カブト虫風呂 10+30+31+1糠


【 巣鴨地蔵通り 】

 

 

 

 

 

 

過日ここに書き記した例の“カブト虫風呂”もとい“酵素風呂”

前回は、俺の先送り根性が顕著にあらわれた結果、

早い段階から予約をすればいいものの、前日になっておめおめと予約電話をいれたところであとのまつり、

すでに予約は埋まっていて、己の不手際さに絶望、涙を飲んで行けずじまい

そして畳み掛けるようにアキコによる俺への非難。

こころなしかそれ以来、俺に対するアキコの態度にもキレが生じ

一段と、冷たく、また、不条理な言動を俺にぶつけてくる。

こりゃまずいな、生きづらい。と自分

そもそもの原因は巣鴨にある酵素風呂にはいれなかった悔しさからくる俺への当てつけであると確信し、

ここは一つ、行くか?行っちゃおう!ってなわけでリベンジ/巣ダック

ちゃんと予約をとり、しっかりと所在地を確認、入浴料の2500円を懐に

万事尽くして向かうは巣鴨、およそ十年以上ぶりに巣鴨に行く。

 

 

「おばぁちゃんの原宿」と言うだけあって老人密度が高い巣鴨

そこかしこから線香やつくだ煮やドラヤキの匂いがする、そんな巣鴨

予約時間の18時までにはまだまだ時間があるので、町並み見て回る

まずは小手調べにフルーツ屋に赴き、

おうおうなるほど「花梨の皮を干したやつ」「クコの実」「ポーポー」「黒梅干し」「干しバナナ」など

普段お目にかからないような珍奇な品物が売られてる、流石は巣鴨。

薬局店ではインポテンツ改善系のアイテムや

スッポン、アシカ、サソリ、マカ、コブラ等のエキスが配合された強壮剤が多く扱われていて、

巣鴨の老人力を感じる、亜鉛も売ってる、あやかって購入。

巣鴨のメインストリート地蔵通りに入ると、加速して巣鴨で

両脇に構える店鋪のベースはまずキナ臭い婦人服店

合間合間に和菓子屋、煎餅屋、薬局、飯屋などがある。

ここにも吉野屋やローソンはあるのだが、妙に浮いていてる

試しにローソンへ入ってみると、巣鴨なだけに妙に店内の気温が高い、生温い。

アキコ曰く「老人に優しい温度に設定してある」とのこと

別段他のコンビニと相違している点は見受けられなかったが、おでんの汁の色が濃い気がした、私服のおっさんがレジに立っていた

どろどろ生温い室温に耐えかねてそうそうに店を出る。

それから、干支の下にひらがなで「すがも」と白い糸で刺繍された赤いパンツがメイン商品の下着店に入った後

とげぬき地蔵を参拝

杖を振り回しあちこちぶちながら歩く不思議系老人の観察

老舗と思わしき甘味屋でどらやきと大福を買う

喫茶店でお茶をしながら隣に座る男の不自然な動きの観察

「ぶらり途中下車の旅に出演」とうたい文句のある店を数える

触発されて「ぶらり途中下車の旅」のナレーションのモノ真似

そこそこ似ていると自負

アレンジを加え「おやおやアキコさん…」を連発、煙たがれる。

不思議系老人にまた遭遇する

陽が傾き、夕方5時の鐘の音、世間は夜、灯りが灯る。

そして漸く約束の時間に近付き、5時40分をまわった頃

地蔵通りの端にある「酵素風呂 巣鴨店」の前にしゃがみこむ。

いくら予約が6時だとしても、6時きっかりに入店するのではなく

ここはひとつ時間にゆとりをもって入店すべきだ、とわかっているものの

しゃがみこんでなくてさっさと店に入れ、って感じだけど

2人しゃがみこんでじっとり出入り口を見つめているのには、これ訳があって

なんと言えばいいのか? えぇ…と ちょっと胡散臭い?かなぁ、店の雰囲気がってな感じで

入店するのになかなか心の準備がつかづ

じっとり出入り口を見て、店を出る人、入る人を観察。

例えば、にこやかに店を出る人がいたとしたら、

「なんかいいことがあったんだろうな、店の中で。」と感じ取れ、胡散臭さも解消、大手を振って入店できる

しかし、店を出る人皆がなにやらぶつぶつ独り言を吐き、手にした杖であちこち打ち歩くようであれば、

恐らく店内でなにか良くないことがあったに違いなく、こっちとしてもそれなりの心構えがつける、という算段で、

じっとり出入り口付近にしゃがみこみ見張っているが誰も出てこねぇ

しょうがねぇ当たって砕けろで行くか!と腰をあげた刹那

店より出る2人組、アキコと同じ年齢くらいの女の子でつやつやさせてにこやかに退店

「これだ!」これを待っていたんだと弾けるように入店、階段を昇る、早速おがくずの匂いがする。

 

