シャシン日記。
「ムスカの気持ち」 2008年8月2日
遠くの方からアナウンスの声が幽かに聞こえる
…3・2・1
ああカウントダウンか、もう始まるのか、と思った次の瞬間
ドドドドドと威勢の良い爆発音が轟くと同時に空が赤に青に輝いた
普通ならここで、この花火大会の開始を告げる特別威勢の良い花火を観てだ
「わぁー」とか「うひょー」とか「すげー」など
夜空に咲く大輪に歓声をあげるのが、人として、日本人として当たり前の反応だが
2008年は違った、自分達の周りに座る皆一様に「えぇ〜」と叫んだ
この「えぇ〜」は、えぇ〜と、なんて言うか、左から周り込む方が比較的楽。といった
何かを説明する時の前置詞のえぇ〜ではなく
まじりっけない、非常に純度の高い、悲愴感いっぱいの「えぇ〜」
周りにいる数百人の人間が漏らした本気の「えぇ〜」をこの時はじめて聞きました
そりゃそうだ、この場所から花火が見えない、何も見えない、ほんと、もう綺麗にばっちり見えない
俺はもう可笑しくて笑うしかなかった
・・・・・3時間前・・・・・
午後4時、市川、人混み、そして炎天下
ただでさえ暑いってのに花火だ、祭りだ、ニッポンだ!
ってはりきって浴衣できたから尚さら暑い
舐めてた、浴衣を舐めてた、見た目涼しいけどその実サウナスーツ
汗でびしょびしょだ、ぐちょぐちょだ、そしてこの人込み
ああしんどい、完璧にしんどい、場所取り役なんか買ってでるんじゃなかったよ
「もうさ、いっそのこと場所取り止めない? 皆には熱中症になりましたっつおうぜ」
「それいいねー タックン」
「でしょ?無理だって、暑いもん。ハルもそうしない? ファミレスでモンハンしない?」
「ちゃんと場所取りしなきゃダメだって」
「そうだけどさー、暑いしさー、いまさら場所取りはないって、本気の人は朝から場所取ってるって」
「タックン!ほら!サイゼリア!」
「ハル!ほら!サイゼリア!どう?」
「とにかく1回現場に行ってみようよ」
「まぁね、見るだけ見て、人でぱんぱんだったら諦めてサイゼろう」
早速の弱音、逃避、倦怠
今思えばここから軸はブレはじめていた
ダラダラと歩くこと十数分、ようやく土手に辿り着く
石の階段を登り、土手のうえに立つ3人
土手のうえから見る風景の壮大さに息を飲む。ここで完璧に軸がブレた
目の前に広がる江戸川、そろそろ沈みそうな太陽が水面をキラキラ照らしている
綿を引き延ばしたようなきれぎれの雲、青い空
足下に生える草は鮮やかな緑色で、風が吹く、気持ち良い
最高のロケーション、おまけにここには誰もいない!
飛びついた。
最高じゃないですか、最高じゃないですか
空も川も太陽も、すげー綺麗、しかも誰もいねー
ここにしよう!ここにしよう!うっひょい!と、はしゃいだのは俺だけじゃない
バータンもハルもはしゃいでた
すぐさま敷物を広げ場所を確保
時間までモンハンをする、行き交う人々に嘲笑される、微笑みを返す。
それから数時間後、始めは自分達しかいないような、言わば未開の地だったこの場所も
時間が経つにつれ、人がどんどん集まりだし、未開の地から集落→村→町→都市と確実に発展を重ね
最終的には地方都市と呼べるほどに成長遂げ、栄華を誇りました
が、この地方都市も、例の爆発音によって一気に崩潰
後から来た住民が「えぇ〜」と叫んだ後、一斉に立ちあがり、我先に首都へ大移動を開始した
その大移動を目の当たりにした俺・バータン・ハルは笑うしかなく
ゲラゲラ笑った、なんかむちゃくちゃ可笑しかった
「俺らが居たから、皆ここに集まってたんだな、うひゃひゃ」
「人間てのはしょうもないな、考えているようで何も考えてないのな」
大衆は間抜けだ
今なら、少しだけ、ムスカの気持ちが理解できる。
すっかり寂れてしまったが、人が居ないおかげでのびのび足を伸ばせてせいせいる
俺はもう花火よか面白いものが観れたので満足だ、心からそう思う
しかし、後発組のユイテヅチャカはさすがにこれじゃ満足できないと言うので
どうにか花火を見れる所を探す
けど首都に行くのは業腹だ、首都を背に進む
かろうじて花火が見える所をみつけた、ここに落ち着く

【 土手 】
花火が見えない花火大会
この先、いくら間近で花火を見ようとも
何千発の花火を見ようとも
記憶に残るのはこの「花火が見えない花火大会」
このインパクトにはどんな花火も適わないだろう
そんなことを考えながら、遠くで開く花火を眺めた。
来年は、もっとちゃんとした場所を取ろうと決意を固めた。
「そんな日々に、サヨウナラ」 2008年7月30日

【 ガーゼケット 】
職人さんが手間暇掛けて拵えた、高圧釜加工のガーゼケット
吸水性抜群、さらさら涼しい無添加仕上げのガーゼケット
「なにも足さない」ガーゼケットを買ったった!
