「ウイルス名は"自我"」2009年2月1日

 

【 梅 】

 

 

つくづく自分は、自分という人間は、

自尊心が高く、自意識が過剰なくせに、卑屈で小心者であるということを痛感した

痛感してやまなかった、餅すら喉をとおらない、否、餅すら口にできやしない

うぐぐぐ なんだコレ、俺のバカヤロウ

例の美女が脇で酒飲んでいるって好機が突如目の前に落ちてきたってのに

俺ときたら意識しまくってそっち方面を見ることすらできずじまいで

果てはがぶがぶがぶがぶがぶがぶ酒を飲んで一向に酔わない、いやな汗

超チャンスじゃん!ってうるせえよ!わかってるよ!俺が一番わかってンだよ!

だから横からやいやゆうなや、いくから、次こそいくから、その前にタバコ吸いに行くから

タバコ吸って冷静になって、はじめて声をかけるからだあっとれ!つって戻って来るともう居ない。

鬱屈する魂、ウイルス名は"自我"

純情云々飛び越してもはやこれは病気です

自意識をこじらせて手元に残るのはせっかくの好機をみすみす逃した黒い後悔

あん時ああすりゃよかった、もっと気楽に構えればよかった、ほんとダメだ、俺ダメだって

向かう先が同じ電車に乗るクロエさんに愚痴愚痴いって腑甲斐無い金曜日の夜を越える。

 

こうなってしまったら、鬱屈を発散するため創作に打ち込む

翌朝早くに起きて、この鬱屈した魂から生成した創作意欲を糧に

土曜、日曜、家に籠って作品作り、びっくり超捗る

神社のベンチでハンバーガーを2つ食う

近所の川原の公園で乾涸びたツタが絡まる白い壁を撮影

気まぐれに立ち寄った郷土資料館内の古屋敷で障子を撮影

どちらも希望通りの画像

特に障子のシャシンは小躍りするくらい嬉しかった

ついで、散歩中に新しいイメージも湧く、うひひひ、調子が良い、今日の俺調子が良い

これも、なにもかも鬱屈のおかげ、つまり先日美女に話しかけなかったおかげ様様

ただじゃ転ばんよ、全部飲み込む。

 

 

 

「似非パンクス」2009年1月28日

 

【 地面 】

 

 

 

なんの意識もせず畳のうえに転がったワイン瓶を拾い上げ

瓶口から直にごくごくごくと3口飲み終えてはじめて

「あっこれから出社するんだった」と気がついた。冬。

 

起き抜けに部屋に転がる酒瓶をうばってごくごくごくと酒を煽るたぁ

なかなかのパンクロック気質を持ち合わせておりますな、自分、やるねぇって

少し悦に入るけど、すぐに止した、所詮自分は似非パンク、出社前に酒を飲んだだけ

俺が思う本物のパンクロッカーは違う

本物のパンクロッカーなら飲み終えた酒瓶を壁に向かって力一杯ぶん投げ

バリーンと弾ける酒瓶の一部始終を恬然とした態度で眺めたのち

パンクロッカーはよろよろと歩きだして

テーブルのうえに散らばったプレーンのクラッカーをばりばりとだらしなく頬張りながら

床で眠る半裸の女の腹にぴゅるるると弱々しくゲロを吐く、これぞパンクス、高円寺のパンクス

それに比べて、瓶も割らない、半裸の女もいない、ゲロも吐かない俺はうつぼ、パンクにはなれない

所詮自分は似非パンク、これから出社だぜ、しのぎだぜ、かたぎだぜ、という事実があっても突き抜けない

まぁ飲んじまったもんはしようがねぇって開き直って

燃えるゴミを抱えて家を飛び出し、空を仰ぐ、鉛色、憂鬱だ

「また昨日と同じ今日が始まった」と一文放つ

唯一昨日と違うところは胃袋のあたりがじんわりと暖かいこと、だけ。

おかげで冬の寒さが苦にならなかった。それだけだ。

 

 

 

 

 

「体くらいは潤したい」2009年1月26日

 

【 ギャロップ 】

 

 

 

朝目覚めた瞬間から「1日が終わって眠りにつくこと」を切望する自分はダメだ

 

少なくとも遅刻せず出社すればその道すがらに美女と遭遇する、遭遇するやもしれん、って一縷の想いだけで

お布団から這い出してケータイアラームおよびパソコンアラームを止めてタバコに火をつける

部屋がめっぽう寒い、引くくらい寒い、冬が憎い

台所で手鍋に張った水を湧かしてコルヒーを飲んで支度を整えて家をでた

職場付近で美女と遭遇、めっぽう可愛い、がんばって出社した甲斐があった

冬の空気なみに乾燥したこの身と心に一時の潤い、一時の夢、保湿、アロエ、しみ込む。

ただこの一時が今日1日の頂点であり、クライマックスであり、絶頂である

自分のボルテージはこの瞬間を境に次第になだらかな右下がりの曲線を伝って

終わりの始まり終わりが始まる9時30分、始業。

 

