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あとちょい 9+25+26碌


【 煮詰まってドロリ 】

 

 

 

 

 

 

昨日今日、詰めて詰めて煮詰まって詰めて、20時間作業。

無闇に笑いが込み上げる中、やたらと神経が高ぶる中、完成に近付く。

というよりも、もう完成してる。完成しててもおかしくない。やっぱり完成してる。

完成してるのにも関わらず、どこかしっぽりこないので、敢えて16(仮)と個称して、

削ったり肉付けしたり、大幅に変更/中断/消去している中

おーそーいえば、アレを作品としてまとめよう、そしたら16に説得力がつく、

ってことで、新規プロジェクトを立ち上げて、煮詰まる。ぐじぐじ頭が痒い。虫も湧く。

ついでにスクリプトだのジャバ(?)だの、一つ上のHPを目指す為勉強も始め

自分でも終わりがなんなのか良く解らないままモノを作る、つくづく楽しい。

深夜だから尚楽しくなってきた。

 

 

 

明日 明後日、遅くても明々後日までには出来ます。

もうちょろ、ぽー。

 

 

 

 

 

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起きれない 9+24


 

 

 

6時、6時半、7時、7時半、9時、10時と、

目覚まし時計をセッティングしたのにもかかわらず起床は11時過ぎ。

実際、鳴り響くアラームで目を覚ましたが、覚ましただけで 、

結果的に、よいしょとベッドより立って、快活に1日を始める事はなかった。

どの時間帯にも感応/反応せず、再び寝に陥ってしまうこの由々しき現象を真摯に受け止め

 

はたして俺が起きれない原因はなんぞや?と頭をひねると、まず浮かぶのは「気温説」

特に今年の季節(気温)はいい加減で、梅雨は長いし、夏は寒いし、と思いきや、残暑は灼熱、

そして不意に台風が来たり、気がつけば秋、涼しいを通り越して寒い。

このような気まぐれモンスーンに当てられて、俺の体内時計に狂いが生じて起きれない。

または、昨日久々に水泳に励み、体力を激しく消耗したから起きれない。

もしくは、どう言う訳か見る夢見る夢が面白おかしくて起きてる場合じゃない。

なんてことがつらつら上げられますけど、多分大きな要因を担っているのは小さな天使と悪魔で、

目覚ましを止めてから生じる数十秒間「起きなきゃ・でも眠い」の葛藤、そして現れる天使悪魔。

左耳もとで「超キモチー、まじキモチー、このまどろみのまま再び寝たら今生の快楽はお前のもんだ!寝ろ!」と悪魔が囁き

右耳もとでは白い羽をパタつかせた天使が必死に「タクロウさん!タクロウさん!とりあえず寝ちまえ!」と囁く

だから起きられないんだと思う。

 

 

 

 

 


能率 9+23



【 とげぬき 】

 

 

 

 

 

 

能率よく作業を進めるには、何度か休憩を入れて、横になったりして気分転換を試みたり

故意に甘いモノを摂取し脳内活動を促進させたり、空気を入れ替え新鮮な酸素を取り入れたりして

作業でボーっとした脳味噌をリフレッシュ、心機一転して、

16作成のこの長丁場に再度取りかかる。

きつかろうが眠かろうが休憩なんて罪、やってやって果てるまでやり尽す、という、

一世代前の根性論や気合い論はもう古い

何ごとも能率/効率が大事で、オーバーワークを回避するこの休憩こそ、後々を考えると意味がある。

それにならって俺も、休憩休憩と称し、ごろんと横になると、

次第次第ウズウズ眠くなり

仮眠仮眠と称し、2時間後に目覚ましを設定して眠りに付くが

2時間後

根性や気合いの足りない自分は、喚く目覚まし時計を憎しみ一杯に叩き付け、即快眠

気がつけば、昼。差し込む光を反射する吠え面。

 

 

能率も効率も何処にも見当たらない。

 

 

 

 

 

 

 


低い声で 9+22


【 屋上の羊たち 】

 

 

 

 

 

 

 

のど風邪をひいたアキコの声は掠れていて、日に日に悪化している。

労る気持ちをまぁ人並みに備えている自分は、

「大丈夫か?」「薬を飲めよ」「早く寝ちまえ」と、口では言うが、

それよりも、電話口、俺の名を呼ぶ妙にハスキーなアキコの声がおかしく

何オクターブも下がった声と会話をしていると、

まったく別の女と話していると錯角してしまう。

また、実際アキコの名を語った別人がアキコに成り済まし俺と会話しているのではないのか?と疑惑が生じ

ではなぜそのようなことをするのか?

