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しこしこと 9+14実

【 じゅーろっく 】
温いシャシンを省くとまとまりがなくなって、温いシャシンを混ぜると全体的に密度が薄くなる。
カテゴライズするのはやはり人間の業であり、なるべくそれに従いたくないと思うも、
結局の所分類してシャシンをまとめてしまう、他に方法はないものか?難しい。
見やすさ、色の統一感、流れ、明度、風合い、雰囲気、理由、言葉、お気に入り、
あれこれ障害はあるが結局行き着く、仕上げる。が、これが最良のカタチなのかは解らない。
手を抜かず丁寧に丁寧に、時には非道に、甘んじて緩く、試行錯誤
作っているようで作ってなくて、作ってないようで実はしこしこ作ってます。タクロウジャシン16。恋愛ジャシン2。
日々 9+13糸

【 空白が嫌いだ、黒で塗りつぶす、黒で塗りつぶす、黒、黒で。黒で塗りつぶす。漠然と息を潜めて見ている、鉄塔。絡まる糸、解らない。繋がってはいない幸福な日々。 】
塞き止めた感情を白地に吐き出す。つまらない普通の日々。吐き出せた、色、色、いろ
空白の鉄塔が、
水源 9+12肉

【 労働後の空 】
前世があるとしたら、自分はおそらく水源か何かであったと思う。
ジワジワと水が滲み出る山間深くの水源、
ジワジワと汗を滲み出すうだつの上がらぬ俺。
ティーシャーツはもちろんのこと、ズボンもビッシャビシャで、
作業ヘルメットをかぶった頭からも、滝のように、汗。
髪の毛の一本一本までに汗が行き渡って、俯くとしたしたと水滴が垂れる。
気温が30度を超える中、埋め立て地にあるとある物流倉庫にて、
大形コンテナトラックにくんくんにつめこまれし、某大形衣類販売店の品物を下ろし、並べて積み重ねる。
言う所の肉体労働。熱風地獄。無限地獄。段ボールが俺を襲う。
常に衣類は湿っていて気持ち悪く、塩化ナトリウムが欠乏して足がつりそうになる。
つくづく水源であった自分が憎い。
・・・
とにかくお金がありませんのや。激しく貧労にあえいでいるんですわ。
何も好き好んでかかるへき地にて熱射病寸前まで自分を追い込んでいるのとは違います。
出来ることならば、涼しい部屋でアイスの浮かんだメロンソーダなどをちびちびやって、
プレイステーション2なんかでねらねら遊びたいんですけどね、
何度も言いますけど、残酷なことにお金がないので、お金がないので肉体労働。
俺をさげずむな。
俺を哀れむな。
ピー ピー ピー
あぁん またトラックのお出ましだ…
しかも例の如くにユニクロの『無地靴下(各種)』が詰め込まれた地味に重い品物だ
ユニクロが憎い、主に靴下のアホが憎くて仕様がない。
あぁー水飲みてー あぁー休憩いきてぇー しゃがむと頭が痛い
汗でつるつるの皮膚、毛、穴。
腰、腕、太もも、背筋、腹筋がさっそく頑なになって筋肉痛で喘ぐ中
元水源の俺は、夕日を反射させながら4本目のトラックに向かう。向かった。
エム 9+10

【 くすり 】
泳ぐ泳ぐ、腕が張る、体が軋む。軋みます。引き締まる。
・
「16」のシャシンは格別ばらばらで統一感がない。
構成能力に乏しい自分には一苦労。構成能力筋を鍛える必要がある。
贔屓のシャシンが多くて組み立てるのがより難、設計図のないプラモデル。
丁寧に丁寧に手間ひまかけて作り上げよう。
・
来週の箱根紀行の大まかな流れが出来た、何処行って何するかとか。
後はより格安でより和な旅館をピックアップされた中から選びだすだけ。
・
朝/昼/晩 毎日食後に3錠服用
・
明日の登録制バイトを予約するだけ。
・
毎日が有意義だと思い込む、だけ。
涙は心の汗らしく 9+7+8+9汗

