第3部

 

「花を買いました」4月13日

【 熊ちゃんケーキ27 】

 

 

 

 

厳密には12日間前倒しだけど

職場のカレー部の皆さんに27歳の誕生日を祝ってもらった

と、同時に

俺が今の職場に入ってから今までの2年と4ヵ月

ずっと同じチームで仕事をし、苦楽をともにし

公私問わず仲良くしてくれて、かつ、

俺に、手ぬぐい、自転車、盆栽、音楽

(キセル・フジファブリック・ゆら帝・フアナモリーナ・ピンバック・エンケンなどなど)

新たな世界を惜し気もなく呉れたカレー部部長

阿呆ほど偏屈で、猜疑心と被害妄想に溢れ、閉じきった貝のような自分が

この人の言うことだけは今まで一度も疑ったことはなく

人生論や恋愛論や心掛けを聞く度度に目からウロコがぼろぼろ溢れ

多分に影響を受け、この人からさまざまなことを学んだ

徳の深い人はこういう人のことを言うのだな、と、感じ

かつて自分が観音様のようだ、と、比喩したこともあるが、あながち間違っていないと今では確信しています

あの人は観音で、自分は飢饉で貧窮した村人です

会えてよかった、それだけでは満足できないけど会えてよかった大好きだ

このままずっと一緒に仕事をしていけたらさしたる不幸は感じないと思ったけど

なかなかどうして、そう、思ったように人の生き方は運べず

部長、目出度いことに寿退社と相成って、さよならだ。

 

自分は、自分は、どういう顔をすればいいんだ?

泣けないし、笑えないし

ただただ寂しいばかり、ただただ淋しいばかりです、本音です。

 

 

しめっぽくなってしまいましたが

そんな飲み会

俺の誕生会 兼 部長のサヨナラ会

in 高円寺「沖縄料理抱瓶」

花を買いました

退職のプレゼントに、あの人が好きな緑の菊花を買いました

 

 

「何も私が死ぬわけじゃない。私は生きてるから安心してて。」と言われても心はどんよりと暗いです

けどいつまでも暗い気持ちはよろしくない

元に、これ、俺の誕生会だし、皆俺を祝福してくれているわけだし、主賓が沈んでいるとかありえん

門では笑顔でむかえなくてはならんので

自分はアルコール度40の泡盛をどしどし飲んで

ゴーヤ豚足テビチーミミガーソーキ汁を食って旨い旨いと舌鼓

かは かは かははははなんて乾いた笑いも

酒が進むにつれ随分湿ったいい感じになり

プレゼントを貰ったり(ありがとう)

中央に生クリームの熊ちゃんがあしらわれたケーキを食べたりして楽しく過す

 

 

26才は、ほんと、辛い1年だった

なかなかしんどい1年だった

生涯で苦痛ベスト1の1年だった

ずいぶん遠回りした気もするけど、ひと回りもふた回りも成長したと思えます

27才にどのよう人生が待ち受けているのか見当尽きませんが

楽な道は選ばないように生きたいと思います

これでタクロウジャシンはお終いです

独り身になったし、部長もやめてしまったし

キリをつけるには今しかないと漠然と感じたからです

2007年4月13日をもちまして

タクロウジャシン第3部「高円寺恋女房怒濤遍」完

 

2007年4月14日より第4部

「高円寺暴走現実没頭遍」が始まります

 

 

 

 

 

 

お店をでて、商店街の脇にある駐車場

コンクリの間から雑草が生えた駐車場で記念ジャシンを撮った

素敵なシャシンが撮れた

素敵な雰囲気が撮れました

 

 

 

【 カレー部集合ジャシン・シャイボーイの自分はライダーポーズで顔を隠す 】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部長を途中まで送る

最後に握手をした

今生の別れとは思っていないけど

これから人生やっていける自信が

かなり揺らいだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「独り身の影、くっきりと黒い。」4月10日

【 桜、三輪 】

 

 

 

 

 

 