犯人の目的はなんだ?と、動機を考えるがちくとも解らない

だが声だけで相手の体格などをプロファイリングすると、

色黒で肩幅のがっちりとした元水泳部、今ギャル風な女が想像できて

その他細かいディティール、

2人姉妹の長女で、現在都内高校在学

卒業後は進学も就職もすることなくフリーターになってバイトで金をため、海外留学したいと思っている

12月生まれの山羊座、B型、水泳部の顧問が嫌いで中学から続けた水泳をぷっつりと辞める、等々付け加え、現実味を持たせるが

持たせたところで、声は掠れどアキコはアキコで

電話口「明日も仕事で早いからもうねる」と言うので「薬飲めよ、風呂はいれよ、そろそろ寝たほうがいいんじゃない?」と言うと

「うっさい」と低い声で。心も掠れてる。

 

 

 

 

 

 

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16作業報告 9+21


 

家を出たのはタバコを買いに行った一度きりで

ライオンのようにおはようからおやすみまで。パソコンの前に張りつく。

そして、起き抜けに書けば書くほど長くなっていく長篇『箱根日記』を書き

そのまま16に取りかかる

 

「16作ります宣言」してからまる一ヵ月が過ぎている。知ってる、知ってた。

あぁなんたるダメ人、腑甲斐無さに反吐が出る。ドロリと。

 

それでも作業はことのほか捗って

シャシンを選別し終えて、半分くらいに題名を付け終える、作業補完率65%くらいいったかも。

 

後は新しい試み(表紙や日記に)試してみたり

トップページを改装したり

他のこまごましたページも改装したり

リンクを追加したり

新16バナー作成したり

やることは上げればきりがなく

どうやら作業補完率65%じゃないらしく

どうにか今週中に発表したく

 

 

 

 

 

 

第3回 16作業報告

 

 

 

 

 

 

 

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箱根湯廻り 9+18+19+20


【 箱寝、朝。】

 

 

 

 

 

 

必ず、と言うか、経験上、集合時間に遅刻するであろうと推測して

9時集合の時刻より10分遅れて俺参上するが

思惑通りを通り越して俺が甘かった、それから20分、待機。

熱々のコーヒーは冷め、その間3本のタバコを吸い終えた頃

集合時間から30分遅刻して漸くアキコ横浜駅に到着

 

遅刻に対して心一杯の悪態を垂れようと思ったけど

旅行ののっけから早速嫌険悪な空気になるのは嫌なので

30分遅刻した大罪をあえて言及せぬように勤め

「おっそいよ。アハハ」と軽くいなし

黙々と東海道本線プラットホームへの階段を一歩一歩昇っていましたが

「おっそいよ。アハハ」だなんてユルユルな言語では到底俺の20分間は埋まらないとひしひし込み上げて、

心に不快を溜め込むことが出来ない自分は

同時に、耐える、とか、我慢といった忍耐力が面白い程欠如しているタイプの人間でして

この二つが相成って、相乗

最終的には、険悪ムードになろうが関係ねい!

振り返って「おせーよ馬鹿!」「何をちんたらしていたのですか?」等々超言及

アキコは平謝りするが、その様を見ると俺優位感が湧き

優越感一杯に調子に乗って尚も下げずみ、心行くまで下げずむが、

一瞬アキコの瞳の奥に“鬼”を見て、早々に終了

洒落にならなくなる前に言及終えて

キヨスクでビールを買い、何ごともなかったように電車に乗り込む

 

4人掛け席を体を張って確保して

向かい合って座り、流れる車窓を見ながらビールで祝杯

向かうは小田原

 

 

 

 

 

 

 

 

小田原に着き、駅構内で鰺の押し寿司弁当と竹細工の弁当箱のおばぁちゃん弁当を購入。

箱根登山鉄道に乗りかえて、弁当を食べ食べ山の中を走る。

木々は揺れ、山河をまたぎ、登山電車

途中車掌と運転手が交代して山を昇る

小涌谷で下車

山道を20分歩いて待望のユネッサン到着

 

 

 

 

 

 

