饂飩 12+29+30晦


【 跳ぶ 】

 

 

 

 

もう正月なのでおせちを食う、酒を飲む、ピッザを食う、タイ風グリーンカリーを食う

ご家庭でも青山のタイ料理レストラントで食べたあのグリーンカリーの味を再現することができご満悦のまま

手酌酒はなんとも寂しい気持ちになるので、ぬる燗をアキコに注いで貰う

これで寂しくない、俺は一人じゃない、嬉しくって

わんこ蕎麦のようにパコパコとリズミカルにお酒を召し上がると

なんともおかしなことに目の周りが熱くなり、また紅くなる

顔面は蒼白のまま、目の周辺部のみ紅色、紅白。

やっはっは、紅白紅白ってこりゃ縁起がいいやっつって、なおもパコパコ椀子蕎麦のようにお酒を召し上がる。

蕎麦って云や、ヒメツルソバ? 洋名ポリゴナムか? ちげーちげー

あの陰気にすする年越し蕎麦ってのがそろそろありますな、

いつだ? あぁ明日だ。

俺、あの蕎麦がどうも好きになれない

というよりも、蕎麦が嫌い、蕎麦が憎らしいの。

だってさ、なんかちやほらされすぎじゃん? たいしてうまくないのによ?

でも、百歩譲って旨いとしてもだよ、蕎麦専門店でこれを食うと一杯のおかめ蕎麦で900円くらいしやがるの

ほんとばかばかしい、馬鹿じゃないの、蕎麦。

だから俺は饂飩を食う

低価格で栄養価の高いジャパニーズジャンクフード饂飩を。

両親が早々に福岡に帰省してしまい、晩食を俺が拵えなくてはならなくなってしまったここ数日

それをいいことに、俺は自由だわっひょいわっひょいと喜び、饂飩ばかりを茹で、饂飩ばかりを食う。蕎麦なんてないがしろ。

だからさ、俺は決めたの。アキコと話し合って決めました。

年越し蕎麦はどうも陰気でいけねぇ何が細く長く生きようだってんだ、この負思考め

俺は形式上だけでも長く太く生きたいの、だから蕎麦は食べません、年越し饂飩を食べます。

饂飩をたべて陽気にサンバに年を越します。

 

今日は12月31日、晦日。

アキコは仕事へと出てゆき、帰ってくるのは21時前

その間俺は、まずスーパーへ行きお雑煮用の寒鰤を買い、

バイト先の花屋に行って「ご苦労様花」を店長から頂き

昨日購入した豚ブロック肉を土鍋でことこと煮詰め豚の角煮を作り

それを煮ている間に、薄力粉に水と塩を混ぜ、ばっしんばっしん饂飩を打ちます。

手打ち饂飩

間もなく元日。

 

 

 

 

 

 

 


拭う 12+28滓


【 猿・モネラ 】

 

 

 

 

 

 

バイト中、90分毎にトイレへ行き洗面所で口をゆすいで

口の中のじゃりじゃりとした埃っぽさを拭ったあと、

ポケットの中からタバコとライターを取りだしてひっそりニコチンを吸引しています。

2、3口深く吸い込んで、ゆっくり吐く

鏡に写った埃っぽい自分の顔を見て嫌な気分になる

それを拭うために顔を洗う

タオルやハンケチを持っていないと気づくのはいつも顔を洗った後で

しようがなくトイレットぺーパーで顔を拭う

置いていたタバコをまた口にくわえ

いつまでも鬱陶しい自分の顔を見ながら、顔に付着したトイレットペーパーのカスを指先で摘んで取り除き

蛇口をひねり、勢いよく出る水道水でタバコの火を消す。

 

 

シャシンを撮る、

花に水をやる、

ニコチンを吸収する、

 

 

そんな日々、年末、年の瀬、あと3日。

 

 

 

 

 


クリスマス 12+25+26+27X


 

【 メリー 】

 

 

 

 

アキコが帰宅する約1時間前にアキコの部屋に行き

予約してまで購入したコムサのケーキを隠す。

 