4月は残業がないので19時には帰宅しています

仕事に追われないこともあって、平時よりもまっとうに晩飯を食べ

ゆったりと風呂にはいり、まったりと過しています、ぽっかりと宵を吐く

こういうなんを、幸福な日々とでもいうのでしょうか

味気のない生活とでもいうのでしょうか

「普通」を幸福と定義つけるのなら今は幸福なのかも知らんけど

自分にとっては、つまらない幸福の日々です

正直、むなしくて寂しくてささくれます

例えるなら

だらだらとだらしなく広がった風呂敷のまん中に知恵の輪が置いてある感じ

わざわざ中央まで赴いて輪を解くのも億劫だし、かといってやることもない

実際はやることなんて一杯あるけど、知恵の輪を解こうか解くまいか

迷うことに没頭しすぎて時刻は0時を超えました、そろそろ寝なければなりません、の繰り返し10日

 

ちめたい布団に滑り込んで、己の体温であたためる

目を瞑る、耳を瞑る、思考を瞑る

「何も考えまい、何も考えまい」

気を緩むと丸い自分の影に飲まれそうになる(時には半分っくらい飲まれたりもする)

平穏がもたらした有り余る時間

ただただ浮き彫りになるのは独り身の影、くっきりと黒い。

 

 

時間を捨てていると言う錯角に追い込まれる

このままじゃダメだってことは重々知っている

寂しさ余って、右に習って、女に走るって手もありっちゃありだけど

それはなんだか安易だし、つまらないということも知っている。

 

 

 

 

シャシンかな?

シャシンだな

シャシンなのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「春の日の夕暮れ」4月8日

【 網膜 】

 

 

 

 

風もなく暖かい春の日、朝から焼酎を2杯飲んでバスに乗る

激しく揺れるバスの中、詩を一遍暗記しました、春の日の夕暮れです。

暗記することに大いなる意味はありません

暇つぶしに覚えたわけでもありません

意味はよくわからないが、テンポと言葉の羅列が気に入ったから

好きになったから、魂に刻み込みたかったから暗記、従順なのは春の日の夕暮れです

「アンダースローされた灰が蒼ざめて」なんて文章、おそらく生涯でてこないと思います

ついでに「伽藍」も出てきません、ずっと「かあい」と読んでいました

春の野に咲く小さな紅い花だと思いこんでいました

実際は「がらん」と読み、花ではなく僧侶が集まり修行する清浄な場所ですって

ポトホトそんなことは知らなかったよ

荒れ狂うバスの車輪、グリスを失いぎしょぎしょ軋む

私が歴史的現在に物を云へば

嘲る嘲る 空と山とが

 

 

 

反転して昨日、心残りだったスポークが修理されました

スポークとは自転車の車輪を支える、放射状の細い骨のことです

スポークが1本 はぐれました

おかげで車輪は歪んでしまいました

メリーはまだ走れる!こいつの底力はこんなものじゃない!

自分は信じていました

 

とある自転車屋は修理に5000円かかると云い

別の自転車屋は1週間預かると云う、どちらも頂けない条件です

吁! 価格は高いか・・・高い

財布の紐 緩まるか・・・緩まりもしまい

自分で直そうとすら考えながら3件目の自転車屋に行くと

「2時間で直すよ、お代は1500円だよ」と言ってくださり

自分は両手を上げて見事な万歳の形

さっそくお願いして、あっというまにメリーは直った

自転車屋によるこの価格差はなんなんだ

利を追求すれば人間はこうなってしまうのか?

確かなのはふたつ、メリーの修理は毎回あの自転車屋にまかせることと

あの自転車屋をガレーラと呼ぶこと。

 

 

ヌメランと薄暗く湿った高円寺

昔のAV女優とすれ違いました

このまま 無言のまま メリー号は前進します

自らの静脈管の中へです

 

 

 

 

 

 

 

 

※ 中原中也/「春の日の夕暮れ」から多々抜粋

 

 

 

 

 

 

 

 

「巨大な?がニョキニョキ生えた」4月6日

 

【 玉椿 】

 

 

 

 

オタマジャクシが群生する職場付近の公園で

とんこつラーメンを食べて御満悦の自分は

人工池のぐるりをとりまく岩に腰掛けて

やや薄土色の水面を眺めながら、煙草と春のうららかさを享受しつつ

あしたから週末だ、午後の仕事が終わればその瞬間から自由の王様になれる、と胸をときめかせ

へらへらと水面を直視、オタマ観察、にしてもオタマジャクシが多いな

前回影でくくった時よりも、明らかに、オタマ数が爆発的に増加している

なんだこれ、これが世に言うオタマフレアか? 人類オタマ計画の前兆か?