平日だからそれほど人は居ないだろうという俺の目論見は見事に外れ

実際は家族連れだの、カップルだの、若い男女のグループだので溢れ返っている。

よくもまぁかかるへき地までわざわざ赴いて、見ず知らずの他人の前で肌を露出し、

湯につかりて、ことも有ろうかばしゃばしゃはしゃぐその神経が信じられなく

半ば呆れた目で辺りを見回していたのですが、俺が間違っていた。ごんめんなさい。

なんとなれば、はしゃいでしまう、そう言う空気だ。

肌を露呈することにより、日頃抑えていた野性的部分が目覚めたのかどうか知らんが

大いにはしゃいで、気持ちが高ぶって叫びたくもなる。

誰も入浴していない風呂を見つける度にダイブをかまし

バッシャーンと水を打ってケラケラケラ

日頃こういう俺の動作を気嫌って、斜め後方から冷ややかな視線を送るアキコも、この日ばかりは俺に続いてダイブ

なぜか2人落ち着きなく、持参した水中眼鏡を交互に装着して湯を廻る

それがプールだろうが、サウナ後に入る水風呂だろうが潜って潜って水の中を見ることに終始。心血を注ぐ。

ゴーグル持参しているのは俺ぐらいだと気付いたのはプールエリアを出た後で

離れに有る、温泉エリアに向かい

岩風呂、酒風呂、床風呂、珈琲風呂、電気風呂、等 各種珍風呂に浸かって

オーソドックスな25メートルプールで激しくプロ・レスの真似事をして遊び

鼻の中に水が入り悶絶するアキコを見て爆笑。

 

最後に念願の死海風呂に入る

死海とは北欧かどっかあの辺に有る湖で、物凄く塩分が高く

人体がプカプカと浮かぶほどに浮力があるという正に珍風呂。

んで、いざ入ってみると、ワハハ、前評判ははったりじゃねぇ!吃驚する程に浮かぶ、俺、俺浮かぶ。

まるで自分がゴム毬かなんかになった心境で、だらしないほどに浮かび、浮かれ興じているとヒリリ

岩風呂でダイブしたさいに負った擦り傷がヒリヒリと痛む、しみる。

しかい、ヒリヒリと痛いが、我慢出来ないほどの痛みじゃない、

それよりもまだ浮いていたいと言う気分が強く少しく耐えるが

次第次第にそのヒリヒリエリアが拡大していき、

デリケートな部分、粘膜チックな部分、つまり、菊の門。

言う所のお尻のホールにまで塩水が侵略してきてヒリヒリ痛い、屈辱的な痛みに犯される。

プカプカと呑気に浮かんで、悶絶。

これほどまでに俺を攻める死海風呂の味はどんなだ?と興味本位に湯を舐めて唖然

塩よりも塩っぱい。今まで味わったことのない塩加減。そして肛門が痛い。

アキコに目をやると、同じくプカプカ優雅に浮かんでいるのにも関わらず、表情は鬼の形相で、

他に聞かれぬように小さな声で「わたし…お尻が…痛い…」と俺に報告、ミートゥ−と俺。

少なくとも「肛門に何かかしら病気を患っている人は痛い」と言う疑惑は薄れ

死海では皆平等に肛門が痛むものだ、と少し安心するが

安心しても尚、この痛烈な痛みは薄れることなく進行

逃げるように死海からの脱出、シャワーで入念に洗い流す。

 

 

 

 

 

 

温泉の効力で見事にすべすべさらさらになった肌を撫でながら、ユネッサンを後にする

陽は徐々に傾き、近辺の山々はうっすらと夕焼け色。

民家も商店もぽつぽつしかない鋪装された山道を歩き宿のある強羅を目指す

途中、彫刻の森美術館の前を通る。

約45分ぐらい歩いて強羅駅前に着いて、そこから20分歩いて宿に到着

まだ夜中でもないのに辺りは静まり返っている

遠くで虫の声、木々のざわめく音。それしかない。

都会の喧噪を離れるとはこのことなんだなと改めて実感する。

 

 

 

 

玄関ホールは妙にでかくて薄暗い、右にある台の上に、何かのはく製と、木彫りの美術品が鎮座している

目の前に茶色のソファ、直ぐ後ろの中庭の緑が鮮明に見える。

「ごめんください」と声を張って2回叫ぶと

奥からバタバタと旅館のおばちゃんが走ってきて

「予約していた、林田です」と言うと「おまちしていました」と中に案内される

ぎしぎしとひしめく細く長く所々歪み虫が飛び交う廊下をおばちゃんのあとにひっつき歩き

一番奥にある部屋のふすまを開け「こちらです」と招き入れられる。静月という部屋。

 