「なぜケーキを隠すのか?」と云うとアキコを驚かすためであり、

「なぜケーキごときで驚くのか?」と云うと

ここのケーキをかねがね食いたいと切望していたからである。が、理由の半分で

後の半分は、俺みたいな底面収入の社会落伍者がお気軽に買える価格のケーキじゃないのだが

そんな貧苦を乗り越え経済枠を超越することによってアキコもびっくり。そんな感じ。

それに只、アキコの奴を喜ばし驚かすためだけじゃない

「まさかあのケチで野暮ったい男が高級なコムサのケーキなんて買っては来ないだろう」と

常々俺を軽んじてみるアキコへの報復であり

俺を見直せ!であり、

これを機に再び政権を我が手中に収めるための俺の布石であり、革命であり、聖夜の聖戦である

そう、いわゆるところのテロル、あるいは、ハッピーサプライズ計画

そんな野望を胸に

このケーキを目前にしたら、きっとアキコの奴のことショックでヒクヒクするだろうな、けっけっけ

俺は心の中でそうほくそ笑み、ケーキを冷蔵庫に入れるが、ノー

ダメダメ、こんなところに隠したらダメダメ、すぐ見つかる、それ以前に隠しきれていない

ご丁寧なことに、ケーキの包装紙にコムサと英語で印字されている為に、箱を見られただけで計画は崩れる

そそくさと冷蔵庫からケーキを取り出してどこに隠すかを思案する

「下駄箱はどうだろう?」いやっ駄目だ!きっと見つかりはしないけどなんか嫌

「じゃぁ洗濯機の中は?」案外いいかもしれんけど、気づかずに洗濯されたら大事、却下

「じゃぁクローゼットの中?」だめ、取り出しづらい。

じゃぁじゃぁ・・・と、自問自答したあげく最終的に行き着いた答えはタクロウガーデン

おっそうだベランダに出しておこう!ということで一つ落ち着いたが

ここで新たに問題が浮上

というのも、タクロウガーデンにはよくよく猫が進入するので、下手するとケーキを猫に食われる心配がある

さすがにそれはやだなぁ、おもろいけど、やだなぁ

この問題を回避する策として、ケーキをゴミ袋で包み、その上からバスタオルで包む

いくら猫でもこれだけ厳重に巻き巻きされていたら手も出せねぇだろうと目論み落ち着く

念には念ということで、ガーデンの隅にケーキを置き、バケツと傘置きでバリケードを作る。

そんなタオルで包みバケツや傘置きで囲まれたケーキを遠くから見ると、なにやら得たいのしれないモノに見えて笑える

ほんとのテロ爆弾みてぇだなと思いつつタバコを吸っているとアキコから電話があり

駅に着いたというので、お迎いがてら、買い物がてら駅まで行く。

 

 

・・・

 

 

巨大鶏もも肉の照り焼き(骨付き)、寿司、ローストビーフ、ピザ、つみれ鍋、キムチ、ビール、ビール、缶酎ハイ

テーブルの上からしてかなりメリー色いっぱいで、世間はぴかぴか、ホカホカハッピー、自然天然ボルテージも上がる

兎に角あれだ、まずは祝おうぜつってカチンと飲み物をぶつけ合い乾杯

では冷めないうちに・・と云うまもなくがっつき、むしゃむしゃと、もりもりと、寿司を食いピッツァを食い

キムチとビールの至極コンボでほろ酔うと、

くりくりとした銀色の靴下を履いた巨大鶏もも肉の照り焼き(骨付き)を掴み、むしゃり、極ウマ

お互い手にもも肉を持ち、向かい合ってむしゃむしゃ食い、時折肉を重ね合わせミートクロスを作るや再び食うを重ねるうち

そろそろ頃合いじゃねぇの?と思い立ち

ファーストサプライズである「ケーキ投下作戦」を決行する

実はアキコの見ていぬ間にケーキ軍を部屋の中、カーテンの陰まで進軍させており

すでに5本、ローソクも立っている

後はケーキ軍総司令官・俺が手にしたライターでローソクに火を放つを待つだけ

ちらちらとアキコの顔を伺い、ケーキ投下作戦決行のタイミングを計る。

しかしそのタイミングは何時なのかちっとも分からぬので

半ば強引に明かりを消し、心の内で「作戦決行!!!」と叫ぶや

カーテンの陰に頭を入れてローソクに火を灯すが、

このローソクの餓鬼と来たらばあれほどまでに抜かりなくしておけと云っていたのにもかかわらず

ちろっを出してねぇ、火をつけるちろっとした糸を!!

そのせいで俺は酷く火を灯すことに手間取るが、何事も冷静を欠いたら成就しねぇと心で呟き

冷静に丁寧に火をつけ、よやく5本全てに火が灯ると

♪ ソー メリメリー クリスマース ホーアーオゥニューオー と口ずさみケーキを披露

ケーキを目の当たりにしたアキコは、カカカ、云うまでもねぇ

きゃぁきゃぁと喜び、はしゃぎ、驚き、至極幸福そうな表情

脳内では俺への評価を急いで書き換えているんだろうなと手にとって見える

 

そんなわけでファーストサプライズは予想外の手応えを感じ

俺への評価が高いまま、後半戦に突入

このまま一気に畳みかける、かけてやる!

