シャシン日記。
「ぬはははは僥倖」2009年1月18日
■1日目■
「朝の5分は日常の1分に値する」と孔子もおっしゃったように
出社前に家で過ごす朝の5分は非常に貴重であり
この5分を制すれば一般社会での地位を制すると言っても過言ではなく
逆にこの5分をしくじれば、出世も覚束なく、ずっと日陰で冷や飯を食うハメになる
「朝の5分は日常の1分に値する」
電気ストーブのまえで暖をとり、「加藤さんはすっかり朝の顔として定着したな」なんて思いつつ
ゆるゆるとコーヒーなんぞを飲みながら朝の情報番組を見ていたのでは光陰矢の如し
朝の貴重な5分間はあっという間に過ぎ去って、気がついたときにはもう手遅れ
急いでタバコを捻り消し、身支度を整え、タッパーに白米を詰め込んで家を出たところですでに5分の遅刻
あわわわ急がなくてはあわわと自転車を漕いでも、この5分間を埋めることは容易くなく
駅に着いたのはいつも乗る電車が5分前に出発したあと。
ああ こんなことでは出世が覚束ない… だから俺はうだつがあがらぬのだ、とほほと言って
電光掲示板を見るとやややっ赤字で「上り線下り線上下線ともに5分の電車遅延」の文字
この思いがけない幸いに偶然の幸福に思わず「僥倖!」と叫ぶ
プラットホームから5分遅れて到着したいつもので電車に乗って出社する
もちろん遅刻だが、別に俺が悪いわけじゃない、悪いのは定時通り動かない日本レール
んとに時間通りに来てくれなくちゃ困るよん、孔子も言ってんだろ?「朝の5分は日常の1分に値する」ってさ
日本レールがそれに背いちゃまずいでしょ、ケド、まぁ俺は別に咎めないけどね、なぜなら心が広いから
「まいっちゃうよ、電車遅延なんだもの」顔で出社。妙にツイている。
■2日目■
G級老山龍亜種の討伐クエストで、入手確率3%の老山龍の天鱗をゲット
しかも1回の討伐で! 1回目の剥ぎ取りで! ゲット!
この奇跡をモンハンやってる人ならわかるよな
俺なんて思わず叫んだもの「僥倖!!」ってさ。妙にツイている。
■3日目■
映画「パヒューム〜ある人殺しの物語〜」を観たくなって
レンタルビデオ屋に赴くとこの日に限って暁光半額デイ
しかもお目当てのDVDが5本中4本貸し出しで1本だけ貸し出し可能
もちろん「僥倖!」叫んだあと、DVDを手に取って貸し出しカウンターへいく
■4日目■
寒いからホワイトシチューでも作ろうと思ってスーパーへ
まず鶏肉が3割引き、はい僥倖
しかもジャガイモとタマネギが1個づつのバラ売り、でた僥倖
すげぇありがたい。5.6個袋売りされたジャガイモやタマネギなんて
一人暮らしの身の上では持て余す
そこへバラ売りだぜ? 一粒28円だぜ? これはありがたい
これら具材を使って適当に作ったホワイトシチューがまたべらぼうに旨かった
■5日目■
3年前に購入したiPodの調子がおかしい
数時間で充電は切れるし、不意にリセットされる
つってももう3年も使っているし型も古いからそろそろ買い替えかな?なんてなことを思い
価格.comでipod nanoを調べると、ほほう最安値は15500円か、これくらいなら買えるな
音楽がある生活を15500円で買えると考えれば随分安いじゃない、しかも最新型だし、動画も観れる
よっしゃよっしゃ買ってこましたろ思って注文画面に遷移したとこでふと手を止める
<送料600円 代引き手数料315円> 合計915円
おいおいおい本体代金以外に1000円近くかかるじゃん、合わわせると16415円
これどうなの? なんか微妙じゃないっすか?
安いと思ってたのに急に金額を上乗せされると萎えてしまうが人の道
もっと手数料のかからないところ、送料の安いところ、あわよくば送料なしのところを探そうつって探すも
結局、本体価格が安いところは送料手数料がかかり
逆に送料手数料がかからないところは本体価格が高い
だいたいどこも似たり寄ったりの値段になることが判明して
じゃもういいや、はじめに決めたところで買おうつって注文画面に遷移してふと手を止める
<商品到着は注文を受けてから2〜3日後>
むりむりむりむり今欲しいもん、欲しいってことは今すぐ欲しいってことだもん
2〜3日も待てねぇよ、ipod買うにもお預けなんてすかコノヤロー
今すぐ欲しい、今すぐヤリたい、畜生ぅ。あー 煩わしい!
