「やることはやる」5月1日

【 不二 】
4月は親しい人との別れの月だった
5月はどんな月になるんだろう
別れは嫌だな、寂しいな、出合いが欲しいよ、縁を感じたい
やっぱどしどし表に出て人と会わないとダメだな
「飲もう!」「遊ぼう!」「裂けよう!」と人に誘われたら
二の足踏まず二つ返事で快諾せなならん、そっから始まるし!
と感ずる今日この頃ごろごろしてて
ちゃんと朝 目を覚ましたものの、連日の休日返上勤務でかったるく
「休みの日に仕事したんだから、仕事の日に遅刻してもいいだろう。」
という怠慢思想に飲まれた自分は
再度お蒲団にもぐりこんで昼前起床、のらのら支度して、のらのら仕事に行く、も、
どうせ職場についても昼休み、焦ることはない、どうせここまできたら遅刻は遅刻だ
どこまでいっても遅刻、何したって遅刻したことには変わらん
こういう時こそゆとりをもった行動を心掛けよう
家から駅までの道、陽は随分と高い、いつもと違う時間帯の出勤、違う道を通って通勤
ゆとりついでに行きつけのフィギュア屋をよって、イチゴちゃんと少し話して
なんかチョコ的なものを無性に食べたい、そういやデスクにチョコがまだ残ってたな、かなんか思いながらようやく出社
ちゃっちゃっちゃと仕事を片付す
忙しくないからテンションが上がらない
ずっと死んだ目でモニターを眺めている
モニターにうつったアマゾン.comやミクシィやジャンプの公式ホームページを眺めてる
あと高円寺の飯屋を紹介するページや、フィギュア屋、漫画、ダーツのページをチョコ齧りながら眺めてる
まぁ忙しければ働くし、いざとなれば目も煌めく、問題なかろ
「チミは怠慢なりー」つってクビになっても問題なかろ
それはそれで面白いと感じられるし、そう感じるゆとりはまだある。
仕事に振り回される自分は御免だ。
「小銭で生ける高円寺」4月30日

【 ふじ 】
炸裂したチューブはざっくりと裂けていて
到底ゴムパッチじゃおいつけん大穴なためチューブを交換、プライスレス。
そもそも炸裂した理由なんじゃらほい?と訊くと
自転車屋のおっさんいわく、後輪タイヤがメーカー品ではなく安物のズルズルの排ゴムタイヤで
あっという間に磨耗して車輪から外れてこんなんなった。
じゃ替えた方が良いっすか?
こんな安物タイヤで乗っているといずれ崩壊するし、また炸裂するのがオチ
どうせならタイヤも変えた方が吉、っつぅんだが
どうも自転車屋ってのは信用ならんってのが今までの経験上あって
なにかと足下を見てふっかけてくる傾向にあるのだけれども
今回ばかりは嘘ではなさそうだ
現にこの自転車は2度炸裂しているし、安物の自転車
後輪はずるずるだし、スリットもつるつるだし、ゴム全体が干涸びて張りがない
仮にこのまま乗って、また炸裂さして、チューブ交換3000円を繰り返すよりも
腹を決めてタイヤを変えて、炸裂を回避するほうが「得」と踏んだ自分は
恐る恐る「タイヤ交換はいくらっすか?」と訪ねると「あと2000円でいいよ」ときた
つまりチューブを替えてタイヤを替えて5000円。うん。まー。安いような気がする。
8000円はすんだろ、と踏んでたから、安いよな。よし。ってんでタイヤ交換。
なんか修理ばっかりしているな・・・
あと1万上乗せして、もっとちゃんとした自転車を買っとけばよかったが脳裏を掠める
「安かろう悪かろう」って慣用句
「安物買いの銭失い」って慣用句
しょっちゅう身にしみます
安いには安い理由がある、どうせ買うなら高いものを・・の発想が欠落しているため結句、無駄銭落とし
次からはまともに生きよう
と反省するものの、わかっちゃいるけどやめられない
999円で寝袋買うし
家具はリサイクルショップ
ちいさな生活消耗品は100円均一、おおきな生活消耗品はホームセンター
食材は100円ローソンか99ショップ、惣菜は閉店真際のスーパー
肉は肉屋、お菓子はまちおか、本はまず古本屋
古着、古本、古レコード
安飯、安酒、安フィギュア
そういうお店が点在する気どれないけど気楽な街
小銭で生ける高円寺
「4コ100円のコロッケを買う生活」4月27日