部屋を見渡す、角部屋で緑が見える、エアコンはない、4畳半と6畳の2間和室

年代物の三面鏡、外鍵のないドア(襖)、隣の客のテレビ音が激しく漏れる

大正ロマンを彷佛とさせる、気持ちいいくらいに古びた宿だ

不潔とか汚いとかいう意味じゃなくて、どことなくばぁちゃんちの家の匂いがする

羽のある蟻が2匹鼻先を掠める。

 

 

ようやく腰を下ろし、手持ちぶたさなので茶を煎れる

アキコと向かい合って鎮座

「どう?この宿?」

個人的には好きなタイプの宿だけど、温室育ちのアキコに受け入れてもらえるか心配で訪ねると

「広くていいね。角部屋だし、三面鏡もかわいいし、でも虫がいるね。」

「うん。虫がいるね。」

 

 

 

 

 

 

あっ こがね虫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とにかく飯を喰おうと試みるが、このような山中には飯屋なんてものはなく

今一度強羅駅前まで行かないと何もないとの事で

湯に浸かりはしゃぎ疲れ眠たい体をむち打って、駅前に向かう。

そして駅前に到着する、そして愕然とする。

なんとなればまだ夕方5時30分前だと言うにも関わらず

めぼしい飯屋は軒並み閉店していて、唯一灯がついている蕎麦屋は、

シェフと思わしき割烹着を着たおっさんが、客席に座り熱燗用の銀のコップを片手に晩酌しながらテレビを見ている

店の前にある鑞細工の模造品を見ると、どれも高価極まりない

うどん一杯1000円もする。舐めた商売だ。

かといって飯は喰いたい、腹ぺこだ、でもこの店で喰うのは気が引ける

蕎麦屋前での葛藤、きっと良い所はあるさと見捨てて 、少し下った所にとんかつやの看板を発見

幸運なことにまだまだ営業中らしくて、地獄に仏とはこのことだ!と勢い良く小奇麗な店内に入り

メニューを見て、つくづく人生とは山有り谷ありだなと悟る

と言うのも、ウナギ重3000円、とんかつ定食3000円、テンプラ定食3000円とビックリボッタクリ価格

あーん あーん 泣けば許してくれるかな? そんなことが脳裏を掠めるが

右端隅に1000円前後の商品が書いてあるのを見つけて安堵

胸を張り1000円のトンカツ重を注文し アキコは同じような値段の豆腐カツ重たる珍奇なものを御注文

料理が出てくるまで、強羅温泉郷にある飯屋の腑甲斐無さ

料金が高い、夕方5時に閉店してしまう、店数が少ない等文句を言い合って

互いになぁなぁになってたら、味の向上とか企業努力は乏しくなるばかりだね だなんて叱咤風な口を聞く

目の前に料理が出され、黙々と召し上がる

外に出ると夜

どこからか6時を告げる童謡がスピーカーから流れる

 

 

唯一閉店していない土産物屋でお菓子買い、ついでに酒屋のある所を聞く

さっき来た蕎麦屋の前を通り奥にぐんぐん進むと酒屋はあったものの

この近辺にはまだ営業中の飯屋が数件あって愕然とし

もうちょい奥に、赤地に黄色いDという文字が煌々と光る電気看板が見える

あっヤマザキデイリーストアーだ

 

今晩はしこたま飲もうと日本酒を籠に入れた

山の端は薄く青い

 

 

 

 

 

宿に戻って湯に浸かり部屋でねちゃねちゃに飲む、

疲れていたのか、酔っていたのか深夜12時前に就寝、泥のように眠る。

おもむろにアキコが俺に乗っかり、そして、しきりに左腕を振る

アキコアキコと名を呼んでも呼応しない

気持ち悪くなって端へ投げやると、漸くアキコ起床、ケラケラと笑っている

俺は辺りを見回す、それっぽい幽体やプラズマの類いは見えない

何かに取り付かれたのではないかと心配して 名を呼ぶ

やっと意識が戻って俺の言葉を理解する お前ぶんぶん手を振ってたよと言うと

えーっ!?といって どう言うわけか爆笑

俺も吊られて面白くなってきてケタケタ笑う。カーテン越し、窓の外は朝。

 