送料、手数料、おまけにお預けに阻まれてipodの道は遠く険しく
気がつくと価格.comを閉じて虚脱していた。
「こうなりゃ仕事帰りに新宿ヨドバシにでも寄って定価で買ってやろうか。」と自棄になる
だがそんなことをしたのでは本末が転倒してしまう
自分の理想はあくまでも「15500円のipodをその日に手にすること」であり
15500円以上支払ったら負け、その日に手に入れられなかったら負け、重い枷
その禁を破れば以降、陽のあたらぬ裏街道を冷や飯探してさまよい続ける負け犬となり果ててしまう
折衷案として、この際中古ipodでもいいかな
中古ipodでなきゃ「15500円のipodをその日に手にすること」は成し遂げられねぇ、と思い
中古ipodを取り扱っている高円寺のとあるゲームショップに行って、思わず大きな声で僥倖と叫んだ
ipodがあるのだ! しかも最新のやつ! しかも15490円! しかも新品(未開封品)!
この巨大な僥倖に軽い目眩を憶え足下がふらふらと覚束ない
これは夢じゃないよな、確かだよな、って陳列されたipodを見るけど確かに15490円
ぐはぁ15490円だよ、10円安いよ、しかも送料も代引き手数料もかからないから否応なく安いじゃないか
いまいちど僥倖と叫んだあと、店員さんを呼びつけてこれを購入
意気揚々とお家に帰り開封するとちゃんと保証書もはいっている、ぬかりない、ぬかりがないぞ
ぬはははは僥倖
・
電車遅延
老山龍の天鱗
パヒューム〜ある人殺しの物語〜
ホワイトシチュー
そしてipod nano
妙にツイている、連日にわたりこまごまと妙にツイている
このツイってるっぷりが、いずれ来る巨大な不幸の兆しなのかもしれんが、今は甘受。

【 新ポッドなの。】
「綺麗な骨」2009年1月15日

【 油鳥の骨 】
紙入れに300円しかないんじゃさすがに心許ないので
銀行と提携しているコンビニのATMにひび割れた危ういクレジットカードを入れ暗証番号を入力する
ATMが処理してもたついているちょっと間
"ウェイバー ウェイバー ウェイバララ 流れてるぅーううぅーううぅー 流れてる"
"ウェイバー ウェイバー ウェイバララ 流れてるぅーううぅーううぅー 流れてる"
ゆっくりイヤホンから溢れだす、緩やかな音楽に身をほだす
ふと液晶を見ると処理が終わっていて、どういうわけか見慣れぬ金額、それも異常に高額な金額がはじき出されてあった。
なんでだ? 意味がわからない。 誰だ? 金を入れたのは。 奇特な人がいるもんだ、ありがとう
なんや知らんけど妙に金が増えておるわ、つって自然と俺、無意識に俺、体が万歳の形になるのも束の間
万歳でせりあがっていく両手がイヤホンを詰め込んだ耳の横を通過した時、喜びはぬか喜びへと急降下
なんてことない今日は給料日じゃないか、はは、妙に金が増えたんじゃない、増えた分はこれ今月の給料だ
とんだぬか喜びじゃないか、空騒ぎじゃないか、空蝉すり鉢でごりごり
そう冷静になって改めて液晶の金額を見ると、今度は不思議と高額に見えない、むしろ少ないとすら感じる
根拠なく増えるなら高額で、根拠があって増えるなら低額、絶妙な額
ああ人生を切り売りしていると、改めて実感させらるる吉日
黙って9000円下ろして、やや右肩を下げてATMを後にする俺の背中に陽は射すのでしょうか?