 

ははは、なんてことはない超アットホーム、超ホンワカ。

そもそもなんであんなにビビってたんだ?ケッケッケ我ながら見事なチキンハート

あの上海の湯屋に比べたらなんてことないのによー、と、

安全とみるや手の裏かえして心底安堵でへらへらへら

へりくだって「あ…あの…予約したものなんですが」と言う間もなく

ガラス戸を開いた瞬間、接客係のおっさんは旧知の仲のように

「いらっさい、あっ林田さんね、ちょっと早いけど今から入れるよ」と手際よくテンポよく接客

ジャニーズ系から女優歌手芸人とさまざまな分野の有名人のサイン色紙や写真が飾ってあるレジにて

入浴料の2500円を支払い、軽い説明を受け、タオル、ガウン、頭にかぶるビニール、トランクスみたいなよれよれのパンツを受け取ると、

アキコは右の部屋へ消え、俺は左の部屋に消える

ペラペラのカーテンをめくるとわずか一畳のスペースしかない脱衣場

壁は白い薄い板でただ空間を仕切っているだけで、天井までは届いていない

軽くジャンプすれば右の部屋、つまりアキコが入った脱衣場を容易に覗けると思ったが

その行為は社会的に不味いな、という言葉が、さっき見た田代まさしの色紙と共に思い浮かんできて

先人の過ちをくり返さぬようにと肝に命じ、いそいそと脱衣。

全裸になりロッカーに荷物衣類を放り込み、白地に青のストライプがはいってるよれパンを履き

頭にかぶるビニール(シャンプーハット?)をかぶり準無万端

いまかいまかと次第に気分が高揚してきて、一畳の脱衣場を右往左往

ふと小振りな鏡がぶら下がっていることに気付き、なんとなしにそこに映った自分の姿を見ると

シャンプーハットにヨレパン男がいそいそしてる、

冷静になってもう一度見てもヨレヨレイソイソ

しみじみ、なんとも可笑しなことになったなぁと詠嘆する。

やりきれなくて小声でアキコアキコと呼ぶけれどなんの返答もない。

ようやくして「ハヤシダさーん」と奥の部屋からおばさんの呼ぶ声がして

気持ちを切り替えて、勇猛に向かう。

裸なぶん高見盛の真似にもキレがある。

 

 

高さ70センチ/幅1メートル/奥行き2.2メートルくらいの巨大な檜の木箱が4つ並べてあって

各々におがくずが入ってる。

手前の2つにはどうやら人が埋まってるようで、人形におがくずが盛り上がり、

埋まってる人の鼻と口だけが露出していてる

なんとも奇妙な光景だが俺もこうなるんだな、と漠然と思い、覚悟を決めるとおばさんの支持に従い

まずシャンプーハットを耳までかぶして、手前から3つ目の檜の木箱の前に立ちおそるおそる足を入れ

おがくずの上に座り、そのまま倒れ仰向けになる

仰向けになるや、おばさんは熟練した手付きで俺におがくずを掻け、あっという間に埋もる、熱っ。

熱い熱い熱い、かといって耐えれない熱さではない、嫌味な熱さではない、むしろ心地よい。

なんなんだろう、なんなんだろうこの熱さ

お湯のそれとは明らかに勝手が違う

ジワジワジワジワジワっと、マイルドな熱さ、そんな感じ。

この熱はガスや薪で間接的に作った熱ではなく

おがくずと米ぬか等によるケミストリー

つまり化学反応で生じただけの熱であるから驚きもひと塩

全身にからまるおかくずから伝わる熱に戸惑いを隠せず、おひょおひょ言ってると

身動きとれないをいいことにおばさんは俺の顔に薄手のガーゼを一枚ひらりとのせ

頭、耳、額、とおがくずを掻け固め、「目にもいいのよ」といって両目の上にもおか、くず。

じんわり目にもくる熱。

ふひゅぅっふひゅぅ吐く息。

なんだかおかしくなってケラケラ笑う。

「とりあえず10分やりますよ、息苦しくなったら声かけて下さいね」「はぁ〜い」とやり取りして

真剣におかくずを味わう。

 

 

はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁは、あっちー、はぁ、

あーくるくるくるくる、くるなー、じんわり、はっ、すげぇなこれ

おかくずってこんな感じがするのね、じゃりじゃりするのね

カブト虫風呂とはよく言ったもんだ、まさにこれだ、じゃりじゃり

幼虫の頃はこんな気持ちなんだろうな、カブト虫って、なかなかじゃん、なかなかいいじゃん、はは

あぁぁにしてもあちぃ、自然の熱ってすげぇな、はやく10分たたないかな

甘鯛、甘鯛、甘鯛、甘鯛、甘鯛、俺は甘鯛、

南フランスで捕れた甘鯛、素材の味を活かした甘鯛の塩包み焼き状態な俺

あぁ汗、おっ、汗は何処へいった? おかくずへ

幾人もの生き汗を吸ったおかくずへ、その塩分が熱に拍車をかけております

シャンプーハットの中の汗、じわりと生じて、したたと垂れる

はぁー熱い、熱い、ははははは、ははははは。はっはっはっは。はー。

しまいにはなんだか笑けてきた。

 

そうこうしているうちにアキコが呼ばれ、右の方向からアキコとおばさんの会話が聞こえる

埋まった俺を見て笑ってやがる

「アキコ、アキコ、すごいよこれ」と話し掛け「あっほんとだ」って返答、普通に嬉しい。

ややあってアキコもついに埋もり、並んでカブト虫

「どう?凄いだろ?この熱さ」って早速先輩口調でアキコに話し掛け

「うん、じんわりくるね」と悠長なことを抜かすので、「まだまだこれからだぜ!」と忠告する

ぴりりりり ぴりりりりと電子音が成り、左の方向で埋まってた人は終了したもよう

どうやら電子音が鳴るとアレなんだなと解釈し

ポツポツアキコとトークしながらぴりりりを待つ

今では汗の垂れる感触がよくわかる。大変なことになってる。

 

 

ぴりりりり ぴりりりり

「林田さーん、とりあえず10分終わったけどどうします? あと3分か5分延長できますけど、やります?」とおばはん

かっ、なんて野暮な、愚問だぜおばはん。もちろんやるさ! 5分延長!よろしくーと表向きはでは強気だが

内心はもう無理、無理っすよ、やばいっすよ、とへこへこなのだけれど

2500円も支払ってんだ、やれるところまでやりたい、っつー貧乏性と

アキコが横にいる手前、おめおめと10分で脱落したりしたら必ずナメられる、下に見られる

ここはいたって平然と「あっ5分延長でぇ」と言ってこそ男、男道、が相成って延長戦突入。

 

熱い、じゃりじゃり、汗、甘鯛、カブト虫、が輪になってぐるぐる巡る脳内

じっと耐え忍んで、いつ鳴るとも知れぬぴりりりりを心底待つ

これぞ男、男の戦い。

黙々と、黙々と、黙々と。

ぴりりりり、鳴らない

ぴりりりり、鳴らない

ぴりりりり、鳴らない

ぴりりりり、鳴らない

ぴりりりり、鳴らない

ぴりりりり、鳴らない

もう5分ぐらい経っただろうが!まだかよぴりりりり

えーい、まだー、ぴりりりりまだー

長くない?5分長くない?

もしや、壊れてんじゃん?ぴりりりり壊れて鳴らないのでは?

そいつわ困る、至って困る、極上に困る

出れないじゃん出れないじゃん、熱いんだよ、こっちわよー

大変なことになってますよ、芯まで熱が通ってますよ

ぴりりりりりり

キターーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「林田さーん、5分経ちましたよ。ゆっくり起き上がってくださーい」

言われるがままおがくずを飛び散らさぬようにゆっくり身を起こす

プハァーー 酸素がうめぇ

檜の箱から降りて空気が肌に触れるこの気持ちよさったらない、

軽くのぼせてクラクラと目眩がする

「これでついたおがくずを払って下さい」と手渡された巨大なブラシで肌にくっついたおがくずを払う

払いながらアキコの埋りっぷりを眺め嘲笑

ちょうどその頃ぴりりりりりと鳴り、アキコも5分延長を告げる

「じゃぁお先に」つってシャワーを浴びる、洗い流す。

これがカブト虫風呂かって、反すうしながら。

 

 

レジのあるフロアにはいくつもマッサージチェアが置いてあって、のぼせてくらくらするのでそれに座っていると

どこからともなくおっさんがやってきて膝に毛布をかけ、熱々の煎茶を振る舞ってくれた

とりあえず熱が引くまでボーッと座っていると、出るわ出るわ汗

両腕の毛穴からプツプツと汗が吹きだし、じっくり眺めていると小さな丸い汗がコミュニティーを形成

ドーム状のそれは地球人が月に移民するさい住まう人工都市を彷佛させ

さながら俺は、その都市を空から眺めている、そんな気分になる、ところへ大粒が降り人工都市の破壊

頭、顔からも尋常じゃない量の汗が人知れず吹き出していて、腕の上にぽたぽたと垂れる

これもおがくず風呂効果なのか?体の芯まで熱が行き届いた結果なのか?