乾燥しきったオフィスで無味無臭な仕事をこなす

合間合間に顔を出す美女を目配せしながら

妄想の地を力一杯駆け回って創作の種を探しにゆく

 

じゃなきゃ俺、いつまで経ってもくだらないままだと痛感している

仕事中に拾った種を大事にしまって家で種撒く

日常では満たされないこの想いを埋めるには、創作しかないと痛感している

銭湯では満たされないこの想いを埋めるには、温泉しかないと痛感している

また行くか、1人で温泉、ゆったりどんより湯煙奇行

冬、雪、風、孤独、寒い、けど温泉は暖かい

温泉につかりたい、どうにもならない心はともかく、体くらいは潤したい。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いの一番に書いてある」2009年1月23日

【 マルキ 】

 

 

 

「チーフ!チーフ!」

「どうしたんだねバイト君?」

「あの2番席のお客様って尾田先生ですか?」

「は? 尾田先生って誰?」

「チーフONEPIECEって漫画知りません?」

「そりゃ知ってるよ!うちの息子も大好きだよ!」

「その作者が尾田先生っていううんですけど、あの2番席のお客様が尾田先生かもしれないんです…」

「まじでか!? 2番席の客つったらカルビしか食わない客だろ?」

「はい」

「焼き肉つったらまずタン塩を味わうことから始まるのに、タン塩飛び越していきなりカルビ食う客だろ?」

「はい」

「あの人がワンピの作者だって?」

「はい」

「どうしてそう思うんだ?」

「いやですね… 聞き耳たててたわけじゃないんですけど、ずっとワンピースの話をしているんですよ!!」

「それで?」

「それで?ってそれだけですけど」

「いやいやそれだけでワンピースの作者だと決めつけるのは早計だよバイト君」

「そうですかねぇ…」

「著しくワンピースが好きな客なんじゃないの?」

「そうかな… でもそうとも思えないんですけど…」

「なぜそう思うんだい?」

「なんか話している内容が濃いってか… 自分もワンピ好きでよく読んでいる方で仲間内からはワンピースの第一人者と呼ばれているんですが」

「うん」

「そんな自分でもついていけない話をしているんです」

「ほほう。でもそれじゃぁやっぱりワンピース著しく好きな人なんじゃないの?」

「でも真剣な顔しているんですよ!20代後半の男が2人で焼き肉囲みながら真剣な顔で今後の展開を綿密に話しているんです!」

「う…うん。そういわれると奇妙だな」

「つまりこれは担当打ち合わせです」

「タントウウチアワセ?」

「あっ担当打ち合わせってのは、漫画家さんが担当編集者と漫画の今後の展開やプロットを打ち合わせする会議なんすけど」

「それをうちでやってるの? 焼き肉屋だよ、こんなとこで会議するか」

「するんじゃないんですか?尾田先生って肉好きそうだし、ルフィ肉大好きだし、カルビしか頼まないあたりワンピっぽいし」

「そういわれるとそうだな… で君はどっちが尾田先生と思うんだい」

「どっちとは?」

「2番席に2人のお客がいるじゃない? どっちが尾田先生なの?」

「そりゃ奥の席に座っている人でしょ、スーツのお客様は担当編集者で、向かいに座っている私服のお客様が尾田先生」

「なるほどねー あっ2番席だ」

「自分行ってきます」

 

「えぇーとカルビを3つ下さい。あとお酒を下さい。」

「以上でよろしいでしょうか?」

「はい。お願いします、でさ、俺考えたんだけど四皇のうちの1人カイドウはローラの母ぁちゃんとしてだよ」

「うん」

「カイドウはアマゾンリリーの出身者ってのもおもしれえぇかな、と、カイドウって花あるし、娘ローラもフローラからとった、感じで」

 

「どうだった?」

「またカルビです」

「またかよ!? カルビ大好きだな尾田先生」

「そしてまたワンピの話をしてました」

「まじかよ」

「自分カルビ持っていきます」

 

「おまたせしました〜」

「ありがとう。でさ、仲間になるとしたら次くらい魚人じゃない?」

「あーいーかもねー、魚人島いって仲間になるみたいなね」

「あと2席、ビビ抜いたら3席余ってるから魚人を仲間にしたら今後の展開も面白そうだよ……ああっ!」

「どうした?」

「バータンやべー!俺らタン塩食ってねぇ!!」

「ああああ!まじだ!すっかり忘れてた!」

「つーか始まりから終わりまでずっとカルビじゃないか!? なんだこの焼き肉道、ぜったい店員からあざ笑われてるよ」

「いや待て!こうもタン塩を忘れてったってことは、そもそもメニューにタン塩がないんじゃないの?」

「そう言われるとそうかもしれん、タン塩って文字を見た記憶がない、ちょメニュー見てみようぜ」

「…」

「…」

「…」

「…あるねー」

「完璧あるねー」

「右上、いの一番に書いてあるね」

「カルビの真横に書いてあるね」

「もうカルビしか見ていなかった。ははは。」

「タン塩たのむ?」

「いやいいわ、つかタン塩で思い出したんだけどワンピでさ…」

 