この一年アキコにかけた迷惑や遺恨を拭い、かつ、見直され、かつ、政権を手に入れてやる!と目論み

セカンドサプライズ発動

ファーストサプライズでは“爆弾”を用いたが

畳みかけるには“爆弾”では役不足

「押して駄目なら押してみな」の格言にのっとって“核”を投入

 

 

 

セカンドサプライズ「核時計投下作戦」

 

 

 

 

過日ここでも書きましたが、アキコは2万円の腕時計を欲していたが

「(どうせ甲斐性なしの駄目男ハヤシダケチロウなんかが、私のために・・ってか人のために2万円以上の腕時計なんて買ってはくれるはずないものね。

というよりも、1万円の腕時計すら買ってくれるか分からない、中古かもしれない)でも、あなたが買ってくれるだけで嬉しいわ。」

 

 

つまり、俺はなんの期待もされていなかったわけで・・

舐められていたわけで・・・・・

 

 

しかし、この背景は今の俺としては好都合

駄目からのスタートだから平均値を突破すると喜びも一塩なり

つまり、俺は、アキコの意に反し高い方を買った。

ってか、ずっと前から買っていた。

しかし、あえて答えをはぐらかしアキコを不安にさせることにより

この時計は、核は、よりいっそう効果を発揮し

ゆくゆくはタクロウ王朝復活の布石となる

俺はそればかりを考え、長いスパンをかけこの計画に従事してきた

しかし、実際カネ無しの俺には手痛い出費だったことは確かで

何度も安い方でいいかな?と心が揺れたが

やっぱそこは『愛』的な部分が作動したのと

「じゃぁさ、1万の買うか2万の買うかを運で決めます! 

今、俺のポッケの中に携帯が入ってて、偶数の“分”だったら2万の買う

んで、奇数の“分”だったら、こっちの1万のやつ買う!

姉さんが見てね、んで何分か云って

オッケイ?

じゃぁいくよー はいっ!」

(カパッ)

「どっち!?」

「えぇ・・ と・・ きゃっ! 30分!!!!!」

「買うっ!」

そんな時計屋のお姉さんとのやりとりで生じた『運』的部分が作動したんだと思う。

 

 

 

 

 

そしてようやく、去年の自転車旅行の時のテーマソングがラジカセから流れ

Aメロが終わった頃、核投下

アキコは不安と期待の入り交じった複雑な表情のまま包装紙を剥ぎ

中から小振りな小箱を取りだし、その蓋を開く

キラキラとした時計が顔に反射するや

見たこともないような笑顔で喜ぶ

そしてそれを腕にはめ、うっとりとする

俺はその一部始終をデジカメのビデオモードで撮影する

幸せなメリーを祝った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、ここまで人事を尽くしたのにもかかわらず

政権は已然とアキコの手中のなかにあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サンタに「来年のクリスマスプレゼントは「政権」が欲しい」と祈ってから、眠った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ジョンレノンの歌 12+24イブ


【 ケーキ 】

 

 

 

 

 

 

世間はクリスマスイブ、慰撫。

さすがに客なんか来やしねぇ

それもそうだろ? この時期、独り身なだけでさもしいのに

わざわざエロビデオ屋まで赴きよ、んでもってじっくり熟考

「こっちの5980円のエロビデオが欲しいけど、この時期に5980円の出費はいてぇな

今日は一つこちらのセール品1980円のでがまんするかぁ・・・・・

でもな、5980円の見たいな、エロそうだしな、まじみてぇ、まじ悩む。

でもあれじゃない?仮に俺に彼女が居たと仮定するとだよ、イブを一緒に過ごすだろ?

うん、過ごすね。あーやなこと思い出しちまった。

でも、まぁ一緒に過ごす、そうすると食事代・プレゼント代・交通費・その他雑費等々カネがかかる

あー んー およそ4万円位は使うだろうな、うん、使うね、俺そういう時にカネ使うタイプだし

で、どういうわけか今年はこの時期に彼女が居ない、まぁ去年も居なかったんだけどね

そうすっとだよ、今、彼女が居ない俺は4万円を使わないでいいから、はは、4万円浮いてるじゃん

つまるところ、彼女がいたら4万円を出費しているが彼女のいない俺は4万円儲けてるってことじゃん!やったー!

彼女がいなくてラッキー!

だったらなんで5980円だの1980円だの悩んでんの?俺?

俺は4万円儲けてるんだよ!?