お蒲団のうえにこれを敷いて寝る、ヨテー
ちよちよ、小鳥のさえずりで目覚めるヨテー
これ一枚で熱帯夜も恐くない
寝汗で目覚めることもない
クーラーなんか欲しくない
クーラーなんか欲しくない
クーラーなんか欲しくない
寝汗くんサヨナラ
寝苦しくて、眠れずに、明け方ようやく眠れたと思ったら大寝坊
そんな日々に、サヨウナラ
濡れたTシャツ、サヨウナラ
湿ったうなじ、サヨウナラ
汗疹・湿疹、サヨウナラ
身に憶えのない虫刺されに、サヨウナラ。
「ショーロンポーくらいなら蒸せるんじゃん?」 2008年7月29日

【 昨日の夕日 】
綺麗な夕焼けに携帯電話をかざしたら折角の夕焼けが見えないじゃないか
と思ったら、ピコリンピコリン写真に収めていました、老若男女
駐車したトラックの運転席から日に焼けた野太い腕を突き出して
ピコリンピコリン写真に収めていました、労働者、ごくろうさん
これが今の日本の風景なんですね
老いも若きも男も女も夕焼けを.jpgにする時代、味はあんましない
それらの人を背にして、この場では写真の第一人者的な位置付けを手前ぇでした自分は
若干の気負いと、若干の責任を負いつつも、俺は違うぜ、ケータイじゃないぜ、一眼だぜ
俺の撮りっぷりをしかと見やれい、焼きつけろぃ!と熱くなってカメラを構える
ふらふらと前進、夕日に向かってシャッターを押す
集中して撮っていたせいで車に跳ねられそうになる、命掛けだ
で撮れたシャシンがこれだ、な?全然ダメだろ?
淡い思い出が行き来する歩道橋、損失の味
そんなメランコリック橋のうえに登って夕日を眺める
ここでは中学生が3人、一心不乱に写真を撮っていた
その光景を目の当たりにして漠然と末恐ろしいと感じる昨今
中学生に俺の撮りっぷりを御披露したのち
いつまでも、こんなことしているわけにャいかねぇな、と思えてきて
久々にきたシャシン絡みのお誘い話を思い返す
冷静に分類わけしても6:4でチャンスだ、ギリギリチャンスだ
って断言すると、しくったとき骨格が変わるくらい凹みそうなので
敢えて言おう、ギリギリチャンスと!
否、敢えて言おう、チャンスの糸口と!
否、まだ足りない!
俺の精神力を舐めんなよ!
自分の軟弱精神じゃこんな保険だけでは足りやしない!
もっと落とせ、ツーランク落として
敢えて言おう、ギリギリチャンスの糸口と!
ああー チャンス掴みてぇー 切実に掴みてぇー
頼むよハンター、チャンスに石を投げてくれよ!
ショーロンポーくらいなら蒸せるんじゃん?と思わしめる
高円寺の、片隅の、蒸し蒸しクソ熱い部屋で
どういうシャシンを作ろうか? 俺は何を観たいんだろう?