 

 

 

 

 

 

脱衣場の洗面所で歯を磨きながら見る外の景色は、明らかに好天でじりじり熱い感じがするが

さすが山の上、標高600メートルなだけあって何処か涼しげ、空気がすんでいる

ガラガラぺ ガラガラぺ ガラガラぺを3回繰り返した後

浴室からブラブラさせた他の客のおっさんが湯で上がって出てきて

軽く挨拶を交わし、入れ代わるように俺入浴

この宿の湯は妙に熱いが、暴力的な湯の熱さじゃなく、しっとりと包むタイプの湯の熱さ

細かい湯の粒子が俺の細胞の隙間までしみ込んでいるのを想像しながら朝風呂を堪能

ガラス張りになっていて朝の光が緑に反射して差し込み気持ちが良い。

中庭の石の上に、直径50センチくらいの妙にデカイ素焼きの狐の頭部の焼き物が置いてあって

口をそぼめてこっちを見ている、何なんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

宿を出てコンビニで弁当を買いケーブルカー待合所でコレを食べ

ケーブルカーに乗って終点早雲山でロープ−ウェイに乗り換える

この際、ロープ−ウェイの価格が異常に高騰していて、やだな、乗りたくないな、と思うが

これといって行く場所もないし、ええいままよとチケットを購入

あぁ絶景かな絶景かな

中空を行く大パノラマに感動

足下、禿げて黄土色の山肌からモクモクと硫黄の煙が湧く

ところどころ硫黄の結晶で黄色く、煙りもくもく、正に地獄絵図

その地獄絵の上をロープ−ウェイはじんわり進み

大涌谷で下車

標高は高く、山々の山頂が近くに見える、風強く、吹く風、冷たい。

雲だか硫黄ガスだかが辺りに充満していて、視界はぼんやり霞がかっている

名物の黒卵を買いに、遊歩道を歩き

人だかりが出来ている売店で黒卵(高温の温泉に浸かして拵えたゆで卵。硫黄とかが酸化して黒くなった卵)を購入

紙袋に6個入っていて500円。

近くに設置されている木製のスタンディングテーブルで皆一心不乱に殻を剥ぎ卵を食べている

俺もこれにならって紙袋より卵を取り出してアキコと黙々と殻を剥き卵を食べる

時折直ぐそばの湯源から硫黄ガスが噴いて辺りは白くなる

硫黄の匂いはゆで卵の匂いがする、屁の匂い。

屁の匂いが充満する中、ひとつ食べると7年寿命が延びるというこの卵から

結果的に俺は35年の命を分けて頂く。ありがたし。

この過酷な土地に一匹の蟻を見た、異常に大きかった。黒卵を食べているからだと思った。

 

 

「卵6個を500円で売るなんて、なんとぼろい商売だろうか?」

2人の話題は終始このことに尽きた。

 

 

 

売店でアキコが絵葉書を買い、2人でバータンに手紙を書く。

 

 

 

 

 

 

 

ロープ−ウェイに乗って桃源台へ、目の前に芦ノ湖が広がる。

もっと人がいると思っていたが、それほど人は居ない、

きっとその理由は、「芦ノ湖とか別に見るとことかない」だと思うし

閑散とする芦ノ湖周辺に立って早速俺も同じことを考えたからだ。

だからといって帰るわけにも行かないし、まだ陽は高いし、で、

芦ノ湖を見ながら木立の中の階段に腰を下ろしてバームクーヘンを食べ、

桟橋に停留するスワンボートを見つめて決心する。あれに乗ろう。

 

早速ボート小屋の管理人にスワンに乗りたいですという旨を伝えるが

どうやら波が高くてスワンは危険というので、普通の手漕ぎボートを勧められる。

アキコはスワンを希望していたが、俺はむしろ手で漕ぎたかったので管理人の意見に快諾。

700円を支払って、不安定な桟橋を歩き、縄でつなぎ止められたボートに乗る

波が高い、ぐらぐら揺れる、心底こっちのボートの方が危険じゃないんですか?と思うが

相手はプロ、プロのボート人。南こうせつ似の優しげな彼が言うのだから間違い有るまい

それにスワンボートの方が、この手漕ぎボートよりも借りる代価が高い

あくどい商売人だったらむしろ、危険だろうと借りる代価の高いスワンを勧めるはず

だから彼は嘘を言ってない、ダイジョブよー と自分を励まし

アキコも乗り込み、またグワン。ダイじょぶよ−

決して立たないで下さいね、と忠告を受けて、でわっいざ発進

 

