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ここでは大学生活4年間を通じて自分の価値観や思想がどのように変わっていったかを記したいと思います。
思えば自分というアイデンティティを根幹から作り変えていく激動の3年間でした。
序章
そもそも思想とはなんでしょうか。簡単に言うと人が生きることの意義、世界の正しい在り方、そうしたものをその人間なりの論理として顕在化したものがすなわち思想と呼ばれるものです。人は歳を重ね、人生を歩んでいく中で自分の生き方、価値観、つまり人間としての中核をあらゆる経験、挫折、苦悩から形成していきます。その中から自分なりの人生の方向性を見出し、それを土台にして残りの人生を謳歌していくのです。私の場合幸か不幸か、普通の人が何十年もかけてつくりあげるそうした「人間の根幹」というものをこの3年間で一気に構築していきました。様々な苦悩、葛藤が複雑に入り混じり、人間性も大きく変わった3年間でした。
1.高校時代
この当時の私ははっきり言ってしまえば「無意識的アメリカ崇拝者」でありました。アメリカ、ヨーロッパ的なものは「おしゃれでかっこよく」、日本風なものは「どこかしらダサイ」といったイメージを抱いていました。おそらく現代の日本の若者のほとんどは無意識ではありますがこのような価値観が根底にあるのではないでしょうか。自由と平等、そして正義という御旗を掲げ、世界をリードする大国アメリカ合衆国。そんなアメリカに私は憧れましたし、将来的に移住も考えたりもしました。
また、このころの私は「無思想」でもありました。高校時代までこれといった人生経験もなく、決められたレールの上を走っていた私に確固とした思想や価値観が持てるはずなどなく、ただひたすら好きなことに没頭し生き方や価値観なんぞ目もくれず、ひたすらやみくもに走っていた状態でした。
2.大学入学
中学生のときアメリカのプロバスケットボールリーグNBAと出会い、元々スポーツ好きだった私はこのスポーツに夢中になりました。高校までの間狂ったようにバスケットに打ちこみ、ゆくゆくは海外のスポーツを扱うスポーツライターになりたいという夢を持つにまで至りました。そして大学進学の際、英語の読み書きが修練できればと思い関西学院大学の英文科に入学。入学当初はライターになるという輝かしい夢に向かって授業も比較的真面目に出ていた私ですが、数ヵ月も経つとその余りにも曖昧な目標が、目の前の自由で余りある時間の誘惑に勝てず、徐々に怠惰な生活にひきずりこまれていったのでした。その後もバイトや恋愛に時間を費やす毎日が続き、このまま4年間を過ごしていれば中身もろくに入ってない「空虚な貧社会人」となっていたことでしょう。
3.青天の霹靂
人生の転機とはいつ訪れるかわからないもの。中にはその転機すらも経験することもないまま平穏に人生を終える方もいらっしゃるでしょう。しかし私にとっての人生最大の転機もある日突然やってきたのでした。
大学2年の夏。レイジーライフ真っ只中、暑い中その日も渋々学校へ行き、授業を受けていた金曜の朝。いつも本を読ませて和訳させるというありきたりの授業を行っていた先生がその日はあるビデオを見せてくれました。タイトルは「アメリカインディアンの悲劇」。恐らく一生涯忘れることなどないであろうこのドキュメンタリービデオこそ私の人生を決定的に変えた代物だったのです。イギリスBBCが製作したこの極めて客観的なドキュメンタリーはアメリカ合衆国という国の闇の部分を赤裸々に描いた秀作であり、これを観た私は奈落へ突き落とされるほどの衝撃を受けました。そこには私が敬愛していた正義、平等、自由をポリシーとするアメリカの姿はなく、ただひたすらに富と領土を貪る醜い、余りにも醜い一国家の姿が映し出されていたのです。つい先日アメリカの放送会社が同じようなテーマで作ったドキュメンタリーを観ましたが、彼らの行為を正当化するばかりの内容で、ネイティブ・アメリカンの人々を「開拓以前の野蛮人」とみなし、自我自賛の連続でした。その当時の私はこの一本のビデオで大きく心が揺さぶられ、この時私の中で「親米→疑米」と価値観が大きく傾いたのでした。
4.アメリカ主義からの脱却
この衝撃的な事実をどうしても看過することができなかった私はその授業が終わってから図書館へ駆込みました。今思えば、ここからが私の真の大学生活のスタートだったのかもしれません。今までの「いい企業に入るための進学」、「職を得るための大学在学」という観点から初めて脱し、「学びたいことを学ぶ」姿勢に変わった瞬間でした。大学を「社会人モラトリアム時代」としてではなく「国内最高学府」として捉え、真に学びたいことを追いかける。これこそ大学生の本分だとそのとき痛切に自覚し、その時から英文科とは全く無関係の勉強ですが、アメリカインディアン関係の文献、アメリカ社会の本などを読み漁っていきました。そして読めば読むほど、知れば知るほどアメリカ合衆国という国に幻滅していきました。もはやアメリカに憧れていた私はそのとき既になく、全く別の価値観を抱いた私に変貌したのでした。
続く
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