きっと親御さんもこんな都会の一等地にはなかなか産み落とす場所がなく

唯一池のあるこの公園に大挙して産んだに違いない

オタマも生きづらい世になったな、すまんね、けど、俺も生きづらさを感じてる

辛さどっこいどっこいってことでさ、お互い逞しく生きようや

 

聖地シューエイシャから徒歩1分の公園、ここジャクソン公園(今命名)で

無数のオタマと熱い契りを交わし、携帯灰皿に煙草をねじ込んで不意に襲ってきた虚脱感から背を丸めて俯いていると

半ズボンを履いた4才くらいの男の子が傍らに立っていて

不思議なものを見るような目で俺を見ながら

「おに、おに、おに・・・・ おじさん何してるの?」ときた

 

・・・あぁ、おじさんかぁ、生まれてはじめておじさんと呼ばれちゃったよ

まぁこの子よりも20才は歳いってるからおじさんだよな

でも葛藤はあったんだろうな

第一声が「おに、おに、おに・・・・」だもの、絶対に「おにーさん」か「おじさん」で迷ってたよ!

あと一押し、オタマ一匹分のがんばりがあったら「おにーさん」呼ばわりされていたかもしれん

まぁ結果的に「おじさん」呼ばわりされたけど、おじさんで構わんけどさ

おじさんだと、あれ、俺、説教垂れるよ「いいか小僧・・・」って切り出すよ

 

「いいか小僧・・・よく聞けよ、俺はおじさんと呼ばれようがかまわん、しかしな、てめ一遍おにーさんと呼ぼうか迷ったろ?

だよな、おにおに言ってたもんな。なんでわかったの?じゃねぇよ、おじさんは何だって知ってるよ

大体のことは知ってるよ、知らないことは自分のことぐらいさ、ダメじゃんそれ!とか言うな!

自分のことがわからないけど、自分のことがわからないことがダメだってことは知ってんだよ!

複雑なんだよ、デリケートなんだよ、おじさんはっ

話がずれたけど、戻すけど、おっさん話し戻すけど、おっさんじゃねぇおじさんだ、おじさん話し戻すけど

おじさんが言いたいことは、初手でおにおに言ったんだから、そのままおにーさんで通せ!ってことだ

男だったらな一度口にしたら、そうやすやすと言葉を曲げるな小僧

これから先、ああいう気の迷いが命取りになるんだよっ

よぉく魂に刻みこんどきな。はい飴ちゃんあげる。イチゴ味だぜ!」

 

みたいな、ことを考えながら

「おに、おに、おに・・・・ おじさん何してるの?」という問いに「オタマ見てる」っつーと

妙な仲間意識が生まれたのか、オタマ話に花が咲く

この池には物凄い量の卵があった情報とか

さっき網で捕獲したオタマを特別見せてくれたり、なかなかいい奴だった

じゃぁさ、じゃぁさ、オタマって大きくなったら何になるか知ってる?と問うと

いままで饒舌だった少年の顔が一瞬曇り、遠くを眺めながら固まり

なんか「勝った」と確信した自分は、ぜってぇ真実を知ったこの子はビビる

この黒粒の生物がアレに進化を遂げるなんて知ったら取り乱す余り池に飛びこむのでわっ?

ピカチューがライチューに進化するのとはわけが違うぜ!

優越感ありありな感じで「オタマは大きくなるとカエルになるんだよ!」と言うと

少年「・・・」無反応

なんか、俺、めっちゃ滑ってるっていう空気

妙に追い込まれた感じがして「カエルだよ、カエル!これがカエルになるんだよ!あのげこげこ言うやつ」と言うと

すべったギャグを説明している苦しい気持ちと似た感じになり

あとちょっと遅かったら俺が「行ってきマース」つって池に飛び込む寸でで

少年特有の甲高い声で「知ってるよ!」とぬかしやがった

自分は思わず「いいか小僧・・・」と切り出してしまいそうになったがよす

なぜならこの少年の親御さんと思しき父兄が、さっきから不安そうにこっちをみているからだ!

 

 

自分はおじさんらしく「なんだ知ってんだ」と言ったあと

子供っぽく「オタマに足が生えてカエルになるんだぜ」っつーと

少年の頭上に、またしても巨大な?がニョキニョキ生えた。

なかなか見事なクエッションだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新しい日記旧い日記