 

おー 進む進む 面白い程進む 波に押されて俺の意志とは無関係な方向に進む進む

よくよく考えてみると今までの人生の中でボートに乗ったことは有るけど、

漕いだ記憶がない、始めての出航、バージン出航、

その事を湖上で思い出してアキコに伝えると、なんとも言えない表情になるが

大丈夫大丈夫、まかせなさい、と俺

昔見たレガッタ(ボート競技)を思い出して、オーエス オーエスと連呼しながら体全体を使ってオールを漕ぐと

グイングイン、今度は自分の向かいたい方向に進めるようになり始め、

次第に波の特徴、波に対して垂直に穂先きを向けると流され憎いだとか

この角度でオールを水中につっこみ漕ぐとより進むだとかを理解し始めて

10分かそこらで乗りこなす。

 

 

少し沖へ出て、プカプカと浮かぶ。太陽の光が水面に反射する。

俺らのあとに来た若いカップルが、遠くの方で四苦八苦してボートを漕いでいる

ボートマスターだと自負する自分は優越感一杯に彼等を見つめ

彼等の為に精一杯の高見盛の気合い注入の物真似をする

気付かぬ内にボートは流されていて、またオーエスオーエス体をバネのように伸び縮みさせて舟を漕ぐ

そんな一生懸命な俺が珍しいようで、アキコは終始笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ボートを降りて、近くの土産物屋でアキコが買い物をしている最中

俺は防波堤に腰掛けて芦ノ湖をみながらタバコを吸う

ザザ−ザザ−まるで海のように波は繰り替えし

吹きだまりを見てもゴミは溜まっていなく、潮の匂いもしない

雲は目一杯広まっているが、所々穴が空きそこから陽の光が差し込んでいて

湖上の波のユラユラを照らしている、そこだけガラス細工のように見える。

振り返ると温泉饅頭を二箱ぶらさげたアキコがやってきて、

お腹が空いていると言うので、非良心的な値段であるだろうと覚悟を決め

湖畔沿いに乱立する蕎麦屋、とりわけ清潔感のある蕎麦屋に立ち寄り

窓際の芦ノ湖の見える席に通され、一杯950円するうどんを注文し

醤油の味ばかりで旨くもないうどんを食べ終える。

アキコがまだ蕎麦を喰っている間

窓の外を見ると、芦ノ湖の桟橋でぽつんと一人立っている女性が目に入って

煎茶をのみながらぼんやりそれを見ていると、女性は桟橋の上で足踏みをし、誰も見ていないのにタップダンスを始めた。

とてもその光景がかわいらしく思えて、「桟橋のタップ踏み」と名付ける。

アキコと2人で「桟橋のタップ踏み」を眺め、タップ踏みが男とボートに乗って沖に出るのを見送ると

ぽつり「ボート屋さんって儲かるのかな?」とアキコが呟き

1日に××人の人が来るとして…と他人の皮算用を始める。

黒卵屋の時もそうだったし、とんかつやも、旅館の時も同じように売り上げを勘定していた。

奇妙な女だと思った。

商売でも始めるつもりなのか?恐くて聴けない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先の土産物屋の前で小田原行きのバスに乗る

なんだか妙に眠たくなりうつろうつろしているとバスは山中を走り

さっき居た大涌谷に停車、それどころか、ユネッサン、彫刻の森美術館前、小涌谷と

この二日間辿った道のりをバスは走り

うつろうつろする意識下で見る車窓からの景色は、

速巻で時間と景色がさかのぼっている走馬灯のようで

自分は今とんでもない状態におちいっているのではないのか?

