御成婚 4+23+24

【 魂串 】

 

 

かねてから友人のヒロキさんと亀ちゃんの結婚式に出席しました

おめでとうございます

末永くお幸せに、今後もよろしくおねがいします

今度アキコと遊びに行きたいです

お日柄もよく、誠に良き日を迎えたのも日々の鍛練の賜物であると僕は思いました

八重桜が満開で空は青く、そのコントラストがなんとも「日本」だなぁと思い思い

自分はスーツに革靴履きの姿に三脚とカメラ2台を襷掛してチャリンコで疾駆

御目出度い日なので俺ルールに則って朝から缶ビールを飲み干し

弱ほろ酔いで会場であるところの阿佐ヶ谷の神社に1時間前に到着

何故に一時間も前に参ずるのか? ちょっと早すぎやしないかい? 関係者でもあるまし?

と思う方もありましょうが、ノンノンノン

新郎新婦の御友人という立場でおよばれされましたが

僕はアレなので、カメラとか、そう、シャシンとかをまぁ仲間内でも良く撮るタイプでして

新婦の亀ちゃんに「是非結婚式のシャシンを撮ってやくれないかい?」とお願いされたので

「おやすい御用だ」と二つ返事で返す、あいかわらず気っ風の良い男だと己に惚れながら

あとあと冷静に考えると、結婚式の撮影と言う漠然として正味よくその実体のしれぬ撮影を引き受けて大丈夫だったのか?