「夕焼けのぐるぐる」 2008年7月27日
ぐるぐるぐる、ぐるぐるぐる、
ぐるぐるぐる、ぐるぐるぐる、
ぐるぐるぐる、ぐるぐるぐる、
ぐるぐるぐる、ぐるぐるぐる、
あっ、これ幻聴じゃない、雷鳴だ
雷鳴ぐるぐる、遠くで雷鳴が鳴っている。
夕方6時、雷雲のせいでもう薄暗い
ずっとパソコンの前で作業していたから気付かなかった
夏だから気圧のバランスが崩れてんだろ、一雨来んのか、夕立ち
ベランダに干してある洗濯物が気にかかる
全体は乾いているけど、繊維の芯には潤いが残っている
これじゃまだダメだ、生乾きだ
雷鳴が鳴っている、けど、雨はひと粒も降っていない
室内に干そうか迷ったけど、室内は湿度に満ちているのでこれじゃぁ乾くものも乾かない
ぐるぐる唸るのはいい、それはそれでいい、だから、頼むから降ってくれるな
洗濯物を軒下に移動するだけにとどめる、夏、外の方が若干涼しい。
表に出た、目を疑った、オレンジ色の世界が広がっていた
眩しいほどの夕焼け、世界の終わりが脳裏を掠めて西の空へ溶けていく
もっと全体を見渡したい。
マンションの階段を登り3階へ行くと杉並区が一気に開けた
全部見える、はは、全部オレンジだ、はははは
自分が日々悶々と生活を繰り返す頭の上に、こんな素敵夕焼けスポットがあったのか
知らなかった、考えもしなかった、すごく綺麗だ
こういう場合を称して「灯台元暗し」というけど
この場合はなんだ「暮らし上明るし」、うん、まじりっけなく語呂が悪い
そのことは、ま、ひとまず置いといて
しばし夕焼けを見つめる、いろいろ考える、死ぬこととか、生きることとか、
呪われたように夕焼けジャシンも撮った
かしゃかしゃかしゃ、また人が写っていないシャシンが撮れた
一通り撮って、満足して、夕日を背に階段を降りる時、ふっと東の空を見て、また息を飲む
東の空、遠くにある灰色の雲、その中が時折青く光る、ぐるぐるぐる、雷雲だ
振り返ると西の空、大地を溶かしたようなオレンジ色を発している
よく見ると薄い月が浮かんでいる、そして、雷雲の傍にうっすらとだが虹が見える
夕焼け、雷雲、月、そして虹
嘘みたいな風景が現実の空で展開されていて、少し自分は気がおかしくなった
目の前に広がっているこの風景を誰かに伝えたくて伝えたくて伝えたくて
伝える人がいないことに気付いて、階段を駆け降りた。
この空を共有できる人がいたらどれだけ幸せだろうか。
西へも東へも行き場のないこの感情は、いつもの所へ溜まっていく。

【 610nm 】
溜まってく、滞ってく
「緑で、甘いのって。」 2008年7月27日

【 メロメロメロン 】
ヒマで。ヒマで。しようがない
不安で。不安で。しようがない
退屈で。退屈で。しようがない
と言うものの
それなりに、よく遊び、よく飲み、よく笑う
先日は高円寺、先日は大久保
酩酊するまで飲む、それは業
来週は花火大会(予定)、再来週は屋形船(予定)
それなりに、よく遊び、よく飲み、よく笑う
ただ、その隙き間隙き間が暇で不安で退屈なのだ
それはそう、それは皆そう
あれやんなきゃいけない、これやんなきゃいけない
そういうことを考えると不安になる、くだらない。
帰り際、びっちりと美しい編み目模様のマスクメロンを頂いた
ツルもT字になっている見るからに高級メロン
ダメ押しに「高級メロン」と印字された銀色のシールまで張ってある
これは、もう、まごうことなき高級メロンメロン
駄菓子菓子、だがしかしここまで高級押しされると
自分の捻れた魂、雑草魂っつーか、卑屈魂に火が灯り
この高級野郎に一泡吹かせたい、一矢報いたくなって
いろいろ考えた結果、上のような形に収まりました
なめんなよ!このメロン風情が!と苛立つ器の小さな人間特有の感情と
陵辱されても気高さを貫き通すメロンの佇まいにわびさびを感じます
こんな感情を抱いた時点で圧倒的に人間の負けです