【 ジャンプ買うの忘れた 】
働けど働けど我が暮らし楽にならざりじっと手を見る。啄木の詩。
俺は手を見る、歩きながら、歩きながら
商店街の坂、一気に駆け上がろうと勢い良くペダルを漕いで坂の中腹
突如後方よりパーンという甲高く小気味の良い炸裂音
その音、商店街中に響き
近場にいた若い2人組の女の子はキャッと短い悲鳴をあげる
なんだ?なんの音だ?と自分も思わず振り返るが、
ブリーフ一丁のまま青白い顔で拳銃を炸裂する男などおらず
はたまた、紋付袴の出で立ちで巨大ハリセンを振り回す昔の芸人然の男も
妄想妊娠で妄想子宮が破裂した女すらいない
訝しがりながら「なんだったんだろうねー」と走っていくうちにわかった、後輪がずるずるしておる
おもわず「俺かい!?」と普通の声で喋り、自転車から降りて後輪を見ると、なっは、炸裂。
こんなことってあるんだねー、ふへー、まいった。まいりました。
信頼を一瞬で失うようにして、後輪から一瞬で空気が失われていた
いたしかたなく自転車での帰宅が困難と悟った自分は、てりてり押しながら帰った、日より以降
家と駅との通勤を徒歩に切り替え、それはそれでなかなか面白いとわかったからいいんだけど
働いても働いても金は溜まらんなぁ、明日も明後日も休日出勤すっけど、焼け石に水だよな
なんてもろもろ考えながら歩くうち、薄暗い路地裏でじっと手をみる
あっ また太陽線の流れが変わった
あっ 前よりも生命線が彎曲している
あっ これ希望線じゃね? 違うっけ? そんな線とかあったっけ?
ありそうな気がする希望線、あったらいいな希望線、しかもその線がこの線なら尚良し
とか思いじっと手を見る
手相を見るけど手相は読めない
働いているけどお金は溜まらない
金が貯まらないことばかりに苦しくなって、遣うことに罪悪感を感じる
もっと、ほんとはそうじゃないだろ?
遣うことによって豊かになるもんじゃん、ふつー
豊かに遣えばいいのか、いいのだ
貯金は幸福と関係しているものの直結はしていないな。
という答え。なかなかクール。炸裂。
パーンって脳内のどこかが炸裂
無音が商店街のどこかで炸裂
貯金が増えない不安とか炸裂
閉店真際のスーパーで4コ100円のコロッケを買う生活が炸裂
今日も今日とて、時間が連続的に炸裂して1日が終わったよ
ただそれだけのこと
「丁寧に生くる」4月25日

【 誕プレ 】
生きている意味が
全て噛み合う
その瞬間を
味わいたいのなら
丁寧に生きろ
この言葉を読んだとき、目からウロコが溢れてしまい
ああ まさにこういうことなんだ
自分が写真を撮っているってのはそういうことなんだ
「生きている意味が全て噛み合うその瞬間」
俺はそれを味わいたい、味わいたいんだ!と思った瞬間目の前が開け
ずっと胸の奥につっかかってたウロコがはがれ
どうしようもないくらい、止め処なく、ウロコが溢れた
東京の片隅、漫画喫茶の1室にて
顔中うろこまみれで弱魚人化した自分
ウロコがへばりついた手でページをめくる
あまりにも衝撃的な文言を一生忘れぬようにと
メモ帳1ページに、大きく、清書した
そんな記憶は新しく本日4月25日 27歳誕生日
痛々しく青臭いまでに真直ぐな真理を描く漫画家日本橋ヨヲコ先生の
(多分)現在出版されてある作品を全部購入
自分による自分のための誕生日プレゼント、悲しいタイプのプレゼント
いちどきに5000円分の漫画を買うのははじめてて、久々に大人感を堪能しました
これを読んで勉強します、脊髄に取り入れます
27歳の初手はバシズムの洗礼を受ける
丁寧に生くる。
「おめでとう」4月24日

【 くだり 】
日をまたいだ瞬間に「おめでとう」ってメール送って
夕方には「花束ありがとう」って連絡があって
久々に電話で話したら、ころころとした懐っこい声でとても喜んでいた
あの頃より、お互い刺々しさがまるでなくなっていた
なんともいえんイイ感じなんだよなぁこれが・・・
紙切れは所詮紙切れだ
情や思いやつながりは、紙じゃ切れんと、漠然と感じた
嫌な気持ちはひとつもなかった
あと30分で日をまたぐ
アキコに続いて俺も歳をとる。27まであと30分。お風呂に入ります。
「ハルアラシ吹き荒んで」4月22日