ともあれ給料日だしな、たまには贅沢なモノでも食べようか…
と言っても1人で食べるのも侘しいので新恋人さんに電話する
「あのさ、俺今日どうやら給料日らしいからよ、晩飯食いにいかない?」
「いいよー。何時くらい?」
「7時くらいなら大丈夫?」
「7時半にして!」
「わかった、7時半ね、で、お前なに食いたい?」
「私はなんでもいいよ」
「いやその”なんでもいいよ”が一番困る」
「タクロウさんの給料日なんだからタクロウさんが食べたいものでいいよ。何がいいの?」
「うどん」
「うどんって、せっかく外でご飯食べるんだからもうちょっといいもの食べようよ」
「ごめん。咄嗟に何が良いかと問われると反射的に「うどん」と答える、俺にはそういう癖がある。」
「じゃぁ鍋は? 今日寒いし」
「鍋はこの前食べたからいやです。もっと、こう、辛いやつ。お前辛いの大丈夫だよね」
「うん。好き。」
「あっ じゃぁさタイ王国の飯を食おうぜ! あっ!俺!タイ王国の飯を食べたい」
「タイ料理の店って高円寺にあるっけ?」
「あるよ。知ってるだけでもタイ料理屋3件ある」
「じゃタイ料理にしましょう」
「だけど時点だからな!」
「ん?」
「タイ料理は時点であってもしかしたら変更するかもしれん、それだけは忘れないでください」
「わかりました」
「1日は長いんだ、タイ王国がうなぎ帝国に攻め落とされたら急にうなぎ食いに行くってなるからな、それだけは肝に銘じておいてください」
「わかったから」
「ならいい、じゃ、そういうことで」
「はい。仕事がんばってね。」
「がんばりません」
「仕事がんばってね」
「ガンバリズムは削減の方向で」
「何いってんの!?」
「何いってんのじゃねーよ!!」
「はぁ?」
「お前だれだよ!!」
「はぁ?」
「だからお前はだれだっつってんだよ!!」
「私なんているわけないじゃん」
「知ってるよ!」
「さっさと仕事いきなさいよ」
「わぁってらい がちゃん」
つって電話を切る、もなにも電話なん初端からかけちゃいねぇし、新恋人さんは架空だし
ほんとはタイ王国の飯を食いたかったけど1人じゃとても侘しいので
ケンタッキーでファミリーパックを受け取って、一心不乱、油鶏をむさぼり
「ケンタッキーは圧力鍋で鶏肉を揚げるのです。だから、ほら、骨まで美味しいぃぃ。」と叫んで
骨にまとわりついた肉を上手に前歯でこそぎ落とし、とりだした綺麗な骨、油鳥の骨を1列に並べて押し黙る。
「油烏」2009年1月14日

【 油烏 】
「夢を索引したい」2009年1月13日

【 ユメボン 】
腹いっぱいに鍋食べて、覚醒しない程度に酒を飲み
風呂もはいった、歯も磨いた、ぬかりなし
夢本買うたし今日はもう寝る
たくさん眠って、たくさん夢見て
朝一に今朝見た夢を索引したい
普段よか3時間は多めに寝てやるつもりですぞ
ちなみに昨晩はジャガイモ泥棒になって警官から逃げ回った
バータンはピクニック客でにぎわう草原で「リリィ リリィ」と外国人の名を連呼して逃げ回った
大声を上げて逃げるなんてナンセンスな話だけど、その時の自分はそれが正しいと思っていたし
水路沿いを這いつくばって進むと、自分の姿が透明になることを半ば悟っていた
今は左右バラバラなスニーカーを履いた自分が好きだったし、クニオの家からなら車に乗れる気もした。
この道の先には茶畑のような段々畑があって地上まで伸びたワイヤーが張ってある
なぜだか知っている、それはかつて夢で見たから知っている。そんな夢を見た。
「縮こまる虫」2009年1月12日

【 沈丁花 】
冬のベランダは寒いから、空気が澄んでて月が見える
冬のベランダは寒いから、空気が澄んでて雲が見える
冬のベランダは寒いから寒いから寒いから
洗濯物を干す時以外はベランダに立たず
ベランダに並ぶ植物に水を遣らず
自分はさほど寒くない部屋に引き込んで水道水をがぶがぶ飲みます
湯船に紫の粉を溶けこまし、人工ラベンダ水で疑似アロマ