ウリ科の果物に負けました、初めての経験でどう対処すればいいかわかりません
とりあえず真っ二つに切って種を指先で排除
居間で素手掴みのままスプーンで削ってこれを喰う
緑色で甘い食べ物なんだな、お前。
なんか変だね、緑なのに、甘いのって。

残り半分は明日
「庶民ウナギ、再び」 2008年7月23日

【 睡蓮 】
奮発して4串1000円の庶民ウナギを購入しようとして留めた
庶民とは言えウナギだぜ、1串450キロカロリーはかたいだろ
それが4串で計1000キロカロリー
自分の基礎代謝が1700ちょいなので、4串で軽々半分オーバー
そこへさして醤油と砂糖と味醂ががっつり染込んだ蒲焼き
濃い味で米がどんどん進み進んで、本能をいくら抑えても茶碗3杯はいってまう
茶碗1杯250キロカロリー×3=米だけで750キロカロリー
先のウナギ1000キロカロリーとあわせると、でました合計1750キロカロリー
はいオーバー、はい1食でオーバー、ゲームオーバー
折角、日々運動してじわじわと贅肉が落ちていればいいな、贅肉が落ちている風なのに
ここで4串+3杯は暴挙、努力は水泡と化して、飽和脂肪酸と化してまた太ってしまう
でもどうしても食べたい、暴挙だろうと食べなきゃいけない気がする
食べたい時に食べたいものを食べたい
ヤリたい時にヤリたい人とヤリたい
現実はやれない、それはしゃぁない
でもな、人間は飯喰ってセックスする為に生きているのだ
シノゴノ言わずやっぱ喰うべきだ、と、庶民ウナギを買い物籠に入れてすぐ棚にリリース
喰う、喰うよ、でもちょっと待ってて
ジム行ってアクセクサクセスした後、買って、喰うからちょっと待っててね、つって
その足でジムへ行きアクセクサクセス
普段なら3周で終らすサーキットトレーニングを、ウナギ4串にあやかって4周
筋力マシンのウエイトも重くする、仕上げのウォーキングマシンもやる
したしたと汗が額から流れ落ち、がばがばと水分をとり、無茶苦茶に動かしていると
バニラの匂いがする美人が来店して、その良い匂いにやられて、またテンションが上がって
計画性なく無茶苦茶に動く、がばがばと水分をとる、お腹の中は水分でたぽんたぽん
へとへとに疲れて思うことは、滴る脂が炭のうえで弾けて煙をだすウナギの蒲焼きではなく
大根おろしと梅肉をあしらったさっぱり冷しうどん
とてもじゃないが脂っこいもんなんか喰いたい心境じゃねぇ
うどんくらいしか食べる気にならねぇ、やりすぎた、確実に頑張りすぎた
結果的にウナギ1750を摂取することなく、逆にカロリーを燃焼しましたが
きっと遅かれ早かれ自分はウナギを喰うと思います
スタミナがエンプティーなんです、活力がないんです
今宵も、晩に家でシスコーンを喰う
こんな子供騙しじゃだめだ、先が見えている
血が足りない、血が足りない。肝を吸いたい。
「最近知り合った子とホテルにいます」 2008年7月22日



人を突き動かす純粋な動機は「金」でも「名誉」でもなく性欲だ
しかるべき穴にしかるべき棒を突きこんで宇宙とかを感じたい
安心を得たい、良い匂いに包まれたい、もう1人で眠りたかない
そのためになら努力も惜しまず、日々精進を重ねるものの
容易にその願い叶うはずもなく、純情商店街端にある公園のブランコの柵に腰掛けて
ひとりで黙々とスイカバーをかじるのです
季節外れのコスモスを見て、嘘っぽい顔して驚くのです
小学生の頃に遊んだ団地が潰れていて、呆然と立ち尽くすのです
大好きだった人が子と旦那を連れて向こうから歩いてくる姿をみつけ
2秒考えて、踵を返し脱兎のごとく逃げるのです
情ない情ない情ない情ない情ない情ない情ない
中野を背にまっすぐ逃げた地で刑ちゃんを呼び酒を飲む
便所にかけこみゲロを吐く
連日しこたま酒を飲み、お腹を下して便所にこもる
情ねぇしくだらねぇ
蒸し暑い部屋の蒸し暑い便所でふとももと腕にじっとりと汗が吹き出し