ってか、俺、物心ついてから真面目に結婚式にでたことがないからなおさら結婚式ってモノを、ルールを、順序をよく解してないし

この度の婚礼はふさふさした紙が沢山ついた棒を振るような和式の結婚式で、例外なくこういう式にも参列したことなどない

そんな自分がまっとうに撮影できるのか? おい? おれよ! と不安を抱きつつ

妙に朝早くに目がさめ「タクちゃん珍しく早起きだね、亀ちゃんの撮影に緊張してるの?」とアキコに言われるが

「うん」と弱音を見せるのは癪なので「そんなことは一切ないです、俺は大丈夫です、写真ですからなんでもやれます」と吐きつつ

起き抜けに冷蔵庫から缶ビールを取り出し、一息に飲む、少し心に余裕が生まれた。

相変わらず前口上が長い、そして日記を書出すまでも長い、以下話しを戻して

一時間前にあらわれたのは式中の撮影の段取りなどを宮司さんと打ち合わせる為でした

「参列者は先にお堂に入り、その後新郎新婦が参堂しますので、このシーンを撮影するとよいでしょう

それから神事にはいりますので神聖な儀式になる為、祝詞が終わるまでは撮影しないでください

その間は常にここの隅で待機していてください

そして誓文の儀式、魂串の儀式、とあり、新郎新婦が前まで出てきますので

前まで出てきても構わないですが、くれぐれも神様の方にお尻を向けぬようにし、2.3枚撮影して下さい、おねがいします

それから三三九度、親族による魂串の儀式、親族紹介、固めの盃、などがありまして、大体以上の流れで終了し、退出いたします、よろしくお願いします」

よろしくお願いしますっていわれても、そう次々と耳なれぬ言葉を言われてもわかんねぇよ、といいたげな顔

だけど言わぬ、全神経を集中させ聞いたのでポイントは押さえた

それら宮司に言われたことを反すうしながら

絶対にミスらない

絶対に儀式を遮るようなことを起こさない

絶対に不可抗力だとしても三三九度の器とかを倒してしまい

うわぁ日本酒がスーツを浸してなんかすげぇ臭ぇとか言って静粛な儀式を無茶苦茶にしない

今日はお二人さんにとって人生で一番大事な日であると言っても過言ではない

そんな日を気持ちよく迎えてもらうのが友の役目ではなかろうか

俺の役割は写真を撮ることだ、がんばろう、気をつけよう、絶対的な空気になりきろう、と心を決め

待合所のソファに座り、サクラの塩漬けが入ったサクラ茶を飲みながら

どういう風に撮るかと構成しながら、フィルムとか電池とかを子細にチェックしていると

ひぃとしの姉とかリーダーや占い姉やユカママに千鶴にガイ先生、課長と王子と集まり

つくづくこの人たちの本名はなんだろう?と思いながら

撮影現場を仔細にチェック、玉砂利が敷いてあるからダッシュしたら静粛な儀式を邪魔するので

なるべく砂利音をたてぬ歩き方、走り方を思索しているとついに式が始まり

参列者がお堂に入り、新郎新婦がお堂に入る

俺はそれらを一部始終撮り終えたあと、一番最後にお堂に入って

脇をすすすすすーと抜け、定位置にて鎮座

祝詞が終わるまでまち、要所要所に立ち、忍者のごとく物音をたてずに暗躍

和楽器がピヨォ〜と鳴りだした隙にフィルムチェンジをし

カシャャ−とフィルムを巻き上げる機械音を和楽器のピヨォ〜でかき消す、本日最高のプレーを見せて極個人的に御満悦

当初懸念されていた三三九度の食器を倒すといった粗そうもなく

無事に儀式は終了する

緊張と緊張と義務感と使命感で、儀式の内容はどうとか聞いてる余裕はなく

巫女さんが2人いるけど、やっぱり処女なのだろうか?と思う余裕しかなかったけど

自分では空気的な存在になれたとおもうし、けっこう良い写真は撮れた、と思うけど、

若干室内は暗かったから手ブレとか起きてたらどうしよう、と思うことは思うけど、

儀式に支障をきたすことなくやり終えて僕は満足です、と思う

信じられぬほど疲れた、滅茶苦茶緊張した

 

 

 

 

緊張の糸が切れた自分は、その後の披露宴にて山ほど飲みかつ喰らい

一度家に帰り、俺の家の前で20分も待って近所の人から変な目で見られていた闇金融の人みたいな形のバータンとアキコを引き連れ

二次会会場の阿佐ヶ谷ホームラン堂でまた飲みかつ喰らう

 

 

 

充実した一日だ、2人にとって良い日であったことを祈りつつ

ぱんぱんに張った腹をなでなで家に帰り、風呂に入り、お布団に入ると

「タクちゃん、ちょうど0時だよ〜」とアキコが言うので

はっとなって飛び起き「アキコさん!23歳のお誕生日おめでとうございます!」と祝詞

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誕生2 4+24

 

 

 

 

 

「気持ち悪い、胃の奥が重くむずむずとする、死にそうだ」

♪ああ〜 死にそうだ〜 僕らの街に雪がこんこ・・・・

そう思わず歌ってしまうが全然陽気じゃない、気分も落ち込んでいる

純情商店街を歩く俺とアキコ

気持ち悪いのは昨日こんこんと飲んだアルコールが齎した副産物二日酔いのせいではないではない

気分が落ち込んでいるのはアキコの誕生日に用意したプレゼントが

とある業者の手違いで未だに届かないからではない

髪を切らなくてはならない為に美容室にかなくてはならないからで

髪を切らなくてはならないという意義の解らぬまま、

ナンセンスな常識に染められゆく自分を見て泣きそうになりながら

これが民主主義なのか? これが自由経済大国ニッポンなのか?

それは全然自由じゃない、くだらねぇ、いっそのこと死んでしまえと

世間をのろいつつ、現社会体制に批判的な意見を述べつつ

歳をおうごとに比例してどんどん美容室が嫌いになっていく理由も、もう、自分でもわからないところにいってしまった

つくづく思う

軽々しくモノを言うんじゃない、と、つくづく思う

-----------回想(ここから)----------

「わけあってプレゼントが用意できませんでした、本当にごめんなさい。

その変わりと言ってはなんですけど、今日は一日アキコの為になんでもする

なに? なにが良い? おっ! 飯とかだったらがんばって作るぜ! なにが良い?」

「髪切って」

-----------回想(ここまで)----------

軽々しくモノを言うんじゃない、と、つくづく思った

しかし男性に二言はないので、それにアキコの誕生日だし、始めは気楽に髪切るゾーと思ってたけど

こうやって美容室を探し歩いているうちにどんどん気分が滅入ってきて

冒頭の気持ちになる

 