湯上がり全裸で小躍りしたら、ほら、左手首の骨が痛い
冬の風呂場は寒いから、アッと言う間に体温を盗まれる
鉢植えの土は黄土色にかじかんで
知らない婆の皮膚のよう
茶色い子象が乾いたよう
ろくすっぽ肥料も与えていないのに
ろくすっぽ愛情も与えていないのに
それでも花芽をつけたね沈丁花
逆境に追い込み子孫を残す本能を刺激して開花、そして結実
俺がなくても生きていく、娘のよう、嫁のよう、水を遣ろう
かわりに俺にぬくもりをくれ
たれか俺にそのぬくもりをくれ
冬の蒲団は寒いから、人が芋虫のように縮こまる
ピストルを握ってぶるぶると蒲団の中
羽化を忘れ「ぬくもりをぬくもりを」と縮こまる虫
「年初め☆飲み始め☆新年会」」2009年1月10日

【 寒風強いベランダに締めだされる3人 】
約半年ぶりに両親が住まう船橋へ行って新年のご挨拶兼新年会を催す
ひさびさの母の手料理を喰って飲んで騒いで喋って
ボルテージがぐんぐんと上がってきたので
「花火に行って花火が見れなかった話」
「サスペンス婆の話」
「吐血の話」
「元旦に駅の便所で「墓前に立つべきだ」と悔い改める話」
昨年起こった各種小話を滔々としゃべくり
なかなかウケていい調子になるのも束の間
そんな折り
墓前に立ちてぇっつぅんなら今年の夏に爺さんの17回忌があるけどタクロウも来るか?と誘われ
是非行くと二つ返事で返す
渡りに舟とはこのことかいな、ようやっと墓前に立てる
10年ぶりの福岡か。
その後も父母交えて「一番古い記憶の話」なんかしながら
天ぷらを喰って飲んで騒いでアルコールの海に沈む
沈み際、果たして自分は道楽息子なのだろうか?と考える
年がら年中ふわふわして実にもならぬ下らないことばかり喋っている
さしたる親孝行もせず逆に歓待されてばかりでいる
弟は堅い仕事に就いて着実にお金を貯め、国産カーを乗り回しているって言うのに
自分は諸々色々だめだ
生活や金は二の次で趣味/その他に情熱を注ぐ
酒につきあい馬鹿話を嬉しそうに話す息子、やはり道楽息子だな
そうやってアルコールの海に沈む
海底で漂った結果。家族全員二日酔い。朝を迎えた。
その二日酔いを纏ったまま高円寺に帰宅し一息つく間もなくババンキーハウスへ向かう
ガノスを狩り、ガノス亜種を狩り、3頭のナルガを捕獲した頃
時間差で高円寺の連中が集まってきて、さささ、ビールを掲げて乾杯
「年初め☆飲み始め☆新年会」を開催
できる限り全力でお酒に取り組んでしまう業ゆえに
セーブして飲むことができない2009
昨晩も痛飲、今宵も痛飲、あはははは内臓が痛ぇ
じきにアルコールの海に沈む
海底に漂って無気力なる三日酔い。寝て暮らす。
「Dの意志」2009年1月8日

【 密室 】
「昨晩も鯵フライ食べたけど、今日も鯵フライだな、野菜不足なのでキャベツを買って千切りにしよう」
「そういや今週は全然残業していない」
「また左の靴ひもがほどけた、日に3度もほどけやがる、固く結っているのになぜにほどける… あっ妖怪か?」
「この菅野美穂似の人と墓場横ですれ違うってことは……やばい! 若干遅れ気味だ! 急げ! サニー! 駅に向かって!」
「ポケットから林檎を取りだして器用にスライスし、鍋で煮える赤ワインにそれを投入するこの一連の所作」
「流れるようにシナモンと砂糖を鍋に投入するこの所作、なかなかかっこよい。暗い台所にて。」
「今日で定期が切れる」
「回転焼き、黒あんのヤツを2つ買って帰ろ、たこ焼きも食べたいけど高いからダメだ」
「ゲームセンターCXの新しいシリーズが始まっているじゃないか」
「"肉体の悪魔"読んでおくべきだな」
「"私はフェルメール"これも読んでおくべきな気がする」
「15階からノンストップで1階まで来れたぜ! ロビーには水槽、そして外は寒いぜ」
「……米炊かなきゃな……あぁ風呂も洗わなきゃ……あぁ洗濯もしなきゃ……あぁ」
「"アンドロメダ星雲第八象限の中の第二の腕"と"Dの意志"になんらかの関連性があるかもしれない」
なぁ?