買っちゃおうよー 買っちゃえよー 5980円のエロスをよー

5980円差し引いたとしても、まだ34020円儲けてるんだぜー はっは

ここは一つ、そうそうアレだ、自分へのクリスマスプレゼントという大儀で買おう!買ってやろう!エロビデオを!」

こういった様々な葛藤をしたのち、5980円を支払いエロビデオを買う客なんていやしねぇ

だから俺は、客が来ないものだから、

レジカウンターの裏のソファに横になって

『キャベツキムチを作ろう!』という、何とも興味深いNHK教育の番組を見たり

いいとものクリスマス特番恒例のアレなコーナー、芸人殺しのコーナー

ものまね合戦をみつつ、アキコと電話であれあれと話し

「明日バイト終わってから、3タクロウスがあなたの街にやってくるから待っててね、いい子でいるのだよ」つって電話を切る

 

 

「アキコがいなかったら俺史上最低のクリスマスだったな」と思わないようにしながら

バイトが終わり深夜一時、寒空の下、家までとぼとぼ帰る

♪♪ ソー メリー メリー クリスマース  アオーニュールゥムー・・・・・

うろ覚えのジョン・レノンの歌を口ずさみながら。

 

 


鬼掃除 12+23鬼


【 地域指定 】

 

 

 

 

 

我、義も仁も忠もなき不人情な鬼となりて

地域指定ゴミ袋を片手に持ち、空いた片方の手でゴミを掴み

ぽんぽんと景気よくリズミカルにゴミを放り込む。

 

 

鬼なので、「はて?これはゴミかえ?」と迷うグレイなゴミを掴んだとしても

いちいち作業を中断してまで悩むことはせずにぽんぽんぽん景気よく捨てる

景気よく捨てることに刹那的な快楽を覚えているが為、どっちかってぇと捨てる

それに、ラテン系の鬼だからね元来、リズムをとても重要視する

そういった性格も反映してリズムを崩すような中断なんてすることなく捨てる

でも、捨てた瞬間「やっぱいる!」と思う時も少なからずあるが、否、多々あるが

鬼だから、鬼なので、プライドが高いので、

おめおめと蹲ってゴミ袋に腕を差し込んでまで“やっぱいるゴミ”を取り出すことはしない

なぜならそれは鬼だから、鬼たる所以だから。

無情・非情・外道・覇道

振り返らぬ刹那的な鬼の生き様

 

 

 

鬼変化のおかげで短時間で部屋は大方片づく

部屋の片隅に膨れあがった地域指定ゴミ袋が置いてある

あとは、床を雑巾で拭き、パソコン周りの配置換えや、漫画の整理などの精密作業に移行する

そろそろ俺に戻った方がいいと思う

思いこみって結構怖いしね

いつまでも鬼でいると精神が浸食され

テレビなんてものは、大層な成りをしているのにもかかわらず

放映しているモノはといえば「マルシアが離婚しただの」「奥名が結婚しただの」と

愚にもつかぬ戯れ言ばかり

そんなん知りたくもないんじゃ 売名だろっ?

そんなもんは糞じゃ! 世間様に毒をまき散らしてるだけじゃい! いらんいらん

上戸を出せ! 上戸をよー!!

上戸を出さぬのなら捨ててやる!テレビめ!

TVだとか英語表記なことだけで調子に乗りやがって、ぽいぽい。と

まずは小手始めに写らぬテレビにいちゃもんをつけ

ヘルメットを掴んでは「お前はなんだ! 丸いじゃないか! その年で丸くなるなっ 尖れ!! 尖って生きろっ!」と説教をするだろうし

「なんなんだ!? その胸を半分露出させた淫猥なコスチュームはっ! この淫乱女め!

おまけに、締まった腰、きゅっとした尻、欠点のないそのボディ、そして愛らしい顔

お前はそれを武器に幾人の男を手玉に取り弄んできたんだろ、この女狐め、変身ばかりしやがって・・・

俺が制裁を加えてやる、おちやがれっ ゴミ袋のそこへ」と、

キューティーハニーのフィギアをへし折り捨てること必至なので

すぐさまジョブチェンジ

鬼から駄目人間ってか俺へジョブチェンジして

「オセロと掃除は隅が命」ぶつぶつ云いながら、隅に溜まったホコリを雑巾で拭きとっては休憩して

パソコンの周りを片づけると思いきやインターネットに耽って

漫画を整理していると、いつの間にやら漫画を熟読していて

あぁ掃除掃除 早く片づけなくっちゃ なんて1ミリも思わず

本来なら左から右へ123・・・と、巻をそろえて本棚に収納しなくてはいけないところ

漫画が読みたいからいちいちそんな面倒なことをする気が湧かず

ただ隅っこに漫画を平積みにして、そして前よりかは綺麗になったと強制的に納得して終了終了

日が陰り始めた頃、ようやく大掃除を終える

 