【 サニ夫 】
春嵐吹き荒んで、ベランダのローズゼラニウムが踊っています
黒い手ぬぐい、赤い手ぬぐい弄ばれています
薄く開けた窓からは、ギュゥゥゥやゴォォォォと高く唸る口笛鳴る鳴り
部屋の四方ギシギシ悲鳴をあげて
この家はもつのだろうか、倒壊せぬだろうか、一抹の不安を抱かせます
天井から聞いたこともないような軋み音を聞いた時には、さすがに俺戦慄いて
早々に早朝の早春にエスケープ
風は吹けども暖かく
ぬるっこい風の気団、春ですか、ああ春ですね
角席に陣どって、トリアノンdeモーニング
「de」を「で」に変換しないことによって生み出されるヨォロピアン調
軒先きの野菜苗も震える花屋にて、誕生日の花束を工面した
虚しさはさしおいて、決めるところは決めようと思った
火曜には静岡に届くでしょう
花屋のおもて、春嵐吹き荒んで自転車が飛ばされている
植木鉢が飛ばされている、看板が飛ばされている
それでも自分の気持ちは飛ばされないでいた
犬が四肢を張って耐えている、猿股が複雑にねじれている
自分も耐えていた、ねじれず真直ぐでありたいと願った
「良い1年であるように」とバースデーカードに願ってしたためた。
「笑った後、訂正した。」4月20日

【 いわし 】
みんな元気に暮らしているのですか
みんな上手に生きているのですか
元気はなくとも、上手ではなくとも
全国各地津々浦々
自分の街で自分の人生と張り合っているのでしょうか
高円寺書林茶房って本屋とカフェが融合したお店
7日ぶりに会うカレー部部長こと絹さんとチャイを飲みながら
鳥取の写真家「植田正治」の写真集を眺めていたらそんなことを考えた
自分は「ド」がつくくらい連絡無精なので連絡をしない
電話もメールもかけず放らず
便りのないのは元気な証拠という格言に張り付いて
一切の連絡を断つことで「自分は元気です」と表現しているものの
自分が連絡をしないものだから、もちろん相手からも連絡は来ず
初展覧会「逸脱うつつ」でお会いした人達は達者に暮らしているのか?
大阪へ股旅した時にお世話になった天人達はいかがお過ごしでしょうか?
そんなことを考えると、途方もない気持ちになっていって
人がどう生きていることを知らぬ自分は、雲を掴む気持ちでやや憂鬱になり
時に心を散り散りにするも、以降何もせず押し黙って地面に座る
半ば強制的に「まっ 便りのないのは元気な証拠」と頷いて
「日々を快活に自分は生くる」なんて誰もいない部屋で呟いてみたが
その胡散臭いこと、胡散臭いこと。
あまりの胡散臭さに悔しくて躍起になった自分は、今度は満面の笑みを浮かべて
「自分は達者です、辛いことなんて何もないです」とはきはき言うと
なんか、ほんとに、自分は達者でかつ悩みごとのない人間であるような気がしてきて、少し笑った。
「肩にはリス、心にヨユー」4月19日