いつまでも汗がとまらず四苦八苦しているとアキコもやってきて

並んで座り、感想、気付いたこと、おもしろかったこと、など発表しあっていると

ようやく汗もおさまりはじめ、もういちどシャワーを浴びてきれいさっぱり

「お世話になりました。また来ます」と言って店を出る。

 

 

なにわともあれカブト虫風呂最高

どっちの肌がつるつるしているのか大会をしながら駅まで歩いた。

 

 

 

 

 

※参照 『巣鴨酵素風呂』http://homepage3.nifty.com/kousoburo/

 

 

 

 


 10+29溜


 

 

久々に過去の日記を読み返すと、

やってたね、去年の10月末はアシスタントやってたんだね。

そして、2年前の10月末は写真専門学校に通ってて、

(家をギャラリーにして写真を飾り客を招く展覧会)“お家展”をやってたね。はぁー。

そりゃ吐くさ、はぁ、ね? ため息の一つや二つ。

嗚呼、今思うとなんたるアクティブ/マイ/ライフだったんだろう?

あの頃の俺は今よりも十二分に写真に従事してたと感ずる、と、すかさずはぁ。

今の俺ときたらば、亜鉛だの、禁欲だの、愛だの恋だの言っちゃってさ、

それもなんだか釈然とせず未消化のまま過ぎ去りて、

しまいには山王戦を読み返し

花道の「左手はそえるだけ」のシュート後、流川とタッチ、試合終了を

読み返しては目頭を熱くさせている始末

スラムダンク第二部はないのか?

もしも第2部が始まったらどんな話を描き、どんな試合を見せてくれるのか?

はたして山王戦をこえる感動はあるのだろうか?などといらん心配をして陽が暮れる、はっ。

ともかく、いつまでも1辺の面積が7平方ダメェの板6枚によって構成された立方体の中に閉じこもって、

なにやら後ろめたいことしている限り俺はこのままで

そこから出る為に、と、お金を溜めようとも一向に埒があかず

何もかもが右から左、コンベアーの上の傷だらけのリンゴのように流れていき

ポクポクポク ポクポクポク ポクポク チーン

名案が浮かびません

ツモツモツモ ツモツモツモ ツモツモ チー

鳴いてばかりで上がれません

 

 

 

手の甲の“ほくろ”を睨んでは、はぁ、ため息。

 

 

 

 

 

 

 


 10+28油


【 口寄せ 】

 

 

 

 

 

カエル灰皿が火を吐いてる風なシャシンが見たいなと思ったのがことのあらましで

じゃぁやろう、つって

ライターオイルを灰皿にまいて火を付けると、ボッと鈍い音をあげてゆらゆら燃える

しかし、思いのほか永く燃えないという欠点があって、

次は丸めたティッシュにオイルをしみ込ませて点火。

あはは、燃える燃える、火力大、とケラケラと喜んでいるのも束の間

火力は次第に小さくなり迫力がなくりはじめたので、

オイル追加ぁとオイル缶からオイルを垂らそうとした時

勢い余ってピュッと水鉄砲のようにオイル発射

燃えるテッシューは一段と大きく燃え、その点は良かったものの、

勢い余って飛び出したオイルが、揺らめく火の上を通過したためこちらも発火。

直線の炎、卓上の時間旅行、

その直線の炎は、あたかもバックトゥザフューチャーのアレを連想させて

デロリアンが走り去った後の地面に残る火みたいで

惨事にも関わらず、すげぇ、かっちょえー、と、

ふるふるふるふる感動に身を任せ歓喜しそして換気する

と言うのも、ティシューからはモクモクと黒い煙りが立ち始め

直線の炎もなんか燃えちゃいけないところまで燃え始め

夢からさめて慌てて消火、「忍法 火遁・蝦蟇油炎弾の術」鎮火。

 

 

イッコノシャシンニロウリョクマンサイ

 

 

 


携帯 10+27貝


【 ぐねり 】

 

 

 

 

 

 

アキコが不機嫌だと、とことん鳴らない俺の携帯電話。

 

着信履歴も発信履歴もアキコアキコアキコ、で、時折バータンが混じるくらい。

友達がいねぃや…と小さくぼやき

ゆらゆら揺れる京葉線、流れる景色をみつつ手持ち無沙汰にパカパカパカパカ

アキコと別れたりしたらこの携帯電話は今よりも無用の長物になりさがるな

なんであいつ機嫌悪いんだろ?