 

 

 

 

 

その後、こざっぱりとした部屋で紅茶を飲みました。

 

 

 

 

 

 

 


アキコ思考 12+22メ


【 シャコバ 】

 

 

 

 

きっと、アレだ、俺というマイナスからのスタートだからアキコは危惧しているんだと思う

俺が用意しているメリーなプレゼントに対し

「ねぇ中古とかじゃないよね?」とか訊くんだと思う。

 

そりゃぁ、アタクシ、カネなしの上、甲斐なしのなし崩しで

そもそもこういった祭事に対して常々斜に構え、

「俺は仏教徒だぜ、真言宗とかだぜ」と

隙あらばねちねちと否定的意見を吐いたりして煙たがれる

そんな俺を見ているアキコだから、俺の用意するプレゼントに対しても一抹の不安を抱えているのだろう

いやっ、明らかに疑心を湧かせている

それ以外にも、

何につけても節約を重んじている俺のこと、所謂所のケチロウな俺のこと

価格が1万以上の欲しいズッカの腕時計を、ホントは2万以上ズッカの腕時計が欲しいけど

たぶんおそらくあの万年金欠野郎のことだから安い方を買っただろう

まぁそれでも十分に嬉しいんだけどね、ちょっと不安、というよりかなり不安

先月は漫画喫茶が潰れて今月は給料入らなかったって云ってたし、

先月末には結婚式とか、こないだは飲み会とかあったし

はたしてお金は残っているの?

それにケーキも予約してたし、すぐ年越しも迎えなくてはいけない

私に回すお金はあるのかしらん?

・・・もしかして中古?

 

 

多分アキコの思考は上のように巡り「ねぇ中古とかじゃないよね?」に至ったんだと思う

「俺」と「カネ」と「希薄なお祭り」と「高価なプレゼント」

これらの点と点を結びつけ、アキコなりに導き出した答え

うん、まぁー、あれやね、いい線いってんじゃん?

でもなぁ、欠けてるよ、大事なもんが、さ。と、

どうせならと、はぐはぐにはぐらかし、アキコの中のミステリアスを増幅させ

伏線を張り巡らす

張り巡らせすぎて足を引っかけ転ばないように気をつけます

 

 

 

 

 

 


ぼくもかえーろっ 12+19+20+21歩


【 でんでんでんごろがえって 】

 

 

 

 

結婚式とか、バータン就職祝い飲み会とか、高円寺友情会だとかの所謂“宴系”

自分と云う人間は、あの、その、なんだ? つまるところわしゃしゃと叫びはしゃぎ倒す飲み会が大好きで

そりゃぁもう気を緩めず誠心誠意酒を飲み、酒を飲み、飯を食い、気が向いたら話し、あとは大抵梅干しを潰しながら酒を飲み

宴半ばで帰ろうとする人があれば

時間なんて関係ねぇよ! お前はどういう概念で生きてんだ!?

はっ?明日は仕事だと? 朝一で?

けっ!なにぬかしけつかる 俺は休みやもん、のもーぜー いいじゃん仕事とかサー 今を幸福で満たされようぜー かえんなよー クニオー

などと云うだけ云って

それが成功しようと失敗しようとさほど気にせずアヒアヒと駄目になるまで、朝になるまで遊ぶのである

だから今回の「チャカさん就職おめでとう まじおめでとう飲み会」でも

上にある自分に乗っ取って、東高円寺のジナンズバーでアスファルトと一体化するまで飲もう、否、飲んでやる!と熱く心に誓い

宴が開かれる約一ヶ月前よりイメージトレーニングを積んできた

のにもかかわらず、因果だなぁ、ほんとどうしようもなく因果だわ

因果なことに「飲み会行くな」と云われる、アキコに、因果なことに。

しかし何故?何故にそんな野暮なことを云うのか?

いくら彼女であっても規制できることと、規制できぬことがあるはず

そこまで束縛するとは如何に?烏賊に?蟹?