【 アウトドアで引きこもる 】
きざきざの縁に赤いラインが囲ってある、ぬるい衝撃的さを演出した紙のポップには
『広告の品!大特価!999円』と赤インキで力強く書き込まれてあって
それを某ホームセンターで見た自分は思わず、ほぅと唸った
なんとなれば、自分が買おうと思い参じたその目的の商品が広告の品で激安だったって数奇な運命と
いくら安いつっても最低2000円はするだろうと踏んでいたところに半額の999円である
そら唸るし、驚きもする
そもそも自分は、また自分の恥をさらすことになりますが自分は
生まれてこのかた寝袋というものを買ったことがない
それどころかキャンプというものも幼少の頃に一度したかしていないか曖昧な感じで
その背景には極めてインドアなパーソナリティーと
キャンプ機材を運べるような乗り物がなかったっていう事実が複雑にからまっていて
よくよく考えたら、寝袋どころかテントすらたてたことがない体たらくぶりです
朝な夕な股間のテントは張るのにね。最悪だ。この1文はいらなかった。歳を感じる。
そんな自分が寝袋の相場を知るはずもなく、999円のポップを見たらわなないた
えっ?こんなに安いもんなん? ふへー 意外だわ なんて
激安寝袋が積まれた商品棚を見ながらはきはき独り言を喋り
どれも同じなのに、山と積まれた寝袋をひとつづつ入念にチェックして
もっとも良い寝袋、綿が多めにつまっているだろう寝袋を探るあたり
己の男としての器量の小ささを痛感する
999円寝袋の横に1500円の寝袋が陳列されていたが
一瞥もくれず999円寝袋に没頭するあたり
己の男としての度量の浅さを痛感する
そんなこんなあって寝袋の山からベスト寝袋を選び購入
ビニル袋に入ったそれをぶら下げて意気揚々と高円寺を巡る自分はこれで大丈夫だ!と思っていた
これさえあれば長野の夜の廃校でも凍えることなく快適に眠れると確信していた
あとは、あれだな、麦わら帽子を調達しよう、そしたら完璧だ!
来たるゴールデンウィーク、自分は初体験をします
今までの生活では味わえなかった経験
今までの性格では知りえなかった経験
今までの心境では得られなかった経験
名古屋のイクちゃんとその他(面識のない)愉快な仲間達と共に
長野県下伊那くんだりまで赴き
超ド級のインドアー俺が
連休を無為に過すことに関して、他の追随を許さぬ自分が
キャンプをします
否
厳密に言う、恥を忍んで言う
延長線上にキャンプがあるわけで、メインはレイブ、レイブにゆきます。
そう、あのサイケデリックな電子音で野外を紫色に包み
日常かかわりを持ちそうもない若い男や女が
己の理性を廃し、感性と野生、魂に突き動かされるまま半狂乱で踊り狂うでお馴染みのレイブに
この、俺が、ザッツ人の生み出した流れに乗ることが大嫌いな俺が
阿波踊りと、フォークダンスと、マイムマイムと、盆踊りしか踊ったことのない俺が
ブルースハーブやアコースティックギターの生音が好きな俺が
サイケだのDJだのと接点のない俺が
語尾右下がり調子のクラブには行ったことあるけど
語尾右上がり調子のクラブには行ったことない俺が
自意識過剰の塊で、自分の一挙手一投足を必ず他人が見ていると思いやまない自分が
レイブにゆきます。
正直どうすればいいかわかりません
半狂乱で踊り狂う渦中で自分は棒立ちであると思います
くいくい腕を振り腰を振る、振るの?
顔から火が出るっくらい恥ずかしいです
右下がりクラブに行く友人クニオに「どうゆう踊りをすんの?」と問うと
「そんなの心が赴くまま踊ればいいさっ!」とクソ曖昧なことしか言いません
それがわかんねぇんだよ、なんなんだよ心って
俺は未だに「精神」と「魂」と「心」と「意識」と「脳」の区別がつかんのよ
そんなやつが器用に心の部分をひきだして踊れるわけがないし
それ以前に俺は、掛けてー掛けてー払って払ってパンパンパンみたいな盆ダンスの型がないと踊れん
ああどないしよ
野外と爆音って点が救いだけど、そのファクターだけで自分は心のままに踊れるだろうか?
んー そればっかしはやってみないとわからんけど
日頃ぶりぶり踊っているわけじゃないからハードルは高いなぁ、女性の手の上で踊るのは得意なんだけどなぁ
きっと無理じゃん
あっ・・・・ここではたと気がついた
「心を解放する」ってことが目的なら、別に踊らなくても良い気はする
心を解放したらそら愉快だろうし
日常の鬱屈を怨念を重圧を吐き出せたらそら爽快だろうし
野外なら尚更気持ちがいい、ってのはわかる
その表現方法として大多数の人は音楽に溶け込み、その延長線上で踊るわけだが
「心を解放する」って大義名分の前に、何も自分は無理して人の目を気にしてまで踊る必要はあるのか? いやない。
あー わかった! またややこしく考えていた
つまり、楽しめば良い、面白ければいいんじゃん
無理して踊って苦い思いするなんて馬鹿らしい
俺は俺、人は人
せっかく大自然の山奥にいるんだ、人が音楽と溶け込んでいる遥か先で
古木の上で目を閉じ座禅を組み自然と溶け込もう
光のシャワーを浴びる座禅の自分
木漏れ陽、風が吹く、川のせせらぎ、維管束を走る水の音
次第次第に森の仲間達が集まってきて車座になって俺を囲む
肩にはリス、心にヨユー
精神の解放、魂の浄化
あはは、いいね、これ、これだよ俺には
気が向いたら踊るもよしっ!
よし、この方向で楽しもう
麦わら帽子をかぶって森を川を廃校を探検
シャシンもいっぱい撮ってさ、キャンプも楽しもう
少なくともテントの中から最終的に一歩も外には出なかったっていう最低の結末
アウトドアで引きこもることだけはないよう努めます。
「 」4月19日