じっと固まったまま不完全燃焼を排せつするこの行為
自分はくだらない管なのだと思いこむと虚しくなった
ジジジジと泣き出してすぐ泣き止む蝉の声、それが自分の声のように聞こえる
案の定、満月
べっ甲色した下品な満月が、じっとりした雲の隙き間からはっきりと見える
俺はそれを見上げ、家よか外の方が涼しいことを嘆き
満月だから性欲がバカみたいになっていることを嘆く
しようがないんだ、満月だし、だからこう不安定なんだ、満月だし
良く知らない月の引力が自分の気を乱している、大丈夫、純粋に気は狂っていない
俺はまともだ、俺はまだちゃんとやれる
この内に隠った悶々とした感情を打ち消してやる
鞄にジャージを押し込み、自転車にまたがってジムに向かった。
満月か、打ち明けるタイミングはあるのだろうか。
重いものをひっぱったり、蹴り上げたり、押し上げたり
肉体を酷使していい汗をかく
汗が出るたびに悶々とした感情が浄化されていくのがわかる
やっぱ健全なる肉体には健全な魂が宿るのだ
ガシャーンガシャーンやりながら満月に打ち勝てた歓びをかみしめ
自分の性欲に対する対抗力のなさを鼻で笑う、のも束の間
束の間の桃、束の間のプラム、でも結句束の間の桃
ガシャーンガシャーンと景気よく重いものを持ち上げている俺の眼前に
ぷりっとした桃が現れて、うぐぐ、前屈運動をはじめたので、うぐぐ
その桃はより桃っぽく、艶やかで芳醇でうぐぐ
束の間の桃、束の間の尻、眼前にぷりっとしたお尻、あががががが、ガシャーンガシャーンの手が止まる
畜生、ぷりっとした尻しやがって、畜生、女尻ですか、畜生、宇宙企画ですか
消えた月が雲間から現れた
必死に目を逸らしガシャーンガシャーンを続ける
でも脳裏には桃、それも食べごろな桃の映像が交錯して集中できない
桃尻が潤んだ瞳で俺を見ているような気がする、勘違い、被害妄想、自意識過剰
いっそのこと大腿筋をぶっこわしてしまおう
むちゃくちゃに負荷をかけてヒーヒーいいながら体を苛めた
細胞が分裂する、繊維がちぎれる、壊れればいいのだ
「もしもしタックーン、今何してんの?」
「あっ、今? 今ちょっと・・、最近知り合った子とホテルにいます」
「まじで!? 何? もうやったの?」
「もうやった、とかじゃなく、これから2回目をやろうと思っています」
「まじか!? 誰それ? 何それ?」
「バータンの知らん人よ、で、何? 何か用?」
「いやさ、今飲んでんだけど来る?っつー話だけど、来る?」
「超行く!!」
「あっ、でも女の子といるんでしょ? 大丈夫なの」
「大丈夫大丈夫、嘘だから、つーか今、レンタルビデオ屋のエロコーナーにいます」
「がはははは、なんだよそれー」
「ああよかったー、もうめちゃめちゃ暇だったから、ほんと、今日俺変だしさ、助かったー」
「じゃぁいつもんとこで飲んでるから!」
「はいはーい、行くわー」つって電話を切ってエロDVD「女尻」を棚に戻し
家に帰って浴衣に着替え下駄を履いて自転車に乗ってバーに一直線
途中からハルチャカユイ、山本夫妻、クニオが合流し
久々に明け方まで飲んだ、楽しかった、月はまだあった、性欲もまだあった。
仏像の前で正座して無意識を意識して無意識になると
目の裏に薄暗い曼陀羅が広がった、はじめての経験だった
その映像を自分のシャシンにも生かそうと思い
意識してその映像を追い掛ける、仏を中心に広がる曼陀羅の映像
目を薄く開いて半眼になるとその曼陀羅はどんどん拡大していったが
いつまでたっても薄暗いままでモノにすることができなかった
諦めて目をあけると目の前の仏像と目が合って、ちょっと照れた
静かすぎる境内に腰掛けてこの3連休を思い返す
欲に煽られ心を乱し、好きな人と出会って心を乱し
浮かれ、沈み、頑張ったり、逃げたりと色々あった、けど
その実、なににもならなかった連休だったな、んーとに、くだらねぇ