アレがまずかったのか?とうだうだと

携帯を片手で開閉しては、ぼやく、車窓が白む。

 

 

それでも携帯は沈黙をやぶらず、シンと凝り固まっていて

そのさまを見ると、結局出汁が取れただけで終止頑に口を閉ざしたまま命果てた鍋の中の貝を思い起こさせ

お前は貝か?お前は貝なのか?私は貝になりたい?と一連の独り言を言った後

不意に「はて? この携帯電話には幾人の携帯番号が登録されているのか?」と疑問が生まれ

よしここはひとつ調べてみよう!とパカリと携帯を開き、パカリと閉じるその間わずか42秒

なんてことない親類含め32人

うち、こっちから気兼ねなく電話をかけれる人が6人

だからか、だからだ、鳴らないのだ。

 

 

 

登録可能件数300件こそ無用の長物

貝のくせに、貝のくせして。

 

 

 

 

 

 


結局のところ 10+24+25+26無


【 まったりと 】

 

 

 

 

 

 

ほんとうならば「カブト虫風呂」たる珍風呂に入るため

文京区は巣鴨へアキコと二人で行く予定だったのですが、

要予約と知っていたものの、俺持病の“高をくくる病”が発病したため

つまり、1週間ぐらい前に予約すればいいのに、

「たかが湯屋だろ? へっ? 予約だなん大袈裟な。カタチカタチ」と敢て高をくくってしまったため

現実を舐めてた為、現状に疎かった為、俺が間抜けだった為

つまり、その、こんなにも繁昌しているだなんて思ってもいなかった為

前日に電話予約した時点で時すでに遅し

電話口、妙に声のでかい応対係のおばちゃんの言葉で言うと「予約で埋まってます」

付け加えて「キャンセル待ちしますか?」だと。

大いに繁昌してらっしゃる。結構結構。空港か?

そんなわけで、キャンセルないのにキャンセル待ちをする為に、おめおめと巣鴨へ行くのも気がひけて

「じゃぁ行きません」と断ろうと思ったが、さすがに「じゃぁ行きません」ってストレートに言うのはちょっとね、

なんつーの? 不作法な感じがするな、少し不貞腐れた感が語句の中に介在してるな、

俺がのこのこと前日になって予約を試みたことがそもそもの間違いなのにも関わらず、

ここで不貞腐れた感を含ませた言葉「じゃぁ 行きません」と断るのは筋が違う

悪いのは俺だし、いくら客でそんな断わり方してきたら良い気分はしないだろうし、今後の仕事にも響く、と、咄嗟に感じて、

じゃぁなんつって断ろうか?と考えるが言葉が浮かばず、間が生まれ、

あわわあわわと焦り、妙な間を埋めるのに必死になって

「じゃぁ なかったことにして下さい」と、全否定、忘却の勧め。

不可解なことを口走って電話を切り、安堵。しない。出来ない。

というのも、アキコはこのカブト虫風呂を心底楽しみにしていて

あっ カブト虫風呂っていうのは別称で、

なにも風呂釜一杯にキシキシと節足を鳴らせるカブト虫(♂:♀)が3:2の割合いで詰まってる風呂じゃなくて

おがくずやヌカとかが混ざったモノの中に砂風呂の要領で入る風呂。

このおがくずってのがカブト虫の幼虫を飼育する際に用いる木の屑で、カブト虫風呂と別称がついた、らしい。

んで、アキコはこの風呂を楽しみにしていたのですけど、

件の予約失敗につき、残念さをかくしきれなくも「繁昌してるんで予約取れなかったのならしょうがない」と言ってたが

世程愉しみだったらしく、おいおい不貞腐れて、おいおい俺に非があると感じ始めて、俺バッシング。

こなれた俺の平謝りに憤りを隠せない。

 

 

 

そんななわけでカブト虫風呂の夢は消え、丸一日が宙ぶらりんと宙を浮く。

なにもしない1日

お昼にピザを2枚注文してたらふく食べて、

夕方、駅までぶらぶら歩いて自転車のパンクを修理し、

夜、食べ残したピザを電子レンジで温めなおして食べる。

アイスを食べ、おかしを食べ、蜜柑を食べながらテレビを見る。

なにもしない1日。

 

 

 

 

 

 


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