【 あなたが愛されることを願っています 】
「カラザの結び目にポツネンと座る」4月17日

【 キノウ 】
東京都庁を見る度に「でかい」「たかい」「強い」「高層」「変身」「国家ロボ」などと
阿呆特有の単語のみの詠嘆を吐くが
自分は東京都庁のことを全く知らない、ってことにさっき気付いた
全長も知らない、中で何しているかも知らない
あそこまで大きくする理由も知らないし、変身後の姿も知らない。
とにかく高さくらいは都民として知っておくべきだ、と、
厳密に地上何メートルっくらいある建築物なのか調べようと思い
検索エンジンに「東京都庁 地上何メートル」と打ち込んでやめた
大事なことは都庁と同じくらい大きい生卵だってことで
都庁の正確な寸法は今回さして重要ではない
ひーあぶねーあぶねー また話が逸れるところだった
つまり自分が想う「宙ぶらりん」とは都庁くらい大きな生卵であり
正確に申しますと、卵の尖端を空に向けて鎮座させた卵の両腹を叩き割り
巨大な穴ボコをあけて出来た形はアルファベッドの「O」或いは数字の「0」
この場合、数字の「0」がベストですが、「O」になってもしようがありません、目を瞑ります
鋭端部の内側から垂れる2本の白い紐
黄身を支えていたカラザという名のこの紐の先を結んで自分はそこに腰を掛けます
地上数十メートル上空のカラザの結び目にポツネンと座ります
都庁前の巨大な卵0の内側
ここからは何でも見える
地面は透明な白身で溢れ、街路樹もベンチも自動販売機も交差点もドゥルドゥル
ヨドバシも、ハンズも、歌舞伎町までもドゥルドゥル
足下のドゥルドゥル新宿を眺めながら、自分は寂しく笑います
黄身が割れていないことだけに安心感をおぼえています
ここから見る黄身は綺麗だ、綺麗な真ん丸、0
楽しいんだけど、同じ量の虚しさを感じる
気持ちいいんだけど、同じ量の悲しさを感じる
この感情を誤魔化そうとして、振り切ろうとして前に後ろに揺れる努力をします
それはあたかもブランコのように
じいさんが生まれた時に買ってもらった柱時計の振り子のように
高円寺の安アパートの6畳間の電灯の紐のように、規則正しく前へ後へ揺れ動き
徐々に揺れ幅は縮って、静かに、静かに、静かに止まると1となる
ぶらぶらと中空の振り子
宙ぶらりん
黄身に向かって身を投じようか、そのことばかりを考えているよ。
「アマリリスを吹く自信」4月14日と15日

