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ある女
キレイな自分をキレイじゃない自分がふわりと包み込んでいる
取り払えないでいる
笑顔を見せなくなったのは何時(いつ)?
けど 悲しみが表に出てるわけじゃない
ガラスの箱に閉じこめてある私の心を縛り付ける紐
さらにきつく結わえてる
喉からほとばしる衝動と共に伸びる手
いつも宙を掴んで・・・・・
虚しすぎる こんな自分
でもこれが私 いつまでも私
/>
空間
空間を見つめる
タテとヨコともう1つの線で作られる
私と同じに突っ立ている線は
紙には書けない謎の物体
だから きっと
私も謎の存在
/>
人形
夢を見なくなった
夜という長い時間
私は誰とも会えず
暗闇をさまよう
心が見えなくなった
一日中ずっと
私は私とも会えず
とうとう1人ぼっちになった
涙は流れず
想いは生まれなかった
そして私は
人形になった
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”ゼロ”
ものごとはゼロから始まる
全ては無から生まれる
1から0で終わるのではなく
ものごとはゼロから始まる
過去にやり残して来たこと
今はひとまず忘れてしまおう
時計の針が重なって
貴方と私のゼロが始まる
/>
雨
流れゆく灰色の雲を見つめる
雨
全てを伝って大地へ
この体を撫でてゆく
どの指先よりも優しく
冷たく
誰かの為の青い涙
この瞳をなぞる
揺らめく炎
空を仰ぎ
雨は降り続く
淡いベールに包まれ なお
輝く
/>
花
腕いっぱいの花束は
そんなに好きなものでもない
一生懸命持ってきても
やっぱり笑ってあげられない
花は
野に咲くものだから
時には踏まれ
時には焼かれ
それでも楽しくやっているはず
閉じこめないで
命の塊を
花の行き着くところは
けして花瓶なんかじゃない
/>
歌
歌声は
時にもの悲しく聞こえ
振り返れば心の涙を
見てしまったりもする
表情より
仕草より
魂に近い動き
だから人は隠して歌う
心を裸にしないために
/>
雨降り
雨が降った
私の心の太陽が
ふっと
かき消されていった
雨が降った
私の心の土塊は
あっという間に
流されてしまった
雨は降り続く
どこまでもやまない・・・
雨が降った
私の心のひび割れを
すっと
埋めていってくれた
雨は降り続く
どこまでもやまない
けれど私は・・・もう悲しくない
/>
力
力が在ることと
無いこととは
何か 違っていて
みんな それに
気付かないでいるらしい
脱力感を覚えたときに
初めて人は
その存在を知ったりするから
・・・・難しいね
とっても・・・・難しいね
/>
オルゴール
金属から
醸し出される音
時に
センチメンタルすぎて
指を差し込みたくなる
どんな汗が
涙が
血が
この針にあるのかと
少しゾクゾクするけれど
やっぱり
オルゴールは嫌い
/>
汗
いちめんの汗で
スポンジのようになってしまった背中に
ついと誰かの指が走れば
人は
孤独を忘れてゆく
/>
路(みち)
この路はどこまで続くのだろう
この路は明日終わるかも知れない
ああ 私たちは
何故 こんな事を考えなければいけないのだろう
今 この路の上に立つことは
いつのまにかの出来事
今 この路の上に居ることは
いつか途切れる予感を連れて
それを感じる
この一瞬でさえ
私たちの歩みは
止まることを知らない
他の路と交わっても
上り坂を駆け登っても
変わりはしない
路の上の日々
すべては移ろい
私は移ろい
言葉や史実が残されても
私たちの路はふっと無くなる
まるで
眠りに落ちるかのように
ある日の闇が
この路を飲み込んでゆく
果てしない
果てあるこの路
/>
無限
“そうだねぇ、例えば・・・”
そう言って
空を見上げた君の瞳には
無限の世界が広がっているのだろう
僕は隣で
君が次の言葉を紡ぐまで
ただ
静かに待っている
同じ空を見上げても
君と同じ無限は見られないから
いつまでも佇んでいる
君と同じ空間を有することが
僕に出来るせめてもの行為だから
/>
屍
冷たい固い床に寝る
生命なきものは
生命ある私から熱という熱を奪い
私の体を屍にする
風はこれを乗り越えてゆき
光はこれに降り積もる
ざわめきが渇いた骨で共鳴し
魂無き体に
うたかたの夢を導く
現実のほんの数秒は
私の魂を
こんなにも世界と遠くする
/>
セピアクリーム
目の前の虹は
白い雲に食べられていった
僕の足下の大地が
ふぅとため息を付いた
歪んでいく家々から
歪んだ人が駆け出して
虹の切れ端を争って
天へと高く登っていった
僕は
見ているだけ
歪んだ家は
常温に置かれたソフトクリームのようになって
大地と混ざり合ってしまった
ちょっとしたセピア色
気付けば僕も
足の方だけセピア色
僕は大地にぴったりついて
セピアクリームになろうとした
けれどなにも起きなかった
僕はただ
セピア色の羽布団に
巻かれて眠っているだけだった
ヒトヒトヒト
この街はヒトだ
ヒトのイメージから生まれ
ヒトの手下として成ったのだから
この街の全ては
間違いなくヒトなのである
ヒトの中で
ヒトに腰かけ
ヒトを字で埋め尽くし・・・
この一握りの
生きつつある“ヒト”の中に自分がいること
嬉しくもあり
すこしやっかいだ。
音楽
弦は脊髄を狙って
こっちにナイフを投げてくる
太鼓は延髄を狙って
下からパンチを繰り出してくる
管は脳を狙って
どこからともなく狂わせるために
音楽とは
そういうものだ
民族の叫びとは
戦いである
そして
平和の中にこそ
戦いは流行っている
白光
少しむくんだ手で
カーテンをぎちぎちと言わせ
似合うはずもない
朝日を浴びたい
光を入れる前の
トラックの音や
子供の声
一向に近くならずに
私を苛立たせる
あきらめも
沸く
貫くような
白光
私だけ避けて
反射して
行ってしまう
反射しない光は
絶対あるはずなのに
黒と白
例えば
黒と白があったとき
あなたが黒で
私は白
それが当たり前に
なっていた
あなたが黒?