 

さんざん徘徊し、半ば自棄、半ばキレ気味に一件の美容室にアキコ先頭で入り

毎度のごとく起こる「美容室に灯油をまき散らし火をつけてマリゴールドを投げ入れたい衝動」にかられるが

ぐっと堪え、むっつり黙ったまま、「今日はどうなさいますか?」と言われても「あっちに聞いて」とアキコを呼びだし

自分は長いだけがウリみたいになってきて、ここ2.3年正直どうなの?いいのかこれで?

新キャラ出せばいいってもんじゃない、もっと初期の頃のように下町情緒あふれる作品を書いて欲しい、でお馴染みの

「こちら葛飾区亀有公園派出所」60巻を読む

苦渋苦肉苦痛苦心発疹心が千々に乱れながら、ようやく苦行を終え

金を払い奇声をあげ、頭を無茶苦茶に掻きむしりながら、

自棄になってドラッグストアにあるサンプルワックスを髪の毛に塗りたくり

髪の毛を真直ぐ立てる、俺の心を髪の毛で表現、怒髪天

 

 

 

ある程度やっていると落ち着き、飛び散った心の破片集まってくると「今日はアキコの誕生日だ」ということを思いだし

ケーキ屋でケーキを買い、スーパーであれこれ食材かって

ナイトメアビフォアクリスマスのフィギュアを買って

ナイトメアビフォアクリスマスのビデヲを借りて、家に帰った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

晩、とっておきのワイン(399円)を開け、ささやかながら誕生日を祝った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてこの日記を書き終えた現在時刻1時07分

俺、25才になってました。

 

 

 

 

 

 

 

 

風景 4+22

【 十字キー 】

 

 

 

眠りに入るまどろみのなか、月に1度か2度の割り合いで耳の奥が超振動する

耳の奥の奥がブォォォォォォンと超振動して心が不安定になる、気色が悪い

しかし、超振動することはよくよくあることで、始めて超振動した時は恐ろしくてその晩は眠れなかったが

最近になってやっと余裕ができた、この超振動を冷静に観察する余裕が生まれ

この振動はなんなんだろう? 幻聴か? テレパシーか? それとも霊的なエネルギーを俺は浴びているのか?

もしくは20代も中盤に差し掛かるこの時期に、ようやく特種能力(エスパー要素)が芽生える前触れなのか?

と、あれこれと疑惑が湧き、冷静にこの感覚を調査していると

耳の奥から始まった超振動はやがて脳や顔、肩とエリアを拡大していき、不意に体中を支配する

金縛りにでもあったように身体が動かない、それでいて意識ははっきりしているが、とてつもなく眠い

このまま眠りに入ればとても気持ちが良いように思える

けれども体中が超振動したまま眠りに入るのは、気が引ける、気色が悪い

それに自分の中の本能が「このまま寝たらヤバい気がする」と訴えてくる

この超振動のまま眠りにつくとはたして自分はどうなるのか?

