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色彩 2000.4.4.
自分を見失った僕に
愛想を尽かした
世界は
灰色
桜の薄桃も
木々の緑も
紅葉の色も
全ては
僕に鑑賞されることを厭い
隠す
その生命の迸りを
隠す
貪られないように
明暗のみが
ただ
ちかちかと僕を誘う
空への
道しるべ
色は
色は きっと風に
溶けて消えた
僕の見つめる
僕の世界から
僕の光 2000.7.25.
光の色を
何色にすればいいのかわからない
そこの街角で
銀色の自転車をじっと見ている老人も
同じこと 考えているのだろうか
いうなれば
薄闇の中のアスファルトを
こつりこつりと
歩いた黒靴が砕いた
ナニカの欠片を
一瞬にして昇華させたときの
その色が
僕の ひかり
であるかもしれない
未来 2000.8.5.
一定の丸さを持って
転がってくる
透明な
すべての種
崩壊 2000.8.21.
背中から一人の私が抜けていくと
少し軽くなった体は
きゅっと縮まる
小刻みな
物理的ではない痙攣を
断続的に味わいながら
ずっと
遠くを見つめようと努力しても
焦点は
騙し絵を見るときのように
ずれて
何もかもが3つになる
帰っておいでと
傷口は呼んでいる
なかなか閉じないものを
更に爪でこじ開けて
崩れていく私を
いつのまにか助長している
人形のように 2000.8.21.
血の気のない時は
綺麗な服を着て
人形のように
微笑めなくても
誰も怒らない
見とれて 過ぎ去って行くだけ
触れられた
喜びよりも 触感が
勝って体を駆けめぐるから
中身は何もない
人形のように
佇むだけの 私になる
選択されて 2000.8.21.
少しずつ、欠けてきた
ここからどこまでも
行かなければいけないのに
丸まって
誰かの声に包まれているときだけ
ひとつになっている
私
それは
統合体ではなく
複合体から一つの記号が
選ばれた状態なのかも知れない
一つの方が
幸せになる
他の全てを
苦しめていても
とまどい 2000.8.21.
空虚な
林檎をつついていた
指先は
いつもより白い
林檎色に塗られた
爪と林檎との境界が無くなるたび
林檎から見た
世界は揺れる
揺れて戻って
揺れて戻る
同じ位置に戻ったのかは
誰も証明できずに
疑わないから
次の一歩を踏み出せるのだろう
林檎 2000.8.21.
林檎は微笑む
紅く 恥じらう
貴方の夢を そっと撫でて
今宵も貴方の唇のため
一層紅く
待っている
カテゴリ 2000.9.1.
意識が私を
振り分けていく
有名な境界線の数々を
心と同調しないまま
選択して渡っていく
またひとつ
谷間を越えた
ぼろぼろの荒土には小石が
躓いてごらんとばかりに
並んでいる
ツライ? 2000.9.11.
風が泣きながら
走り去っていった
雲の上には
そんなに辛いことがあるのか
私達
皆最後はあそこに行くと
教えられているのに
今よりずっと
厳しいと覚悟して
まだ
この世に爪立てて
居残っていなくてはならないらしい
skull 2000.9.20.
足下に転がっていた
skullを1つ持ち上げて
軽いナァと
溜息をつく
茶 肌 薄黄 と
並べて描けば芸術にも
なるのかもしれないが
所詮
鳥かごだから
あんまり飾るモノでもないだろう
流れ出る
思考を防いだりはしないし
本体が
すり抜けられなければそれでいい
誰かが閉じこめた
本体
が生きているのか
籠が生かしているのか
わからない
最後になれば
逃げていく
捨てぜりふが
喜怒哀楽のどの色なのか
見えて きっと
識るのだろうけど
*the skull…頭蓋骨
at a loss 2000.9.28.
吹きすさぶ風に
やさしく抱かれた
灰色の球体を象る心は
秋風にも劣る
そろそろ壊れかけた体の
絶えず唱い続ける不協和音
重力に抵抗する力が
もうすぐ溶け消える
倒れても
還れないアスファルトの道
秋風と共に
永遠(とわ)にあるようで
不完全な僕には
眠る場所がない
一番に 2000.9.29.
さっぱりだよと
投げ出した
両手は空へ
捨てられていく
なにもかもの
まず始め
君がいきなさいと
誰か手に言う