「飲み会くらい行かしやがれコンチクショウ」である

俺はそう叫び訴えてもいいわけだが、もちろんのこと云わない

と、いうよりも、言えない、立場上、ってか、論理上、その、約束上ね。

 

過去3度、4度大規模な飲み会があり、その都度『終電までには帰ってくるように』とアキコに云われていたのにもかかわらず

その全ての約束を破り、また、嘘をつき、かつ、無為なアリバイをでっちがえたりして

その結果、アキコの俺に対する信頼度が面白いほどに下がりに下がり

終いには「約束破るのなら飲み会に行かないでください」と云われるようになった

その度に「ごめんごめん次はちゃんと帰るからさ」と懇願し、許しを得て

暢気な顔して飲み会に参じ、終電の時間が迫ると「おおーやべーやべーそろそろ帰らなくては電車がなくなるぞ」と思うものの

不思議なことに、なんなんだろう?ほんと不思議、全然帰りたくないの

だってさー飲み会とか超面白いんだもん

「でも、まぁ、あと10分は平気だな」

「10分過ぎたけど、あと5分は大丈夫。ダッシュするし、よゆーよゆー」

などと、自分をごまかしごまかし宴に興じていると、あわわ楽しい時間は早く過ぎるモノだから、きゃぁきゃぁ終電乗れねぇー

そういうことを繰り返し繰り返してきたせいもあって、アキコの堪忍袋は儚くもちぎれ

「飲み会行くな」を余儀なく受け入れざるえない状況に陥ったのだが

何日間も説得をしたのち、

「ようやく行ってもいいけど、あんたわかってんでしょうね?」

「はい。もちろんです。帰ります。終電までには帰りますので行かしてください」

「ほんと、次遅れたらもう無理だからね」

「大丈夫だって。ちゃんと帰るよ。12時30分までに」

 

 

 

 

そんなこんなで、紆余曲折したが俺飲み会に参じ

チャカ就職おめでとーわーい酒酒かんぱーい!って皆で祝い酒を飲み

じゃんじゃかくる食い物をはじから食べ

門限が設定されているので急ピッチで次から次にアルコールを流し込み

わしゃしゃ わしゃしゃ バータンクリスマスどうすんの(笑)?など云って

2時間だか3時間だかを多いに満喫したのち

じゃぁ場所変えて東高円寺にいこうぜ!と皆の意見が一致し、会計をすましお外に出て

ちょっとまだ時刻は10時30分と早いけど、このまま2次会に流れ込んだら帰りずらくなるなと察するや

頑張って「ごめん、俺帰る」とこの時生まれて初めて、飲み会の空気を遮る言葉を発すると

もちろんのことブーイング、バータンなんか「アキコとか関係ねぇよ、行こうぜタクぽん」と云うが

俺の決意はものすごく固く、「ゴメン、アキコが怖いから帰る」の一点張り

しかしこの一点張りは案外柔らかく、チャカに「私も11時過ぎに帰るから、2次会行こうよ」と云われて2次会参加を決意

 

 

場を東高円寺に移し、クニオも来て、なんか盛り上がってたのだろうけどよく覚えてない

11時を過ぎた頃、逃げるように店をあとにして電車に乗る

1時間もかかんねぇうちに着くはず、ヨユーヨユー

車内で独り思いほくそ笑んで、時間通りに帰る自分がとても誇らしげに思えた。

 

 

 

 

 

 

・・・

 

 

 

早朝4時

足を引きずり、半分泣きながらアキコの家にようやくたどり着く

寝室にいくと布団の中で寝息を立てているアキコ

それを呆然と立ちつくし眺め、力無く「ただいま」と俺

もそもそと動き、俺に気づいたアキコ

「・・・・・・・・・おかえり」

汗でべったりする皮膚、からからの口の中、シャワーを浴びて全てを流す。

全てを流しながら思う

 

 

『どこで間違ったのか?』

 

 

 

・・・・

 

 

 

 

 

 

 

新宿で乗り換えたあたりからおかしかった

今思うと、俺の中の妖精たちがにわかに騒ぎ出したのはあの新宿を過ぎたあたりだ。

しかしあの頃の自分は世間知らずで鈍感で、妖精たちの声にすら耳を傾けようとしない子供だった

俺がもうちょっと大人だったら・・

もっと早く妖精と真剣に向かい合ってさえいれば

きっとこんなことにはならなかったんだろう

今更悔いてもしようがない

 

 