意識が混濁する

ゆっくりと目を開くと、見知らぬナイスミドルが俺の枕元で俺の顔を覗き込み

驚愕したような、それでいて心の底から安堵したような表情で俺を見つめ、物凄くなにかいいたげな空気を発しているが

なにか言いたいのは俺も同じだ

目を開いたら知らぬ男がいやがる、強い口調で「お前誰だ?」そう言うやいなや

窓、白いブラインド、暖かな光、白いシーツ、病院のベッドの上

そういった周辺の環境を一気に理解する

男は喋らない、柔和な表情のままだ、前髪に少し白髪が交じっている

優しく俺を見ながら、ようやく口を開いた「・・・父さん」と呟いた

目を開く、真っ暗、耳の奥、超振動は続いている

指先に全神経を集中させて、体中を覆う痺れの卵を内部から破壊する

右腕が動き、右足が動き、続いて身体が覚醒する

痺れる頭の中で自分で拵えた呪文を何度も何度も繰り替えし

がばっと上半身を起こして、ぶりぶりと身体を振る

あぶなかった、あのまま眠っていたら大変なことになっていた

何十年も意識が戻らず半ば植物人間になっていた自分がいた

あの晩、超振動のまま眠ってから時間がぶっとんだ

アキコはどうなった? タクロウジャシンはどうなった?

俺は何十年眠っていたんだ?? 老いた感覚が侵食してくる

妄想なのか、原風景なのか、

 

 

 

 

 4+20

 

 

 

今週末は亀ちゃんの結婚式があるがためカメラの手入れや準備を怠らず

35(ミリフィルム)でも撮らんといかんかなぁ、なぞと思い

非デジタルカメラを取り出して電池のチェックをする、かたわら

来週末からゴールデンウィークじゃん、むほ

へたしたらやたら休める、珠玉の連休

(長時間多肉光線を浴びせ、多肉好きになった職場の同僚)から聞いた話によると

ゴールデン中に「東京都立神代植物公園 大温室内」にて多肉植物転があるらしい→国際多肉協会

こいつぁ 行かなならん

早速アキコを誘い連休の計画を埋める

御殿場アウトレットにも行くと思う

久々に映画に行くのもわるくない

あと、俺の人生観的にも大きめのイベントも待ち構えている

オオ、案外充実珠玉の連休

そのうえ今週の日曜日、アキコの誕生日

次の日の月曜日、俺の誕生日

 

 

この先2週間極濃縮

そろそろ放出

5月5日は モンキー・D・ルフィの誕生日

 

 

 

オンザミ 4+18

 

 

 

花屋から現在のパソコン仕事に転職してからかれこれ4ヶ月

以前より動かなくなり、一日中パソコンの前に鎮座して指先を動かしてます

最近運動不足甚だしいです、汗もかきません、冬だから肥えます

挨拶が遅れました、こんばんは、一般肥満です

体重が5キロ増えました

嘘です、6キロです

体脂肪も女子並です

体脂肪を計る体重計に久々に乗ると、知らぬ間に「標準体」から「一般肥満」にクラスアップしてました

「一般肥満」を示す液晶がチカチカ瞬いていました

2度計測しなおしたけど、結果は同じでした

少し笑いました

現在ム−ミンみたいな体型のアキコにも笑われました

互いにオン・ザ・ミート

ベルトの上にオン・ザ・ミート

 

 

 