とりわけ面白いことなどひとつも起こらず
結果的に淡々と一日をこなす
だから今週末3連休に希望を重ねる
うずたかく重ねた身勝手な希望がバランスを崩して倒壊
その拍子で720mlやや辛口の赤ワイン384円をぶちまけてしまい
以来、希望はかぴかぴでほのかに葡萄色
…
散乱した希望の中に「恋人」が混じっていた
「冬の爪」2009年1月6日

年の初め1月ってだけで他に特別なこともなく
正月を過ぎれば単なるお寒い日々が続くわけで
まったくエンジンが温まらぬまま職場に放り込まれた自分は
初日だから仕事の手を抜こうと企てていたのも束の間
膨大な仕事を押し付けられて就労2日目も簡易な飯を食う
・
「なんも変わってねぇな。この生温さとか。」
・
やたら青が透き通る空を眺めてはキョネンとコトシの境目もうやむやになっていく
「ふはぁコトシで29だよ、ってか来年で30じゃん」
あたりまえのことをぼやく息が白い
いっそ雲になって大西洋を渡るのも悪くない
今晩は意識して雲になる夢を見よう
最近は夢の方が楽しくて起きられぬ
室内で大きいフェルト地の布をかぶり体温を増幅させる
眠るまえだからコーヒーは控えるようにする
乾燥した室内では洗った髪がすぐ乾く
乾燥しているから下唇がぱっくり割れてタバコのフィルタが血で赤く染まる
女が居た部屋の灰皿のようだ、いまさら赤い口紅もねぇわな。
冬の爪は固い。
"やらなくちゃいけないこと"を頑張ろうとするけど
意識しすぎて、考えすぎて、億劫になって動けない。
何にもまして冬の爪は固い。
「7日はかからい」2009年1月4日

【 招かれざる客 】

【 招かれざる客(レトロver)】
コウジ、清水、クニオと卓を囲んで新春恒例麻雀大会をおこなっていると
深夜それも4時に招かれざる客(バータン)が、顔を真っ赤に泥酔した状態でやってきて
「なんで俺を誘わネェンだよ!クニオ!」
「いやいやバータン…まさか今日東京に帰って来てるとは思ってなかったから」
なんてやりとりのあと、とりあえず続きをやろうぜつってやるけど
招かれざる客は本体よりも自己主張の強いクニオのスタンドと変化し
クニオの背後にぴったりと張りついて
手牌をばらす、捨て牌にいちいちいちゃもんをつける
ツモの悪さを罵る、あげく牌を奪うなどして
それまで調子が良かったクニオは面倒なスタンドを発動して以降一度も上がれず
うやむやな感じと、和やかな感じで、ゲラゲラ笑いながら明け方に終わった。1月4日早朝。
恨めしいことにどうやら今日で正月休みはおしまいらしい
御節も、餅も、お酒も、雑煮も食べていないのにだよ。終わりって。
それに聞いた話によるとだ、どうやら明日から仕事が始まるらしい
しかも月火水木金としょっぱなから5連勤
やるな2009、飛ばすな2009
今日が何日かとか何曜日かなんて俗世間が体内からごっそり欠落してんのに
この状態で仕事なんて、とても、とても。ねぇ?
復帰すんのに7日はかからい。
「とかくこの世は美しい」2009年1月1日
2009年1月1日午後23時19分 洗面台にて
鏡に映った自分の顔をまじまじと見ながら手で頬をなぞり指先で目垢をこそぎ落とす
この顔、いい男かどうか問われれば快活にいい男である!とは言いにくい顔だが
それなりに雰囲気はあっていいんでないの、と人ごと風に言い切れるくらいの気概を加味しつつも
男はね、まぁ、顔じゃないからね、中身だからね…と弁明しても
その一癖も二癖おある中身とやらは充実しているのかと問われれば、快活に充実しておる!とは言いにくい
まぁその辺のこたあともかく、ようやっと生気を取り戻した自分の顔、顔色に安堵して
「今年ものたうち回るんだろうな…」とひとつ思い
洗面台を後にした自分の背中にはたぶん黒い影がわらわら。24時間遡る。
2008年12月31日 夕方
晦日はみんな集って飲みつ喰らいつゲラゲラ騒ぎながら新年を迎える
それが高円寺で年越しをする毎年の恒例行事だが
山本/馬場夫妻とテヅの家庭ある一味は各々の家庭で晦日を過ごし
クニオ/未知の恋人いる一味は恋人ときっとエロいことしながら晦日を過ごし
鏡割りプレイとか、除夜の鐘プレイとかしながら晦日を過ごし
医者なのに船大工みたいな雰囲気のフランキーコウジは晦日も元旦もなく年越し診察
清水は行きつけのバーで酒びたる
と、いうように
晦日を家庭のある人は家庭で過ごし、恋人がいる人は恋人と過ごし、
仕事のある人は職場で過ごし、もしくは他所も居場所がある人はそこで過ごす高円寺の面子それぞれ。