ゴォーン オウン オウン オウン オウン
余韻もなにもあったもんじゃねぇ
煩悩丸出しの鐘の音が放射状に広がって俺の腹にも響いた
ゴォーン オウン オウン オウン オウン
徳の低そうなオッサンが突く鐘の音には重厚さのカケラもなかったけど
病み上がりの重湯のように、なんか、今の自分にはちょうど良い
おもしろき こともなき世を おもしろく
17時半の鐘の音、陽はまだ高い。
「死人にくちなし」 2008年7月19日

肉眼で確認できる靄は多分あれ湿度
雨でも降ったのか、それとも雨が降る前兆なのでしょうか
見通しの良い道のまっすぐをうっすらと白くて重たい靄が覆い被さっている
上野公園のだだっぴろい道を行き交う人々
くちなしの花がぐちゅぐちゅに濡れている
「ひどく不快だ」
19時前だってのに、気温は高く、そしてこの重苦しい湿度
露出した皮膚はおよばす、衣類の下に隠れた皮膚にも汗が滲みだし
べたべたと張りついて気持ち悪い
手ぬぐいでこれを拭うけど、買ったばかりの手ぬぐいはノリで強張っているため上手に汗を拭えません。
のどが乾いた、これだけ湿っているのに喉が乾くたぁ不便な人間だ
それでも僕は行くよ、湿度にも気温にも負けて逃げ帰るわけにはいかない
3連休のすべりだし、金曜日の宵
この先3日間、土中、日光、月光と、とりわけ用もないので
せめて今くらいは華やかに飾りたい、ここで虚栄の絶頂を迎えておきたい、ってのと
4打数中2ホームランをライトスタンドに叩きつけ、そこそこの活躍をしたとしても
8回の表の攻撃に入るやいなや帰宅、なぜなら美術館に行きたいから。つって、
けっこう重要な会議をばっくれてまでここに来た手前、湿度気温云々で帰ることは憚れる
汗でべたべたしながら湿度気団を泳ぐように進んで国立美術館に到着した
美術館内は気が触れるほど涼しく救われた気持ちになった、で、そこで美術品を観る
陶器、仏像、絵画、詩歌、有名な人達の有名な作品を観る
まさに「観る」、「観た」「観たった」それで終り
勉強になることは微々あったけどそれだけ、それ以上の感情は起きなかった
現代美術の礎にこれら素晴らしい作品があるのだよ、という目で観ると有り難い気持ちにはなるけど
他人の手によって権威のうえに鎮座されたそれらにはあまり魅力を感じなかった
なんか不自然なんだよね、仏像なり茶器が美術館のガラスケースにある様が
仏像は仏閣にあるべきだし、茶器は茶室にあってそれで茶を飲んでナンボ
こんな格式張ったところに引っ張りだすことがもう不粋極まりなく思える
そういう穿った目で観るから釈然としないんだ
作者の中には1人くらい、こんな格式張ったところでやりたかねーよと言う人もいるだろうけど
死人にくちなし、香るくちなし
これらの作品が作成されたその時代時代に観ることができたら、確実に心震えただろうけど
不快な外から涼しい美術館に入った瞬間の心地よさの方が、今日一番に心震えた
人間はそう有るべきだと思った。きっと長次郎や木喰もそう思うはず。
「ごめんね地蔵」 2008年7月16日

【 ジムゴ 】
マハリク・マハリタ・ジャンバラ・ジャンジャンジャン
マハリク・マハリタ・ジャンバラ・ジャンジャンジャン
魔法の国からやってきて、わざわざジャンバラジャンを食べたいの
ジャンバラジャンを食べたい
でも、いまひとつジャンバラジャンがどんな料理か思い出せない
耳覚えはあるけどその実体がうろ覚え
米? たぶん米料理で、お米をオマール貝とかオマール海老とかオマールナニカと一緒に炊いた
お米が黄色の西洋料理
米が黄色なんは球根植物サフランの雄しべを入れて炊くからだ
そういう飯、西洋風炊き込み御飯みたいなやつだと思う
ジャンバラジャンってのはパエリアに似ているのなー
パエリアにも確かサムシングオマールが入ってたな
腹一杯食べたい、バイキングに行きたい