目立つ肉(アピールミート)は有無いわさず腹の肉で、あとその周辺部腰周り肉

ここの贅沢な肉が体脂肪/体重を稼ぎだしているポイントゲッターといっても過言ではなく

裏を返せば、ここいらの肉がなくなれば自分は晴れて標準体に舞い戻り

あわよくば筋肉質体型にもジョブチェンジができる

勝負のカギは腹の贅肉が司っている、と、アキコと会議をした結果答えを導きだし

じゃ ここいらの肉を落とすには、やはり、動かしカロリーを燃焼させることが一番の近道なので

原始的かつ古典的な方法を用いて、俺、仰向けになり、両足を曲げ、両掌を後頭部にまわしたのち、ぐっと上体を持ち上げる

つまるところの腹筋運動をやる、3度やる、腰に違和感を覚える

俺腰弱い、ガラスの腰、昨年ギックリ腰になって以来、付加を与えると重い違和感を感じる体質で

現に早速腰が痛くなり、またあのギックリ地獄を呼び起こすと死活問題なので

贅肉よりも腰をとった保守的な人間の自分は即座に腹筋運動を中止

「今まで長いこと生きてきて俺だって1度や2度どころじゃないもっとだ、

何度も毎晩腹筋背筋腕立てを50回 計3セットをやるぞ!と決意したことわあったけど

ことごとく2日しか続かなかった、だから今回も続かない、ってか

いまさら腹筋運動を躍起になっておこなうとか浅ましく蓋しく情けなく、むしろ男らしくないと思う

まず現実を受け入れろ、贅肉を受け入れてから動けばよいのではなかろうか、どうだろうか、どうだと思う? アキコよ?」

「知らん!」

「知らんじゃねぇよ・・・・どうすっか、とりあえず間食しないように心掛けよう・・・・」

「顔は全然太ってないのにね。お腹ばっかりがポッコリしてるよね」

「何が詰まってんだろう・・・ ここに・・・・・・優しさ?」

「バカじゃないの?」

「じゃぁ・・・ここには?」

「あんた!!なにテーブル乗せてんの!!!!」

「なにって?キンタマじゃん」

「汚い!!! テーブル拭いて!!」

「汚くねぇよ、この勇気袋は汚くねェ!」

「バカじゃない!?」

「バカではないと思う、けど冷静に、客観的に自分を見てみると、少し面白いなと思った

あと、勇気袋もいいけど、元気玉ってのもいいね。」

 

 

 

 

4+16

【 夏野菜 】

 

 

 

 

 

赤ピーマンとナスとキュウリの苗

培養土、鉢底石、バーミキュライト、ミリオンA、大きめのプランターを用意して

土曜日の昼下がり、ぽらぽらよい陽気

タクロウガーデンVer.2“タクロウバルコン”にて野菜を植える

バルコニ−(ベランダ)で育てるのだから水分の蒸散が強くなるのを見越して

保水力の高いバーミキュライトを市販の培養土に混ぜるとはなかなか心憎い配合をなさいますな、自分

その上、保水力が高いと土中に溜まった水が腐って根が腐りやすくなる状況を見越してミリオンAを配合

水の浄化をするミリオンAをこの期に及んで配合するなんざ、なかなか抜け目のない男だよ、くくく、と

1人御満悦の自分は、そうそう野菜は元肥が大事だ、と思い出し、

通常より多めに元肥(あらかじめ土にまぜる肥料)マグファンプをいれる

 

 

♪バーミキュライトをたっぷりんこ〜    

♪マグファンプをたっぷりんこ〜      

♪ミリオンAをたっぷりんこ〜       

♪混ぜて混ぜて  最高の土 たっぷりんこ〜

 

 

気持ちよく口ずさみながら土を作る俺と

しつこく「たっぷりんこ」と言う俺の主に語尾の「〜りんこ」にいちいち反応しムカムカするアキコ

「ちょっとやめてよ!そのたっぷりんこってやつ!どこかの変なタレントじゃないんだから!」

「変じゃねぇよ! あの人は、もう、完全昇華しています

あそこまで恥ずかしげもなく徹底して脳内惑星をこしらえるのは一朝一夕じゃできません

僕もアップル学園に入学したいとすら思います、

苺型の対決戦人形兵器に乗り込み、コリン女王陛下と葡萄型の殺人ウイルスをばらまきます」

「意味が解りません」

「さしずめフルーツ革命」

 

 

 

 

 

 

上手に野菜が植わる、水はけもよし

ついでに「宝草」「珠々姫」という名の多肉を2株と

ハーブ「サントリナ」、ダリアとユリオプスデージーも植える

 

 

 

 

 

 

 

罠 4+14

【 山吹 】

 

 

 

携帯電話はあれば便利だけど、無くても生きていける、だけど無いと不便

家に携帯電話を忘れた、忘れて今日一日生きてみて改めて心底不便だなぁと思う、

そういうことに不便さを感じるのは自分が列記とした現代人だからだなぁとも思う、

染まってる、染まってるなよ世間に? 風潮に? 時代の流れに? なにかしらに?