【 緑地 】
月曜の昼下がり。公園。
公園には3、4人の若き母達で結成された小さなコミュニティーがあちこちにあって、
その新米ママさんグループの周りを幾人かの小児が駆け回る。
ウラーウラー、まだ言葉とは呼べない音声を口から発し楽しそうにはしゃぐ子供はそこそこ可愛く見える、
見ず知らずの赤の他人の子供であっても親近感が湧くのはホント不思議なことだ。
そんなキッズまみれの公園で俺は何をしているかってぇと、そう汗だくになっているわけで、
汗だくと言っても弱/中/強と程度があるのですが、自分の場合は壊滅的に汗まみれで、
額や背中、胸や腕にぐっしょり汗を滴らせ、ティーシャーツが取り返しの付かない程に滲んでいるのでいる始末。
しかし、言わせて頂きたいのですが何も自分から好き好んで汗達磨になっているなんて事はなく、
俺サイド的にも汗なんて嗜む程度掻けば御の字で、出来ることなら汗を極力止めたい方針でもいるし、
それに、小児で賑わう公園にびっしょり汗まみれの男が居るのは、
子供達にも悪影響、情操教育上よろしくないと分かって入るものの、因果なことに汗は止まらず、一向にアキコのアホは上達しない。
「上から打て。上から打て」と何度言っても無きものにし、強情一点張りで下から打つし、
打ち返したとしてもちょぼちょぼと極数メートルしか飛ばず、御丁寧なことに右に左に打ちわける。
その都度、俺は土煙をまきまき猛ダッシュして、両腕両足を限界に伸ばしラケットを振りシャトルを打ち返えし、
「思いっきり打ってて、ここまで飛ばして」とアキコへ懇願しつつ定位置まで走って戻るが、また、ちょろん。ダッシュ。
その繰り返し。汗も出る。子供が見ている。
端から見ると、俺を一流のバドミントン選手に育てる特訓のようで
右に左に前に後ろに散らされダッシュ。犬の如くに。汗。
むかつくのは、まぁ、走らされるのもむかつくけど、それは仕様がないと飲み込み我慢しますが、大目に見るけど、
何がむかつくって、相変わらずアキコは定位置からさほども動くことなく、
少しばかり前に落ちるシャトルや、後ろにそれたシャトルを決して追わないことで、
そんなガッツなき非スポーツマンシップにのっとるアキコに憤りさえ感じて
「最期まで諦めんな、食い付け」と忠告するも
「あまり動くと汗が出るから嫌!!」だって、だってさ。ちょろん。
蝉 9+6鈴

【 界 】
扉が開く。外の空気が密室に流れ込む。光。
仰向けになって、誰も見ていないのに足掻いている。
ジジっと哭いた。
蝉。
パリパリとした硬質の茶色い羽をばたつかせ、コンクリを擦った渇いた音。響く。
足をうねうね動かし宙から垂れる糸を捕らえると、スーっと引き上げられるのを待った。
静寂が続く
深夜一時エレベーターホール前。
何を想っているのか解らない。
俺はどうすればいいのか解らない。
彼と俺を繋ぐものは何もなく、ただ地球上に生きる一生命同士であることがせめてもの繋がりなだけ。
稀薄な繋がり。密度のない繋がり。
繋がりに縛られる自分。飛ぼうとする蝉。見届けることにした。
黒い目玉は丹念に磨かれたようにつるつるで、
蛍光灯の寂しい薄緑色をひと際寂しく映しだしたまま、硬直して動かない。
時折、弱々しく足を動かす。弱々しく。弱々しく。注意して見ないと気付かないくらい弱々しく。
遠くで鈴虫の声。
冷たい風が吹く、蝉のからだが少し揺れる。
辛いのか? 飛べたのか? 土の中より良い所なのか? 俺はどうすればいい?