中華街に行きたい、鎌倉で仏を見たい
マハリク・マハリタ・ジャンバラ・ジャンジャンジャン
マハリク・マハリタ・ジャンバラ・ジャンジャンジャン
魔法の国からやってきて、わざわざ跳ねてわだかまる
確かに体力はついたけど、いっこうに脂肪は燃焼しない
ジャンバラジャンは食べたいけれど、脂肪があるんじゃ食べらんない
まだまだ動きが足りていない、まだまだ跳ねが足りていない
中空、目の前の鏡にジャージ姿の自分発自分行き
トランポリンに着地して、トランポリンに跳ね返される
トランポリンに着地して、トランポリンに跳ね返される
この感じに、このリズムに、心で唱えるジャンバラジャンがよく似合う
1分間「トランポリン」
1分間「昇降台」
1分間「バランスマシーン」
1分間「腹筋台」
1分間「ベンチプレス」※
1分間「マジンゴー」※
1分間「アメリカンチョッパー」※
1分間「ツイストハリケーン」※
1分間「クロック腿上げ」※
1分間「ごめんね地蔵」※
※マジンゴーからごめんね地蔵までのエクササイズマシン名を知らぬので
俺オリジナルの名で明記
それぞれ足だの腕だの背筋だのの筋肉を鍛えるマシーンであることは確か
計10のトレーニングを1セットとし3周する
手前ぇが求める、手前ぇの速度、自求自速で
30分間みっちり運動、正式名サーキットトレーニング
美人がジムにやってくると速度が増す増す自求自速
いい格好を見せたいわけじゃない
なんか、こう、テンションが上がるのだ
テンションが上がって、いてもたってもいられなくなって
トランポリンでむちゃくちゃ飛翔
肉体は健全に近付こうとも、魂は肉欲の塊だ。
「嘘女」 2008年7月12日-13日

【 犬のポンサ 】
3歳になった娘は日本語がぺらぺらになっていた
服も自分で着れるし、パピコもひとりで食べていた
犬を見て「かわいい」と言い、暗い所を「恐い」と言う
当たり前の感情もコトバで表現できるようにもなっている
そういう普通の事が、普通のことこそが新鮮で驚きだ
と同時に、その成長の過程を間近で見れなくて寂しいし
間近で見てあげれなくて申し訳ない気持ちになる
夕焼けの山道で肩車をしてあげると
狂ったように笑い、はしゃぎ、最高に楽しそうだった
肩車なんかしてもらったことないんだろうな…
ましてやこんな高い肩車なんて……
そう思うと涙が溢れそうになった
涙をぐっと我慢して、アクロバティックな肩車を続行。きゃきゃ。
昼はドッグフォレスト言うパークで人生初の犬の散歩をし
晩には皆で貸し切り露天風呂に入り、そこでトビウオターンを披露
翌日はでっかい公園で遊んだ後
4年前にアキコと行った伊東の貸しきり湯屋をめざす
じりじりと暑い太陽の真下を右往左往して、ようやく目的の湯屋を見つけ
4年前と同じ600円を支払い、4年前と同じ5番風呂で、4年前とは違う3人で入浴
べたべたの汗が流れて気持ちよい、風呂場でビールを飲み、土産屋で買った烏賊明太を食う
娘は俺に似て水と風呂が好きなようだ
狭い貸しきり家族風呂できゃっきゃきゃっきゃみっちり50分遊び倒す
ともかく、すくすくと素直に育っていました
確実に自我が芽生えてきていました
幼児の1年は、大人の10年をも凌ぐとつくづく感じた
自分のこの1年はなんだったんだろうか?鑑みるとぐうの音もでない
無様にぶくぶく腹ばかり肥やしやがって、俺の腹を見てアキコも苦笑い
浴室で記録用のハンディカムを回している最中
突如「父親の、いやさ男の、こういう部分を見せておくべきだ」と思い付き
陰茎と陰嚢を内股に挟んで嘘女を披露する、こぼさず出来た、おいなりさん
アキコはさることながら、娘も苦笑い。やっぱし自我が芽生えてる。
「父親らしいこと」 2008年7月11日

【 インベーダ、再び。 】
明日は伊豆に行って娘の誕生日を祝ってきます
あの蒸し暑い日に生まれてから3年経ったのか…