 

という会話をしながらしこたま肉を食い

店をでた後は高円寺から東高円寺に向かう間、実写板ワンピースの配役を考え

高円寺の面子を麦わらの一味だとした場合の配役を考え

東高円寺のいつものバーにブルックカズオを呼んで

ビールを飲みながらワンピースクイズ大会に終始して気づいたら明け方

ヨホホホー ヨホホッホーってビンクスの酒を口ずさみながら帰宅する

 

 

 

 

 

 

「根拠ないけど意欲昂り粉」2009年1月21日

 

【 シナプス活性 】

 

 

 

創作周期・文章周期・肉欲周期

 

創作周期とは、「何かをつくりてぇ、シャシンを撮りてぇ」って創作意欲が根拠なく昂る期間

執筆周期とは、「面白可笑しいことを偏った目線で日記を書きてぇ」って執筆意欲が根拠なく昂る期間

肉欲周期とは、「四の五の言わずセックスしてぇ、ぬくもりてぇ」って生殖意欲が根拠なく昂る期間

のことを言い

この周期のうちのひとつがある時、急に、不意に、ふりかかる、いや、ふりかけられる

例えば、ぼんやりと空を飛ぶ鳥の姿を追っている時や

残ったラーメン汁にご飯を入れようかどうか迷っている時

お昼休みに誰もいない礼拝堂でステンドガラスを見上げている時

かねがね「かわいいな、かわいいな」思ってた女の子と、偶然、いやさ必然的にエレベータで乗り合わせた時

横に立つ美女を間近で盗み見ては、うぐぐ、この半端ない可愛いさに心打たれ

終止狼狽しきりになって、結局今日も一言も話せませんでしたって時

なんて、いわゆるなんでもないぼんくら状態、ニュートラルぼんくら状態、ナチュラルボーンクラ時でもおかまいなく

予兆なく、兆しなく、ある時、不意に、急に、周期に突入

周鬼、俺の大脳に鎮座して、腰に結わえた小袋から「根拠ないけど意欲昂り粉」をとりだし

脳全体にその粉をまんべんなく振りまく、「肉は外 創は内」つって蒔くイメージ。文章がぐずぐずだ。

 

つまるとこ、なにがいいてぇかってぇと

どうやら創作周期に入りました、肉欲周期から抜けました

創作周期、一ヶ月ぶりです、ちょうどいい頃合いだ、ここいらでカタをつけてやろう

あと、次こそがんばって声かけよう

「つかぬことを伺いますが、ワンピースはお好きですか?」と問い

「はい。好きです」と返答されたら、我に勝機あり、九分九厘俺の勝ち

喜び勇んで人目もはばからず「この勝負貰ったぁぁぁ」と絶叫せぬよう留意しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただ愛でる。」2009年1月19日

 

【 プラスチック芝に芽吹く  】

 

 

ベランダのプラスチック製の芝の隙間から

名も知らぬ雑草が芽生えていることに気づいたのは正午過ぎ

自分が、いまさら仕事に行ってもしゃぁないなと思った後

今日はあれだ、天気も良いし仕事を休もう、と決意する少し前

ベランダのプラスチック製の芝の隙間から

名も知らぬ雑草が芽生えていることに気づきました

 

これを引っこ抜いて捨てるなんて発想はもとよりない

雑草はメインの植物の脇にうじゃうじゃ生えることで雑草であり

メインの植物の栄養分を吸うから忌嫌われて引っこ抜かれるわけであって

こういう土もない不可解なところにポツネンと根を張る雑草には

忌み嫌う理由も、引っこ抜く道理もなく、ただ愛でる。愛嬌のあるやつめ。

 

今日はいやに天気がいいなと空を仰いで

まともに陽の光を浴びるのはいつぶりだろか

ぼんやりと柔らかな陽の光を浴びていると

これから河原へ散歩しようと思いつく

 

川沿い自転車で当てなくゆらゆら走り、木を見て、草を見て、風を水を切る

職場で働いている皆の頭上に広がる空はこんなにも綺麗ですよ

コンクリの建物には触れる外の風と空気は心地よい

早咲きの梅が満開です。いずれ春です。

季節の変化を目の当たりにできなくて何が表現だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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