私は白?
それとも
私が黒
なのかもしれない
そう悩むほどに
自分の黒さ
ふっと浮かんでくる
そう悩めるほどに
私の白さは
残っているのかもしれないけれど
違い
しんじゃいたい
と
しんぢゃいたい
は
少し違う
その
“ち”の中に
諦めきれない哀しさが
見え隠れするから
ふっと
手を差し伸べてみる
流砂
例えば喜びは
熱のためにある
悲しみは
愛のためにある
世の中の
流砂の中で
想いだけ
抱えることを
許されている
ふやける
気が付けば
ここにいた
木造の家は
雨にのしかかられている
暗澹が
すこしだけ
目の前に
浮かび始めている
ゆく当てもない
傘もない
ただ
湿度に関わりなく
固い
キーボードを叩き続けている
この
触れる感覚が
私の存在だと
信じる
コンピューターは
悩むようにぎちぎちと音を立て
画面は
私と向かい合うことに飽きたように
つーっという音を
立て続ける
眠らせてよと
言われているようだ
スクロールは
私の思考より早い
私の指だけが
私と切り離されて言葉を紡ぐ
視線は動かない
そのうち
私もコンピューターに
なれるかもしれない
体
ふやけ始めている
この
木造の家の
一部として
目が覚めて
夢でも
泣けることがある
悲しく
気付けば躰は震えていて
空白が
私の中に流れる
ごぉと
音を立てて流れゆく時間に
逆らうすべもなく
朝 目覚めて起こした体は
軽く
ゆれて
涙は
落ちずに
目の前で溜まる
目が覚めて
見つづけたものは
たしかに現実ではなかったと
涙が語る
行進
990919
千億の水泡が
僕たちの頭に宿り初めて
明滅する
夜闇の下の海の底
一糸も乱れず
音もなく
僕らは正方形に整列したまま前進する
水泡の揺れるがまま
歩幅の間に全ての凹凸は含まれ
僕たちは
何の障害もなく進み続ける
例えばいつか
一瞬にして水泡に支配され
かき分けられる海水の側になるのだとしても
僕らの足は
止まることを許されていない
布団
990919
布団はへこむ
私の形
寄った皺が
私の重み
汗や
涙や
それらの蒸発した後に結晶した
思いも
布団は
その粗い目の隙間に
しっかりと抱え込んでいる
(つまり
私の分身
とも
いえる)
ここは
私だけの城
私に包まれた私
それだけの要素で成り立つ
固く柔らかい
空間
アナ
991030
ふわふわのぬいぐるみを
勝手に動かして
遊んで 笑う日々は
もう
いやだ。
欠けているなにかを
雨に晒しても
凹みに合うようには溶けてくれない
違うんだと言って
放り投げる
からんと
哀しい乾いた音がする
君の
声
欲しいのに手に入らなくて
君の
喉
切り取る計画まで立てる
君がいないから
君の影ばかり追って
夢が終わる
欠けている何かを求めている体にあいた穴
また一段と
黒ずんでゆく
鼠が一匹
991030
かじられた
記憶
鼠は電線を伝って
もう逃げてしまっている
呆然と
手にしていた包丁と
夕餉の材料を床に落として
かじられた傷口を
そっと 撫でる
痛く ない
そのまま
全てをダストシュートに捨てて
蛇口を全開にして
濡れていく床
映る蛍光灯
確認したら
自分のベットまで逃げてゆこう
煌めきを
追えないまま
布団の上で
まったりと座禅を組んで
走り去る
鼠と記憶
かじられた想いが
木片の形を取って目の前に転がっている
夕暮れ
気付かなければ
それまでだった
幾度となく通り過ぎる
赤い羊達
ちらほらと
ほら あの木の陰にも
居るんだ
夕暮れは
嫌いだ
僕が
僕と僕でない僕に引き裂かれて
赤が
広がってゆく
そして
笑うのだ
舐めるのだ
そうして羊は
赤くなっていく
奴らは
どこにでもいる
今も
俯いたあの少女の横に
ひっそりと
群がっている
世界が
いつの間にか
この年だった
昔の作品に
一種の羨望と侮蔑を覚えるようになった
時が過ぎていく
狭間から
冷たい風が
突き上げていく
薄っぺらな武器しか身につけていない僕を
翻弄する
木々が
揺れている 泣いている
夢は