新宿を抜け、電車を乗り換え、アキコの住む町まであと6駅となった時

妖精たちの暴動はピークを迎え、俺は思わず電車を飛び降りる

そして妖精を押さえきれなくなった自分は、

知らぬ街の知らぬ駅の知らぬプラットホームのお手洗いで夢をぶちまけた

指をのどにつっこみ、オロオロオロロロロロー グアッ オロロー 夢をぶちまけた。

夢を吐き捨てた自分は前よりか少し気分が軽くなったが、それでもまだまだグロッキーで

堕天使気分でプラットホームのアスファルトにしゃがみ込み

スースーハースースーハーとラ・マーズ系呼吸方を繰り返し

夢を失った消失感と第二次妖精暴動を抑えることに終始していると

プラットホームに電車が滑り込んで来て、あと6駅がんばろうと立ち上がりドアー付近によろぼい近寄るが

ふゅーっと電車のドアーが開くと車内は押し詰め状態で、しかもむわんとした空気があふれ出し

咄嗟に満員電車の中でオロロロロローと夢を、ってかゲロを吐く自分を想像してしまい

それは現実でもありうると実感した結果

俺はその場に立ちつくし、ドアーがふしゅーと閉じ、何事もなかったように電車が走りすぎるのを見送った後

「歩いて帰ろう」と心に決意を固めて、知らぬ駅の改札を抜けた。

 

 

 

 

 

 

歩けど歩けど全然しらねぇ道

とにかく国道をまっすぐ歩き、コンビニにたちより地図で今現在の場所を確認し

「吃驚するほど明後日な方向に歩いていた、2時間も。」と知って愕然としながらも

俺は大阪から静岡までママチャリで駆け抜けた男だ、こんなことじゃへこたれん!たまるかっ!と奮い立たせ

うるうるこみ上げる惨めな感情を抑えながら

「♪ ぼくもかえーろっ おうちへかえろ・・」と精一杯日本昔話エンディングを口ずさみ

線路の上をよろよろ歩く

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 

 

 

 

 

歯を磨き、シャワーを浴び終え、寝巻きに着替えると

するりとアキコの眠る脇に滑り込み

とびきりの笑顔でお茶目に「結局4時間もかかっちゃった」と云うと

ぴしゃっと頬をはたかれ、そのままひっついて眠った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


エスカレーターらへん 12+18デ


【 初代・二代・三代目 】

 

 

 

 

 

 

興奮しすぎて、某大型電気店の入り口からもうキーキー喚き

いざこれから買うって時にはみるみるうちに顔面が真っ赤に紅潮

今一度これから購入するカメラを念入りに弄ってから一念発起して

アキコを携えレジカウンターに歩み寄るや店員がちろちろ寄りつきそうな雰囲気をかき消すために

「デジカメくださーい」と叫び相手の出鼻をくじく

店員はそんな紅潮顔面男俺に少しばかりひるむが

次の瞬間から営業スマイルを負けじと爆発させ「どのカメラでしょう?」と訊くので

はっは愚問なりとこころで叫びつつも、表面ではやや斜に構えて「FZ10を下さい」とクールに言うが無理

俺の中の喜び組がキダム以上のアクロバティックパフォーマンスを早速繰り広げるので

冷静になんていられない、熱暴走、なおも紅潮

レジカウンターに俺が心より欲していたデジカメを並べ

「こちらですか?」なんて言われると「オフコース」としか言いようがない

あぁ嬉しくて嬉しくてむしゃくしゃする

店員が3年保険だのポイントカードだのなんかいうが、そのほとんどが耳に入らずの上の空

その都度、傍らに立つアキコが恥ずかしそうに俺をつつく

そしてようやく各種手続きを終え、カネを払い終えた後

店員が梱包するそのカメラを見ながら「ようやく俺のモノになった感」が体中に充満し

至福・幸福・絶頂エクスタシーに身を任せている最中

アキコは俺の顔をまじまじと見つめている

はいはいなるほどね、そうやって俺の喜び顔を拝んでいるのかい、縁起物だしね、とちくとも気にとめていなかったが

なんかやばそうなモノを見る目でアキコは俺を見るので

高速ハイテンションのまま「どうした?顔?俺?何?」と訊くと

「たくちゃん顔紅いよ」と言うので「知ってる」っつーと「違う」という

相変わらずアキコは物事をうまく伝えれねぇ奴だなと思うが

そのことに遺憾の念をありありと伝えると、この喜ばしい日に再び喧嘩の火が灯るのはごめん被るので

「違うって何さ?」と訊くとアキコ

「紅いよ・・・・ たくちゃん目の周りが真っ赤」

 

 

 

釣り銭を受け取り、商品を受け取り大手を振って今し方溜まったポイントでバッテリーやらなにやら購入して

意気揚々、世界は俺のモノ的に闊歩して店を後にする、その手前、エスカレーターら辺

しきりまだ、アキコは俺の顔ってか目の周りが紅いと連呼するので

エスカレーターの柱、鏡張りの柱に顔を近づけまじまじと自分の顔を見ると

やはは、言うだけのことはある、目の周りが真っ赤、変身前のウルトラセブンを彷彿とさせる。

しかしながら俺はカメラを買った、新デジカメを買ったった。

その事実の方が大きく、また強力なのでして

目の周りを真っ赤にしたまま、キャーと叫びたい衝動を抑え、くるくると回る。

紅潮してくるくる回る御仁、それは俺。

メリーメリー

エスカレーターら辺にて。

 

