戻る

初めての友達


    それは先日のこと。
    「小悪魔、このメモにある薬草を摘んできて頂戴」
    パチュリーに手渡されたそのメモを手にし、小悪魔は内容を確認する。
    「……どこに行けば採れますか?」
    そして小悪魔は、机に常備してある羽ペンを手に言葉を待つ。
    「…湖の畔にある筈よ。―――それと」
    メモを上下に揺らし、インクを乾かしていた小悪魔の手が止まる。
    「大妖精には気を付けるように。妖精の中でも力が強いから、貴方でも……勿論私でさえ道に迷わせれるわ……」
    パチュリーは一切本から目を離さなかったが、声は真剣だった。
    「はい。ご忠告有難う御座います」
    メモには3つの薬草が描かれていた。


    ---2時間後---

    「うーん、迷子だ……」
    元気良く館を飛び出したくせに、もう2時間近くも飛び廻っている。が、未だに湖の中心にいる気がする。
    「同じところをグルグル廻ってる気がする…」
    と口に出した直後にやっと陸地を見つけ、腰を下ろす。
    「疲れた本当に疲れた……言ってた事がやっと判りましたよパチュリー様……」

    そして、暫く休憩してから今度は歩いて行くことにする。左手に湖の水際を見ながら、右手に広がる森林を注視する。
    「ん?今……」
    小悪魔は、視界の淵に何かが入ったのを見逃さず、振り返ると、
    「あ、あったあった」
    小悪魔は紅い葉をした薬草を摘み、渡された試験管に採取し、ゴム栓でしっかりと栓をする。
    「あと二つか……」
    注意が散漫な“人間”に悪戯する。だが、特に力を持った妖精、大妖精は時に悪魔にすら悪戯する時もある。
    「えっ」
    小悪魔は思わず声を上げた。それは、地面を踏みしめたはずの左足が空を切ったから。
    「きゃっ」
    小さな悲鳴は直後の水音にかき消される。
    「……あ」
    小悪魔の小さな声に反応したのか、勢い良く逃げる影を小悪魔は見かけたが、
    「羽根が濡れて……まぁ、近くにいれば逢う事もあるでしょう」
    流石の小悪魔も、羽根を濡らされては満足に飛べない。とゆうよりか、服が濡れたまま遠出する気が引けただけだ。そのアタリも“小”悪魔結えたんるものなのかもしれない
    「ふう、仕様がない。干しておこっと…」
    小悪魔はスーツ柄の服を木の枝にかけ、暫く待つことにした


    「そろそろ乾いたかな?」
    小悪魔は冷たい服に袖を通し、周りを見渡し。周りに突然弾幕を張る!
    「えっ!? きゃっ……」
    悲鳴が小悪魔の耳に届いた。妖精は交戦を嫌う。小悪魔はそれを思い出してのことだったが、上手くいったらしく、周りに立ち込めていたイヤな雰囲気は消えていた。
     その後は嘘の様にすぐに指定された薬草を摘むことができ、意気込んだまま湖の畔を歩いていると、先ほど弾幕った時に秘弾したであろう大妖精が未だに伸びていた。
    (放っておこう。あの子が悪いんだし)
    と、思いながら傍を通ったときに、顔色の悪さが目に留まった。
    「……当たり所が悪かった??」
    (無視無視。あの子が悪い……)
    しかし、原因はその妖精にあるとはいえ、本気を不意打ちしたみたいな気持ちになり、小悪魔は……。


    「ん……えっ!」
    目を覚まし驚いている大妖精。それもそのはず。その大妖精は額に濡れたハンカチを載せられ、膝枕されていたからだ。
    「まだ動いたら駄目。私の妖弾(大弾)喰らってるんだから、いかに力があるとはいえ……え、ちょっ、どうしたの!?急に!」
    目線を合わした途端に泣き始めた大妖精に困惑していると、泣き声ながらもしっかりと意思を伝えた。
    「貴方たち悪魔は……私たち妖精族を殺せるんでしょ? 殺さないで!」
    と……。
    (懐かしい。いつか、私がレミリア様に言った言葉を……)
    小悪魔は優しく頭を撫でると、
    「莫迦。意味も無く殺すわけ無いじゃない。むしろ、貴方に惑わされる私がどうかと思うわ…」
    しかし、大妖精は泣き続ける。
    「だって、だって……!!」
    「悪いのは全て私。でね、お願いがあるの」
    大妖精は肩を震わせるが、その次に飛び出した言葉に驚くことになる
    「私の名前は…リトル。皆からは…小悪魔って呼ばれてるけど……友達にならない?」
    大妖精は大きく目を見開き、
    「えっ!?」
    小悪魔は溜息を吐き、
    「イヤ、だよね。自分を痛みつけた相手となんか友達になれる筈もない、か」
    「違うの!  違うの……驚いただけ」
    小悪魔は次の言葉を待ちながらハンカチの水気を絞る。
    「私は…トリル。宜しくお願いしますね“リトル”さん」
    小悪魔は心にくすぐったさを感じながらも、2時間程でこの日は分かれた。


戻る