あの木々の木の葉の隙間にも
在るはずで
僕が
見付けられないだけの話なのだろう
世界が
早く回りすぎるから
探求
どこまでもどこまでも
背の丈ほどもある草をかき分けて
探しに行く
地の底から沸き上がってくるような
太鼓の音
小高い丘には
男が独り居た
チャランゴを抱えて
祭り歌を奏でていた
フェスタの夜には
娘が踊る
紅い紅い花となって
娘が回る
娘、という言葉を口から漏らすたび
男の目は細められる
丘から見下ろす地に
想い人でもいるように
太鼓の音は
その谷から聞こえてくるのだった
訊ねると
男は真っ直ぐに指し示した
白い道が1つ
山肌に張りついていた
まろぶように駆け下りる 私の背を
祭り歌の続きが
撫でていった
深夜
時に夢を
握りつぶしたくなる
目をつむったまま
両手だけが
空気の粒子をかき分けて
余裕がなければ
汗ばみなどしない 悪夢は
目を開けることさえ
体から拒否させる
目を開けたその世界が
いつもの見慣れた
壁や天上やポスターだという保証が
得られない限り
闇は次々と輪郭を持って
躍りかかる
頭蓋骨の中を悠然と 通り過ぎる
夜明けはまだ遠く
朝日の浄化は得られない
ただ ただ
身を丸めて
肉体的にはやってこない敵に対して
防御し続けるしかない
悪寒
関係の隙間に出来た澱は
冷や汗となって
体内から放出されるが
追いつかずに
体中を侵食し始める
握手した手から
伝わってくる全てに
嫌悪を覚えて
病気 邪気
好色 敵意
あまりの黒さの奔流に
振り解くことさえ忘れて
ただ
微笑むしかなく
夜中 独りで居るとき
襲ってくる
波
悪寒となって
背筋を幾度となく 駆けめぐる
戦慄
夕日
心は 要らないね
遠い淵が 食べてしまうからね
かけがえのない微笑みは
ひと匙 すくおうとする寸前
夕日に溶けてしまう
街灯が
眩くも虚しく灯るころ
壊れかけた自転車を押して
広い道のど真ん中を進んでいる
猫に話しかけても
逃げられるばかりで
太陽は
背中から降り注いでいるよ
あんなにも地上に引かれつつ
どうしてこんなちっぽけな僕をも
彼は見逃さないのだろう
恵み
それは優しさの仮面を被った偽善
そう 思っていたのに
爪 2000.2.12.
そこは
平面であるのに
なぜだか湾曲していて
少し
破れかけたところから
つめの長い
黒い手が 私を誘っている
恐怖は
視覚を反映せずに
背中から犯し始め
私の心は
その長い爪にマニュキュアを塗る衝動に
駆られるばかり
喪失感 2000.2.20.
さらさらと
指先から徐々に
体は砂になっていって
失っても 失っても
終わりの無いものに
くるまれて
世界をサングラス越しに
見せられているようだ
時計の針が
ただ 回り続けるのを見つめ
日時という区切りは
もう 無い
この体
全てが砂になったとき
誰かが私を
ひっくり返していくだろう
機械 2000.2.25.
機械に なってしまえば
笑われても
0と1の編み物をし続けるだけで
済むのに
たましい 2000.2.25.
チョコレートを
半分に割ったとき
4.9999999… せんちと
5.0000000… せんちの間で
砕かれたもの
それが たましい なんだってさ
客観 2000.3.16.
未来の残像が
夜な夜な 復元されるので
知りもしない
貴方の 逆光の姿を
恋い焦がれた目で見つめる
自分の
そのオーラを見つめる
私が
いる
無感情へ 2000.3.16.
どうしても
手に入らないと判っているものを
求める自分を
殺したくて
深層心理に在る
100万分の1の光を灯す
煙草を
踏み消して
口元を歪める
それは
何かのスタートの合図だ
何かが私から抜かれ
歯車が
回り始める
錆びた音を 醸し出しながら
感情を
少しずつすりつぶしていく回路が
発動されていく
真理 2000.3.31.
遠くから
時が歌いながらやって来て
ちらり
私に微笑みを投げかけた
それ以来
見上げる夜空の星々の隙間に
あの微笑みの欠片を探して
私は
現実を見つめなくなった