この上記4つのカテゴリーからはみでたのがいわゆる愚連隊
「家庭を失い」「恋人ができる兆しもない」「仕事」「他に居場所」もない孤高の権化・俺を筆頭に
孤独のドクロ旗の元に集ったのがユイ・ハル・チャカの3人
いやさ、こんな旗の元に集まってくださったのが3人。感謝万来。
言っても 彼女らは元来実家住まいなわけで分類するなら「家庭ある一味」の一員
別に高円寺で集まらなくともそれ相応に新年を迎える素質を持っている面々であって
知らぬ間に両親が遥か南の地「キュウシュウ」に里帰りしている俺とは訳が違う
本日、集まってくださらなかったら孤高の権化・俺は孤独の権化へとクラスチェンジをはたし
独り薄暗い部屋でテレビから流れる歓喜と狂気の入り交じった声のカウントダウンを聞いて新年を迎えるころには
孤独の権化は孤独の鬼となって新年早々世を恨む、世を妬む、角が生える
そうなっていたと考えると薄ら寒く、集ってくれた3人には感謝でいっぱいだ
買い出ししながら「今年は集まり悪いね。」とか「人が少なくて寂しいね」とか口では言ってたけどあれ嘘だかんね!
もう全然満足だから! 3人もいれば満足だから! だって3人は1人じゃないんだぜ!
こちとら危うく鬼になりそうだったんだ、それに比べりゃ幸福すぎる
ハルの家で福福酒を飲み、笑ってはいけない新聞社を観て腹がねじれるほど笑う
これほどの安寧は他にあるでしょうか、すげぇー楽だぞ
笑いもあるし、酒もある、あとお菓子
チーザ、味好み、ポテトチップ、アルフォート、クラッツ、おかき、ポップコーン、スコーンってお菓子多いな…
それらを喰いつ飲みつ緑のたぬきを啜りながら無事に新年を迎えた
新年を迎えて一段落してはじめて気づいたんだが、俺、女性に囲まれすぎじゃね?
年頃の女性3人に男1匹混じってで新年を迎えるなんて、なかなかハーレムな環境だな、おい
自分は自分のこと、鬼にならないことばかり考えていてこの状況に全く気づかなかった、ははは。ありがたい。
年を越え、午前3時半に家をでる
なにもお開きになったわけじゃない、これから電車に乗り葛西臨海公園と向かう
去年は高尾山山頂から拝んだ初日の出を、今年は葛西臨海公園でそれを拝む
電車にゆられ僅か一時間で現場についた
まだ薄暗いが、東の空は赤く燃えている







とかくこの世は美しい
1年に365回昇る太陽、地球誕生の遥か昔から昇り続ける太陽にとって
元日だろうが終末だろうが関係なく、相変わらず美しく荘厳であり続ける
そのたった1度を見ただけで「今年はいいことありそうだな」なんて思うのは人間の業やもしれんけど
別に業だろうがなんだろうが構わん、初日の出を見に遠方より参じて初日の出に手を合わせて拝む
そこに希望や展望をみるのは甚だ短絡的でご都合主義かもしれんな
でも人間は太陽のように長く生きることはできない、時間がない
短絡だろうと業だろうと突き進む力が必要なんだ、突き進む力をください、よろしくお願いします
あと、皆が平穏に暮らせたらなお可。よろしくおねがいします。
海面に反射した光が真っすぐ俺に向かう位置で念
太陽が俺に向かって昇っている。業。
太陽が俺を目指して昇っている。業。
2008年1月1日 早朝(日の出後)
さんざんっぱらシャシンを撮って、感動して、躍動して
口々に、初日綺麗、来て良かった、今年もいいことありそう、みんなも来ればよかったのにね
なんて言い合いながら、喜色満面至極満足の体で電車に揺られて家路に向かう
昇りきった太陽の光に包まれた車内は薄黄色
今年は去年と違って山に登らず、おかげでまだまだ体力気力ともに溢れているが
やはり寄る年波には勝てず東京駅から中野駅に向かう穏やかな車内で並んで座る4人
女子3名がうつらうつらと居眠りしている横で自分は生気を奪われた
まず視界の四隅が徐々に黒くなっていき、次第に体温が奪われ目眩を起こす
顔面から血の気が引き、尋常じゃない吐き気をもよおす
なんだこれ? 貧血か? こんな感じはじめてだ。死ぬのか俺。
どんどん顔が冷たくなっていく、うずくまる視線の先にある地面がぶれている
焦点がさだまっていないじゃないか!? 変なもん喰った覚えはないぞ
突然の吐き気、目眩、朦朧、血の引き
まるでアズカバンを守るディメンター(吸魂鬼)に幸福・歓喜を吸い込まれているようだった
まったく訳がわからない。酔いなんかとっくに引いている、二日酔いでもない、貧血でもない
原因がわからないから対処のしようがない
ただうずくまって朦朧とする頭で気力を振り絞る、中野はまだか!!