あらかじめ財布から10円を数枚取り出しておいて、右掌に包む、街をうろつく、10円玉が温くなる

いつもならポケットから小意気に携帯電話を取り出して

カチャッと開いて発信履歴から発信、ただそれだけのアクションで電話をかけられるのに

今日ときたらば、今日の俺ときたらば、家に忘れたので、アレを、アレを忘れたから電話をひとつかけるのにも様々なアクションを起こさなくてはならない

まず上にあるように10円玉を事前に用意する、この場合100円玉でも良いのだけれども、100円だとなにかと不便

仮に1分10円の通話料金がかかるとして100円だと10分

10分話す人には不満はないだろうが、俺、ただ俺「今から帰るから」とひとこと

「イマカラカエルカラ」の9文字を伝えるが為に電話をかけるわけで、10分もいらない、5秒でこと足りる

そんな5秒の通話時間の為に100円を払うのは業腹だ、釣り銭だって返ってくるかわかんねぇ

ってか10円払うのさせ気が引けてくる

わざわざ「今から帰るから」を伝えるだけに金を払い、そのためだけに街をうろつき公衆電話を探さなくてはならない

くぅ やっぱ携帯電話がないと不便だ、って、あっ、別に「今から帰るから」を伝えるだけなら手段が電話じゃなくてもいいじゃん

そ、そ、メールがあんじゃん、超便利、メール、ナイス文化、メールとか言ってマジ利用価値高けぇ

そう思い思い携帯電話を取り出す、あれ? ポケットにない、鞄にもない、底のほうか? ない、うわっ ああっ 忘れてた

携帯電話忘れているのを忘れてた

夕暮れの水道橋で薄く笑う俺、に薄く夕暮れのしまいのほうの光がのっかる

哀愁、切なさ漂う画、主人公は自分、を他人目線で見てのち

さぁて公衆電話、公衆電話と思い出したように歩き出す

 

 

ガラス戸を手前に引くと、なんかまん中の節が折れ奇妙な形で扉が開くでお馴染みの公衆電話ボックスに入り

汗でねちゃねちゃした10円玉を入れ、ピッポッパとプッシュボタンをプッシュ、うんともすんともいわねぇ

理由は解らない、原因はおそらく俺のプッシュ間違い、もしくは、公衆電話の使用方法に誤りがあったのかもしれない

つーか公衆電話とかすげぇ久々に触るわけだし、こっちも茶化す気とかなく、わりと真面目に取り組んでるわけで

間違えてもしょうがなくない? 真面目にやったしよくねぇ? 微妙に緊張感してますし、一回じゃうまくいかねぇよと思い思い

一度受話器を置く、したらば釣り銭口から10円が戻ってくるはず、ガチャリンと音が鳴るはずなのに、鳴んねぇ

釣りが戻ってこねぇ、ってことはアレか? 今俺うまく電話かけれてた?

あー まじかー すげぇ損した気分、しょっぱ(な)からうまくいかないと決め込み、行動してたからダメだったんだ

出来てても出来てないと、自分で自分のクビを絞めてた、なさけなし自分、腑甲斐無し自分、なし崩し自分

猛烈に自己反省をしながら、それでも未練たらしく釣り先口に指を突っ込む自分に「浅ましいわ!この守銭奴!」と突っ込みをいれようと思って、やめた

???

くしゃり

???

くしゃりってなんだ? そしてなんだこの指先の感触は?

あるとしたらお金しかないはずのこの場所に金属以外のものが入ってる・・・んんっ?? 詰まってる!

なんだこれ? と狭い公衆電話ボックス内で縮こまり釣り銭口を覗き込む

???

???

??

