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あれから10年・・・そしてこれから・・・

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少年少女数学愛好会の10年



0. きっかけ

 ある日、1年生の高田君が職員室に来て、「幾何の定理を見つけたんだけれども」という。その後この定理は「高田の定理」と名前がついて有名になった。

 円に内接する五角形の性質についてであった。幾何が好きで一人でMiquelの定理を知った彼は、似たような状況で別のことが成り立たないかと考えた。そして、いくつもいくつも円を描いてそれに内接する五角形を描いて調べていったのだそうだ。たくさん描いた結果、どうやら正しいようだと確信したようである。証明をしようと思ってもなかなかできなくて、そして職員室にやってきたのであろう。

 私も証明できずに、そもそも成り立ちそうだという感じさえもつかめないまま、彼は雑誌「大学への数学」の編集部に手紙を書いた。それがめぐりめぐって東京理科大学の大槻先生が証明するところとなった。その論文は東京理科大学の紀要に掲載され、その中で「高田の定理」という名前がついていた。高田の定理は、雑誌「大学への数学」や、NHKの夏の特別番組である高校生向けの数学のテキストなどで紹介され、全国的に知るところとなった。


1. 自分にもできる

 自分たちの同級生の中に、幾何の定理を発見したものがいるということで、何人かの生徒は自分も発見してみたい思い、いつのまにか集まって何かをしようということになった。

 大槻先生の論文を読んで「高田の定理」の証明を理解し、できればこの定理を拡張できないか考えようということもった。また、そうしているうちに、いままで見慣れた図形の中にも、自分たちで見つけた性質がたくさんあることにも気がついた。そうしてできたのが「取れたての定理です」第1巻である。1990の9月8日ちょうど文化祭のときに発行された。


2. Somethig Mathemaicsを

 1年生から授業の中で、数学の楽しさの体験を積み重ねてきた生徒が、2年から3年になると、自分でもなにかしら数学的な体験を自分の中にみつける。それは電卓をたたいているなかで気がついた法則であったり、数学の勉強を通してイマジネーションが広がりできた小説であったりといろいろである。そういうSomethig Mathemaicsをあつめたのが、「取れたての定理です」第2巻である。
 第1巻は初等幾何に話題が限定されていた。第2巻にも初等幾何もあるが、そうでないものが多い。


3.コンピュータ

 その後、花巻北高校へ転勤し、この学校で新たに「取れたて」の仲間がひろがることになる。

 コンピュータがだんだんと使いやすくなってきた時期である。Windows95がでたころである。このころ、生徒も自分でコンピュータを使うようになった生徒がでてくる。また、ソフトウェア−もいろいろと面白いものがでてきた。Mathematicaというソフトもやっと手ごろな値段になってきて使いやすくなってきた。これをつかって「リマソン観察日記」や、また、Basicでグラフィックを描きながらフラクタルについて描いて「ぎざぎざを科学する」などができた。

 これらを集めて「取れたての定理です」第3巻ができた。1997年である。


4.広がる「取れたて」

 雑誌「数学教室」で群馬大学の瀬山史郎先生が「取れたての定理です」第1巻を見て紹介して下さった。当時の生徒が群馬大学に入学後、瀬山先生の研究室に持っていったのだという。

 また、北海道大学の須田勝彦先生が岩手大学にいらして集中講義をしたときに、「取れたての定理です」を見ていただいたのだが、その後朝日新聞で理科離れ数学嫌いについての取材で須田先生を訪れた記者に「取れたての定理です」を紹介してくださった。それが縁で、北海道支局の記者がわざわざ花巻まで来てくれて、少年少女数学愛好会のメンバーと話をしていった。そのときの記事は、2000年9月25日の朝刊(全国版)になった。


5.インターネット

 1999年にWebサイト「取れたて通信」ができた。これまでの少年少女数学愛好会のメンバーの成果や、彼らが学んだ数学の授業を集めてできた。

 インターネットで全国に(全世界かな?)に公開されたおかげで、空間的、時間的に自由に交流できるようになった。これまでこの学校の中だけでの活動であったものが、すこしずつ広がりをみせてきた。

 福島県の高校の先生から招待されてお話したり、奈良県の高校生が「取れたて通信」にアクセスして小論文の相談をしたりするようになってきた。


6.文化祭

 文化祭での展示も、1997年に始めてから、なんとか続けている。最初は予算0ではじめたのだが、生徒会からの補助をいただけるようになり、展示の場所も一部屋とってくれるようになった。高校生よりも保護者のみなさんから、「数学って、こんなに身近にあったんですね。」と声をかけてもらったりする。みんなありがたいことである。


7.第4巻のメンバーたち

 現在のメンバーは、私と3年間いっしょに数学を勉強してきている。1年生の冬休みに、東京上野の国立科学博物館で、「形と数ワンダーランド」数学と遊ぼう展というのがあって、そのパンフレットなどを見ながら、こういう展示をやってみたいと面白がっていた。

 2年生になると、みんなで協力して展示を作ってくれた。3年生はクラス単位で模擬店をやることになっていたので、文化祭の展示はあきらめていたが、1年生の新メンバーの加入もあり、なんとか展示することになった。

 今年は、展示よりも、メンバー一人ひとりのこれまでの研究報告が大変充実していて、粒揃いで驚いている。1年生のときから数学で遊んできた成果であろうと思われる。授業で数学V、数学Cまで学習し終わっていることもものすごく大きく影響しているような気がする。


8.そしてこれから、(8を横にすると∞、漢字で書くと八・・・末広がり)

 「取れたて」OB・OGが各分野で活躍しているようです。「取れたての定理です」や「取れたて通信」を通じてできた輪を大切にしながら、いつまでも楽しく数学して欲しいものです。 



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