 

 

 

 

 

 

 


休日専業 12+16+17鍋


【 ギフアキ 】

 

 

 

 

正午を過ぎてスーパーへ今晩の夕餉の食材を購入しに出かけるがてら

4カ所くらい花屋を巡って

おやおやビオラが・・

パンジーが・・・

ゼラニウムが・・

オレンジジュームが・・

ムルチコーレが・・・

綺麗に咲いてますなぁ

と、いちいち感想を呟きながらスーパーのビニィル袋をぶる下げて帰路

家に着くや早速袋の中の食材を広げて台所に立ち、鍋に火をかけ、タバコに火をつけ、料理開始。

利尻産のコンブからじっくりダシを取り

そのダシで骨付きの鶏のぶつ切り肉をこれでもかというほどに煮る

よりいっそう肉を柔らかく煮る為に米を数粒投入してから煮る。

ついでに銀杏切りにした大根も入れ、煮る、味よ染みこめ。

一連の煮る作業を終えると次は“きりたんぽ”の制作にかかる

まずご飯を棒でつき、ただひたすらにつき、こね、ねちぇねちゃと、

いい頃合いを見計らい米の粒をはかなく残しつつもおおかたを潰し終えると

今度はそれを手でこね棒状に延ばしたのち、フライパンで焦げ目のつくまで焼く、焼いてやる。

鍋を気にしつつもフライパンで焼き

あらあらあらお鍋の中が大変、てんやわんや、出てるじゃないですか、灰汁が。と。

今度は灰汁取り作業に心血を注ぎ、灰汁を殲滅する。

料理のしたごしらへを終え、台所でコーヒーを飲みつつ柿の種を貪りプロゴルファー猿を読んでいると

虫の知らせか?

やたらと外が気になり、なんか雨が降ってるような気がしてきて

タクロウガーデンに出るが、勘違い、雨なんて降ってねぇ

だがこのまま部屋におめおめと戻るのも癪なので

ついでに午前中に干した洗濯物の乾き度をチェック

乾いていれば部屋に入れ、乾いていないのなら継続して干す、の決定を下すアレをやる。

まずはタオルをフニフニと入念につかみ、次いで神妙な面もちで頬にタオルをこすりつける

それを一枚一枚入念に確かめた後、俺会議全員賛成で干す続行と相成りて

そのままタオル等を放置、反省しろっと言わんばかりに。

じゃぁじゃぁ部屋に戻ろうかいと背中を丸めて思うその刹那

あっそーだそーだポインセチアを見なきゃ

昨日の晩、アキコが購入したピンクのポインセチアがしんなりしていて

「お前、これ、このポインはあれだ、水が足りてねぇよ、あとは多分日照不足」と診断

水をしこたま飲ませ、日光に当てておいたポインを見ようじゃないか、

元気になっているか?と手にとってまじまじと見る

うん、うん、そこはかとなく元気になってるね、ピンと葉を伸ばしているじゃん結構結構

ついでに駄目葉を摘み、一服タバコを吸った後部屋に戻り思い出したように台所に立ち大根のかつらむきをする

そしてこれをすり下ろし、白い大根おろしと

唐辛子を詰め込みすり下ろし、赤い大根おろし、いわゆる紅葉おろしをこしらえ

チヂミってあんなに簡単に作れるのね、と詠嘆しながらNHKの料理番組を見ていると

アキコから電話があり「今駅についた」と言うので

きりたんぽを取り出し、マイタケを裂き、白菜を適度な大きさに切り、

白菜は蓋をして煮込むことにより、うま味が出るということを踏まえ

具材を鍋に放り込んだあと蓋をして煮込む

上着を羽織り、部屋に鍵をかけアキコを迎えに行き、コンビニで茶を買い部屋に戻り晩飯

ぐつぐつ煮える食材の上に大根おろしを盛り、『タクロウじっくり水炊き紅白鍋』の完成

ハフハフ言って食う

この鍋は100点満点中98点の高得点をマークした

昨晩に作った豆乳入りカルボナーラより1点上回った

「アキコぉ 今度は何食べたい?」

「えぇー なんでもいいよ」

「なんでもいいよが一番困る」

「えー んー」

「あっ! チヂミは?」

「うん、チヂミいいね。」

「じゃぁチヂミ作る」

俺は主婦か?

 


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