あっ、紙が詰まってる

 

 

 

どういうわけか紙屑がつまっている、それも紙吹雪みたいな1cm平方の小さな紙屑ではなく

直径5センチくらいの丸まった紙屑が詰め込まれている

それを見るなり自分は一瞬で悟った

これは釣り銭が落ちてこないようにしむけた悪質な悪戯

悪戯というよりもむしろ罠

ここに紙屑を詰めておくだけで釣り銭が戻ってこなくなる

がんがん釣り銭が降ってきても、蓋のかわりになった紙屑の上に溜まる

使用した人は「あれ?おっかしーな?釣り銭戻ってくると思うんだけど、そんなに話してないよな・・・

でも携帯電話に電話したから、あんがいお金がかかったんだろうなぁ」と思い、もらえるはずの銭をえられない

チャリーンと音すら鳴らないから、釣り銭すらあることすら気付かないし

明確な料金明細がない為、最終的には個人の感覚で決断を下さざるえない

「釣りが戻ってこないということは、それだけの分の通話をした、電話器が間違ってるとは思えない」に答えが到着する

己と帳じりを合わす

意外な盲点を着いたオーソドックスな罠

でも俺は引っ掛からないぜ

こんな罠を仕掛けるくらいだからよほど金に困ってるのだろうけど

なかなかどうして、俺も困ってる、10円単位でも見のがさないし、それ以前に疑問を残すのが嫌いです

くはつはつはつ、ざまぁみやがれ、とうきうきしながら指をねじ込み、紙屑を取り出す、行為に没頭しているのですが

なかなか取れない、けっこうグッと詰まっている、なんだこれ? すげぇ回収方法が悪いじゃん

もっとシュっとやれるようにしとけよボケ、あぁ、くぅ、指イテェ

でも、あっ、やっぱあった! この感触! コイン! うわっ! この色合い・・・銀!

おいおいおいおい、先客いらしたの? 銀? 100円じゃん! うわっしかも2枚? 奥に俺の10円も見える すげぇー

200円を発見し、妙に気分が高揚して一生懸命指をつっこむ

終いには地面に膝をつき、右人さし指と中指を巧みに使いぐりぐりやりながらふと思う

この今の俺の状態って第三者の目から見ればどのように写るのか?

なんか釣り銭を取るのに手こずってるやつ・・・・まぁ そう見えるだろう

じゃぁ問題ない、都会の人は冷たい上に利己的な人ばかりで干渉されるのを極端に嫌ううえ、

他人に干渉すると「きっと自分は嫌われるだろう」とおもってるから干渉しない/できない人ばかりだから

今の俺を見ても、見て見ぬふり決め込んで過ぎ去って行く、全くもって問題なし

じゃぁ今後も継続して210円を取り出そう! そもそもここに罠がアルなんて誰も知らないだろうし・・・・

・・・・・・・・・・・・・誰も?

・・・・・誰も知らない? 

・・・・・・いやいる、知ってる人いるよ、少なくとも俺意外に1人いる

 

 

そのことに気付くと急に恐くなりばっと後ろを振り向く

ガラス戸越しに右から左から人の波が絶えず流れる、その中に1人、俺を注視する人間(幻覚)

この罠を拵えた人間がこの付近にいるかもしれない

ずっと俺を見ているのかもしれない

そう思うと気分が悪くなる、が、負けたくはない

そんなやつに俺の210円をもっていかれるのは業腹だ、壊してやる、この罠も、あなたの計画も!

 

 

出口までかきだした紙屑を指を細めそっと摘み除去完了

無事210円を救出でき、じゃぁ帰ろうと表にでた

そして再び公衆電話ボックスに入った

ガチャ、ジャリン、ピッポッパ

・・・・・・・・

「あっ オレオレ、って、あっ、やっぱオレオレって言っちゃうね、自然に言うもんだねオレオレって

今後はオレオレって言わない、なんかむかつくしね、アキコいいのないかねぇ

今何してんの? へぇ、ふーん、まぁいいや、今から帰るから、なんか買ってく? アイスとか? いらん?

えっ? おでん? あっ うどんか! うどんがおでんに聞こえた

じゃぁうどん買ってく、うん、金? 金はあるよ、うどんぐらい買えるよ。

じゃぁ まぁ そういうことで 今から帰りま−す。」

ガチャリン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

案外話すね

 

 

 

 

 

 

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