 「格好良かったわよ?あの時は」 え……その声はまさか… 「パチュリー様に……レミリアお嬢様!」 リトルは思わず声を上げるも、レミリアは 「正直、嘗めていたよ。お前は強い。自信を持てばそれは力になる」 レミリアが湯船につかる…このお風呂場には特殊魔法が施されていて、レミリアも、妹様も何の支障もなく利用することが出来る 「リトル……格好良いんだぁ」 と、トリルは呟きながらリトルの腕にしがみ付いた。 |