タイムマシンバスに乗っているのではないのか?と錯覚するが

俺の肩を枕に寝息をたてるアキコを見ると、妙にリアルで、

別にアキコも居るしカメラもあるからどうなろうがいいや、と思い、知らぬ間に眠っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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箱根 9+17叫


【 温泉熊 】

 

 

 

 

 

 

明日は箱根へ行って、ユネッサンにてバシャバシャやってきます。

日頃のスイミング成果をフルに発揮してこようと思っています。

宿は素泊まり、電車は鈍行、割り引きチケットを握りしめの格安タクロウツアーズ。

あまりのお金のかけなさにアキコ憤怒…

なんで怒られないけんの?いたたまれない気持ちが込み上げる

「お金がないからしょうがないやん」

心の叫び悲しく響く。悲しく響くよ。

 

 

 

 

そういった鬱憤も同時に発散してきます

明日は箱根

 

 

 

 

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羊のいる風景 9+15+16数


【 羊 】

 

 

 

 

 

 

 

【俺の場合】

背の丈の低い牧草が辺り一面に広まっていて、まん中に大きな木が一本、

背後には緩やかな小高い丘があり、遠く右端に赤い屋根で白壁の家がある。青空。そんな風景。

左手前には順番待ちでごった返す羊の集団が居て

羊が一匹‥羊が二匹‥と自分の順番を今か今かとドキドキしている

ようやく自分の番がまわってきた羊は、左端より駆け出し、手前中央にある幅1メートル弱の木の柵を跳び越え使命を全うすると、

そのまま右袖にフェードアウト

次の羊も左から右、同じように柵を跳び越え、消えていく。俺の場合。

誰に教えられるわけでもなく、何を見るわけでもなく幼少の頃よりこの映像を想い描きながら羊を数える。

 

 

 

 

今日も寝つきが悪い、声を出して久々に羊を数える。

でも、なぜわざわざ声を出すのか?というと、それが俺のやり方、なんてことはもちろんなく、

声を出しつつ寝ることなんか出来ないなんて百も承知

ただ自分をアピールしたいだけで、砕いて言うならば、つまり、その、かまって欲しいのです。

横で今にも寝に入りそうなアキコにかまって欲しい一心で声だし羊数えをするが、もちろんのこと煙たがれる。

そして、ふと、

ふとっていうか不意に、俺が羊を数えている際に想い描くこのビジョンは果たして人間皆共通?

君も、僕も、あんたも、他人も皆同じ風景をみて数えているのか?と疑問が生じて

冒頭の俺が見る羊のいる風景を事細かにアキコに説明し

アキコが見る羊のいる風景を聞くことにした。

 

 

 

 

 

 

意外な答えが返ってきた

 

 

 

 

 

 

 

 

【アキコの場合】

一面牧草地、遠くに豆粒のような牛(ホルスタイン)が点在している。

羊は俺同様に左から右に木の柵を飛ぶのですが、待機している集団はない。

オプション(家、丘、牛)などの違いはあるものの、

これは「羊=牧場」という概念から見れば、誰しもが容易に想像する風景なのでさほど気にとめませんが

それよりも、「左から右に羊が跳ぶ」が共通しているのは、どうも説明出来ない

柵を跳ぶっていう行為事体がどうして発生したのか、突き詰めると、よくよく考えると不思議に思う。

ここまではたいして相違点が見られないものの、アキコの場合

木の柵は一つでなく、柵はハードルのように並べられていて

遠く画面奥、牛(ホルスタイン)がいる奥の奥まで延々と続いているらしくて

羊が跳ぶ際も、俺の一回飛びの形式とは違って

羊が一匹、二匹、三匹…と数える毎に、各々が一回づつ跳び、一柵づつ前に進み、列をなす。

つまり、羊が10匹の時点で、画面の中には10匹の羊がいて、数える度に羊は増えていき、

先頭、一匹目の羊は徐々に小さくなる、と言う、遠近法を導入。へぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

話を聞き終り、声も出ない。

「どうして左から右なのか?」「何故柵を跳ぶのか?」「俺とお前の羊は何故に跳ぶ形式が違うのか?」

こういった疑問が浮き上がって考え込んだから声が出なかった、ってのもあるけど、

いつまでも跳び続けなければならない「無限柵跳び地獄」に喘ぐアキコの中の羊を思うと

羊好きの自分には耐えられない。

でもモノは試しにアキコ式で羊を数えるが、どうもしっくりこなくて、より一層眠りが遠ざかっていく。

それどころか自分が見る風景にも影響を及ぼし歪みが生じて

一匹一匹の跳ぶテンポがばらばらになり、

薄汚れた見窄らしい羊が増え始め、

20匹に1匹の割合で、柵に前足を引っ掛けて転倒する羊が現われたりして、

俺の風景が、ビジョンが、イメージが歪んで溶けていく。

崩れた風景を修復する為に、一心不乱に羊を数えていると、青が窓から差し込むのを見た。

世間は朝。

朝だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ケイジバン

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