【 蒲団 】

【 地球 】

【 気狂い鼠 】
実家から高円寺へ持ってきた一対の蒲団は
熊ちゃんのシーツにくるまれていて
そのファンシーな柄にアンニュイな気持ちをこめつつ
いい歳こいた自分は寝ているのだけれども
最近このシーツが湿っぽい、ってか、なんだこれ?
マメに干してるけどしっとりしているってことに気付き
不意に早く目が覚めた土曜日の8時30分
陽光に誘われベランダに出ると世間は嘘くさいほど青空で、そして風も暖かい
自分は「よし」と云ってから自室に戻り、掛け/敷き蒲団から熊ちゃんシーツを剥ぎ取って
洗濯機に詰め込んで、レノアとアタックを流し込んで洗う、いや、洗わす
それにしても、どうしてこんなにも湿っているのだろうか?
さして暑くもないから自分の寝汗でもないだろうし
夜な夜な枕を涙で濡らした覚えもない、もしくは自分が寝いってから泣いているの?そうなの?
真実は蒲団だけが知ってるんだろうな、あるいはダニー
なんてなことを考えながら、ついでに干そうと閃いて
ベランダのへりに裸の蒲団を掛けて天日にさらした
裸の蒲団をよくよくみると無駄に精巧な花柄であり
熊ちゃんの下にはこんな花があったなんて知らなかった、、と思うと
自分は随分とシーツ類を洗っていなかったと気付く
新鮮なので思わずシャシンを撮った、そう、この調子だ。
蒲団のない部屋を見下ろすと、部屋の散らかりっぷりに嫌気がさす
はさみ、ペットボトル、漫画、ライター、灰皿、電池、リップクリーム
雑誌の切り抜き、爪きり、湯のみ、トイレットペーパーの芯、キングジョー
化学雑巾、ドレッシング、ハンガー、なんかのフィギュアの手、煙草の亡骸、丸めたビニール袋
そんなんが本来あるべき場所から逸脱して畳の上でうずくまっている
その雑然と散らかる様を眺めていると
自分の中に不意にアルトリコーダーでアマリリスを演奏したい願望が溢れ
アルトリコーダーを探したけどありませんでした、うちにアルトリコーダーはありません、ソプラノもありません、楽器はありません
そもそもアマリリスを吹ける自信もない
しようがないので、無言のまま部屋を片付ける
遠くから子供のはしゃぎ声が聞こえる、鳥のさえずりが聞こえる
古くから経営している喫茶店のモーニングを食べたいと考えながら部屋を片付ける
ゴウンゴウン唸ってた洗濯機が不意にとまった音を聞いた。
ひとしきり家のことが片付いてもまだ10時
シーツがベランダで気持ちよさそうに揺らいでいる
油落としとキッチンタオルで自転車をピカピカに磨いたり
チェーンに専用オイルをまぶしたりしてもまだ10時30分
時間が早く過ぎ去って欲しいという願望はない
いつまでもここにあって欲しいという願望もない
休日午前の陽光、静寂の時間帯、太陽ばかりが暖かく、淋しさの隙間隙間をうめてくれる
仮にいまここに「愛すべき存在」がいたらと考える
「愛すべき存在」がいたら自分は幸せなのか?満足いくのか?と考える
答えはわからない
強いていえば、愛する存在がいてもいなくても、1人でいてもいなくても
幸せなり幸福と感じることができればそれでいいんじゃないの?みたいな、曖昧なやつ
修理から戻ってきたi-podを充電している間
袋ラーメンをふた袋湯がいたやつを食べる
暖かいから上着は着ない
足を布でくるむことが馬鹿らしいので靴下は履かない
サンダルをつっかけて出かける
自転車にオイルを垂らした効果で明らかにペダルが軽い
気持ちよいほどスイスイ走るため
自分は思わず「おー」と叫び
近所の民家に藤の花が咲いているのを見て「おー」と小さく感嘆した
行きつけの玩具屋で店員のイチゴちゃんと話しをして
高円寺イチオシの神社に参拝
そのままぶらぶらと阿佐ヶ谷までくだる
その頃には、もう、太陽が西の空に傾いていて
忘れ去られた公園の、錆び付いた遊具の影が長い、自分の影も長い
結局、今日も平和です
臍で茶を沸かすっくらいおもしろいことも
ショックの余り一夜で白髪に変わるほど衝撃的なことはない
ただただべったりはりついた影のように退屈で、でも妙に生きているのだなとか考えた。
陽が沈む頃にお家について
ひとりがんばって蒲団をシーツでくるむ
夜中に高円寺男子から電話があって
これから高円寺で酒を飲む運びとなる
i-podでキセルの砂漠に咲いた花を聞きながら夜の街をうねうね走る
とても感傷的な気持ちになって泣けそうにもなる
新高円寺の居酒屋でコウジとクニオと酒を飲み
深夜の公園で遊んでいると警察の人に注意されて
クニオの家で明け方に眠る
昼前にクニオ家をあとにする
酒屋でジャンプを買い、スーパーでサンドイッチとチキンカツカレーと缶コーヒーを買って
これを桜が散ってしまった善福寺川公園のほとりで食べ
とっくに少年でなくなった男がベンチの上で少年ジャンプを精読する熟読する
決して音読はしない
それは心に決めている
夕方前にバータンに誘われて小1時間お茶を飲み
仕事、家庭、ストレス、ジャンプなどの話をした
まったくとても凡凡とした週末です
どうにもなりませんでした
いろいろなことを引きずっています