思うことは沢山あれど
父親らしいことを何一つできていないのが一番心苦しい
いつもいつもそればかり心にひっかかる
・
「明日は遊ぼうね」
「うん!」
「何して遊ぶ?」
「ボール遊び!」
「じゃぁボールもってこいよ」
「うん!」
・
伊豆でボール遊びをしてきます。
「個展の土台が固まっている」 2008年7月9日

【 猫、走る 】
つきつめていくと、ドット絵が好きなのだと再認識した
とくにインベーダのドットは素晴らしく思う
シンプルだけどかわいらしいし、記号にまで昇華している
日本を代表するドット絵だとつくづく思う
そんなインベーダーのマグネットが発売されていた
ドット絵+インベーダ+無類のマグネット好き=5つ買う
つきつめていくと、ペンキの垂れ、ラッカースプレーの垂れが好きなのだと再認識した
小汚いでお馴染みの高円寺、街往けば至る所にラッカースプレーの落書き落書き
自己顕示欲の権化のような落書き、中身の伴わない薄々のぺらっぺらの落書き
格好いいと思っていると思われる異国文字を書き
個性個性と言う割には己がないから、結句、どれも同じ右に習えの落書き
そーんな、迷惑千万、上っ面だけの汚れにゃ微塵も心揺れませんが
ツツーと壁を垂れるペンキの雫、このしずる感はなんとも言えず好き、大好き
どうしてか目が離せない
同様にペンキをぶち撒いた飛沫も好き、大好き
トラウマか、刷り込みか、全く身に憶えはないが
心の奥底にこれらがひっかかる、確かにときめく、心ときめく
好きなものは好きなもの、揺れるものは揺れるもの
そういうのんを全部飲み込んで、消化して、半分は血とし肉とし
おろろ半分はゲロと一緒に画面にまき散らすおろろ
いっぱい飲み込んでいっぱい吐いた
飲み込んで、吐きだして、好きなものを見て、しずるを見た
そうやって作品の数が増えてきて
気がつくとほら、個展の土台が固まっている。
「七夕さま、七夕さま」 2008年7月7日

【 星の性欲 】
仕事して、ジムで汗を流して、シャシン撮って文章を書く
こんばんわ健全です、ドライメッシュのシャツ着た健全です。
なかなか充実してらっしゃる、汗を流すことの大儀さを知る
通常なら、仕事終わりから家に帰る線上で鬱憤を増大さし
その増大した鬱憤を家にもちこみ、エネルギーを持て余し脳内で炸裂
その破片がバラ撒かれたお蒲団に入って、眠れず悶々したまま朝をむかえていた
ところが運動を取り入れることによってどうだ?
ストレス、悶々、鬱憤などの負パワーが汗に変換されて体内から放出
脳内で炸裂さしたところで被害も少なく、心地よい疲労感で良く眠れる
日常生活が潤滑にまわりだす気配、背中でひしひし。
これだけでけっこう充分だけど、欲を言えばキリないのが人の道
極力その欲を抑えたうえで欲を言うと、もうワントッピング施すとしたら
創作中の作品が1個しあがったら完璧です
G級クエストのモンスターを一頭でも狩れたら完璧です
愛する人とセックスでけたら完璧です、恩の字です、他になにもいらねへ
あっ、でも天婦羅的なもの、もしくはチキンカツ的なものを食したい
晩飯はレタスと卵を2つしか食べていません、あとは東京の水道水。
ウサギみたいな食生活、芋虫みたいな食生活、ドライメッシュ。
ともあれ運動だけでこれだけ気持ちに余裕ができるんですね、ずっと気付きませんでした
いつまで続くかわからんけど、続くうちは続けます
じわじわと闇病みの部分が融解している感じ、うっすらと光、健全です
おまけに体脂肪が早くも1%減った
体重もなんか1キロくらい減ってた
体年齢も37才から35才にランクダウン
かかかかか、よゆーよゆー、この調子ならば半年もしないうちに消えてなくなる
そう!何もかもなくなればいいのだ
街行く恋人は一旦全員別れればいいのだ
できることなら●年前のあの日からやり直したい!
七夕さま、七夕さま、お願いです、闇病み、闇病み