どうにか中野駅まで持ちこたえた
ゆるゆると目覚める女子3名に異常を伝える余裕などなく
慌てて電車を降りてプラットフォームにあるベンチに座る
「とにかく便所に行って吐き出さなくてはならねぇ」
目指すは構内の便所、意を決し立ち上がる
この時はじめて俺の異変に気づいたユイが「どうしたの!?顔真っ青だよ!?」
ああ、やっぱ真っ青か。と思った
この頬の冷たさは尋常じゃないもん
この異変を簡潔に伝えるなら「ディメンターに生気を吸われました」と言うのがベストなんですが
果たしてこの3人のうち1人でもディメンターを知っているのでしょうか?
ちなみにディメンターとはハリーポッターにでてくる鬼みたいな存在
ディメンター知らないならば、この体調でディメンターの説明をしなければならないし
ディメンターを説明するにあたって前知識としてハリーポッターの世界観を説明しなければならない
今にぶっ倒れそうなのに、それは苦痛だ、とてもじゃないがそんな余裕は一切ない
なくなくディメンターのくだりを割愛して
「気持ち悪い。地面が緑。吐いてくる。」と言い残し便所に駆け込んだ。
のどの奥に指を突っ込んで第1えづきでもう吐瀉
おろ、おろろろろ、おろろろろぉぉぉと俺涙目で計5度吐き
トイレットペーパーで口を拭いながら
「墓前に立っていないからだ」と確信した
元旦、元日、正月、新年
日本中が浮かれているこの日に自分は決して清潔とは言いがたい駅の便所でゲロを吐く
惨めな気持ち8割とちょっとおもしろいやんが2割の心模様で
吐くもの吐いてようやく気分が優れ、クールな頭で思い至ったのが「墓前に立っていないからだ」だった
持論はこうだ
ここ数年ご先祖様の墓前に立っていない、それどころか仏壇に線香のひとつもあげていない
それでものうのうと暮らしている俺に腹をたてたご先祖様が
「調子にのんな!そしていたわれ!」と声を荒げて俺の生気を吸ったんだろう
そうとしか考えられない
現にゲロを吐き、便所で悔い改めてからこっち、さっきまでの体調不良が消え去った
それにさ正月に突然こうなるのも初じゃないんだよね
去年も突然吐き、一昨年も突然吐いた、そして今年はディメンター
やっぱし墓前だよ、行かなきゃな
便所の水道水で口をゆすぐ、水なのに鉄の味しかしなかった
便所をでると心配そうに待っていてくれた女子3名
「どうしたの? 大丈夫?」という問いに対し
異変のはじまりから終わりまで全て答え
「…で、結局は墓前だと思うんだよね」持論も展開
ともかくよぉ、顔は白いけどもう大丈夫だから、約束どおり新井薬師に初詣しよう
と言い、新井薬師へ行き、参拝して、新年を迎えた。
…
家に帰りむちゃくちゃ眠る、目を覚まして飯を食って、また眠る
2009年1月1日午後23時19分 洗面台にて

【 壁に映した2009 】
…というわけで
年明け早々、浮かれたり感動したり死にそうになったり悔い改めたりといろいろありますが
生気を取り戻し私は元気です
今年も愛想をつくシーンが多分にあると思いますが
付かず離れず今年も1年よろしくお願いいたします。
タクロウ
今年は個展をやる