確率の授業4

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授業の実況中継・・・確率とは・・・


中学校では

M先生: 昨日は一時間、コインを投げてみんなで不思議な賭けのシミュレーションをしてもらいました。今日はこの結果を見ながらやっていきましょう。

M先生: ところで、「確率」は中学校でも勉強してきたわけですが、中学校のときにもこういうコインを投げたりサイコロを投げたりする実験をしてきたと思いますが、どうでしょうか?中学校の授業ででそういう実験をしてきたという人は手をあげて。

    ・・・8人の生徒が手をあげる・・・

M先生: ずいぶん少ないなあ・・・
中学校のときには、確率とはどういうものと勉強してきましたか?

生徒1: 場合の数を全体の数で割ったもの!

M先生: そうか・・・。じゃあ、たとえば、こういうことだね。3本が「あたり」7本が「はずれ」の合計10本のくじをひくときに起こりうる場合は、「あたり」と「はずれ」の2通りだから、このくじを引いて「あたり」がでる確率は 1/2 となるわけですね。

生徒1: それはちがうよ! 3/10 だよ。

M先生: じゃあねえ、画鋲を投げたときに、針が上を向く確率はどうなるのだろう?

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確率の定義

M先生: 画鋲を投げたときに、針が上を向く確率は 1/2 だろうか? ○○君が「場合の数を全体の数で割ったもの」と言ったけれども、そうであれば、1/2 だろうね。

生徒1: ちがうと思う。

生徒2: 中学校のときに実験したけど、1/2 じゃなかった。

M先生: おお、実験した人がいるんだね。んで、この場合の確率とういうのは、何だった?

生徒2: たくさん回数を増やしていったときに、上を向いた回数の比率がだんだん安定していって・・・

M先生: 昨日、みんなに賭けをやってもらったのだけれども、その集計表を見てみよう。何回で勝ったかによって、その1回の賭けで何回裏がでたか計算できるよね。例えば、3回で勝負がついたということは、裏→裏→表 と出たということだから、この1回の賭けで裏が2回、表が1回でたということですね。そうやって、みんなの報告書のデータから昨日1時間の間に、みんなが10円玉を投げた回数を計算しました。表の一番右の欄がそうです。見てみましょう。

M先生: 全部で1103回の表と、1080回の裏がでていますね。みなさんが各班でやっているときには、たとえば、「しんたろうVSきみこ」の班では表が41回、裏が23回だけど、「あさぬまVSこしば」の班では表が49回、裏が87回というように、偏ってでている。けれども、みんな合わせて2183回もやると、ほぼ半々の割合で表と裏がでているようですね。
    ・・・生徒は、そういうことを中学時代にやったことを思い出したのかうなずく・・・
それでは、ちょっと確認しておきたいことがあるのですが、

  1 10回も続けて表が出たので、そろそろ裏が出ても良いころだろう
    従って裏の出る可能性の方が大きい

  2 10回も表が出るということは非常にまれなことにちがいない。
    それが起きたのだから、コインか何かに細工がしてあって、
    表が出やすくなっているにちがいない。
    次も表が出る可能性が大きい

こういう言い分はよく聞きますよね。商店街の歳末福引なんかで自分の前の人があたりを引いてしまうと、なんだか自分には当たらないような気がしたりね・・・
    ・・・生徒はにこにこ笑う・・・

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確率の意味

M先生: さあ、どうだろう。1番について、どう思うか聞いてみようか。手を挙げてください。

    ・・・そう思う   15人・・・
    ・・・そう思わない 25人・・・

M先生: 2番はどうだろう?

    ・・・そう思う   15人・・・
    ・・・そう思わない 25人・・・

M先生: どちらもだいたい同じ数ですね。どうしてこうなのか、聞いてみましょうか

生徒2: 確率が1/2ということは、たくさん回数をやったときに、半々に近づくという意味で1回1回について、その比率になるように出るという意味ではないはず・・・

生徒3: でもさ、裏が出にくいコインっていうもあったら、1/2でないだろうから、何回かやってみて様子を見てればそういう傾向がでるよ、きっと

生徒4: 昨日の実験の結果、私たちの班では、2円が有利だと思ったのに、別の班では、私たちの同じ理由で3円が有利だと思っているというように、実験によって 結果にゆれ がでてるから、10回ぐらいじゃわかんないんじゃない?

M先生: いま、昨日の実験データの話がでたから、みんなで見てみようか。

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メンバー1回2回3回4回5回6回7回8回9回10回11回12回13回表の回数裏の回数
めぐみVSてっぺい239854 1      5062
しゅんVSのぞみ2491033 1      5056
つよしVSえり41106511       6446
こうたVSあきこ2811911        5036
しんVSみちよ49281444   1    10092
こうじVSまりこ24169311       5052
まさみちVSめぐみ2614532        5041
りさVSたかのぶ221371412      5063
よしたかVSかおり221844 11      5049
げんきVSさとみ309512  1     5047
のぶあきVSまさみ259771 1      5054
しんたろうVSみきこ241241         4123
ふうこVSみなみVSけいと2512651        4943
ちばVSはるか1916571 11     5064
とくのぶVSめぐみ3016643        5952
ちさVSまい29993 1       5141
まさゆきVSしんじ382512821       8686
やすゆきVSみさき277142         5041
あさぬまVSこしば14196231 3    14987
かまたVSたかはし239854 1      5045
クラスの合計549271152723411742   111031080

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M先生: このデータを見ていると、12回も連続して裏が出て、やっと表がでたということがあったようだね。あさぬま&こしば班だね。ということは、10回連続して裏が出たから、次は表が出るというのはどんなもんだろうね・・・。それから、こういうことがあったからといって、けっして裏が出やすいというわけでもないよね。

M先生: もう一つ見て欲しいところがあるんだけど・・・ この表の一番下のクラスの合計のところをみてほしい。全部で1103回の賭けをやったことになるのだけれど、1回目に表が出ているのは549回になっているよね。裏が出やすい班も表が出やすい班もあったけど、

メンバー1回2回3回4回5回6回7回8回9回10回11回12回13回表の回数裏の回数
クラスの合計549271152723411742   111031080
理論値55227613879391995421  11031080

M先生: どうだろう・・・もしも10円玉を投げるとき、表が出る回数と裏が出る回数が、ず〜っと回数を多くしていったときに 1/2 に安定していくとしたときに、1100回もやれば、1回で勝負がつくのは、半分の550回だろうし、それで勝負がつかない場合も、やっぱり、同じ半々であれば、275回が次で勝負がつくだろうし、それでもつかないときというのは、裏が2回も続いているのに、それでも次の回で勝負がつくのは、やっぱりその半分、・・・となっている・・・というのが「理論値」という意味です。実際に君たちが実験した結果を見ても、かなり近い線いっているよね。


    ・・・生徒うなずく・・・

M先生: さて、もうひとつ確認しておきたいことがあって、

  3 コインを投げる条件など、全ての情報がわかれば、
    完全に次に何が起こるか解くことができるはずだ。
    従って、表がでるか、裏がでるかは必ずどちらかに決まる!

どうだろうか?この意見に賛成の人は?

    ・・・賛成の生徒・・・ 3人 

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必然の出来事と偶然の出来事

M先生: たとえば、このチョークをすっかり同じ条件で放り投げることができれば、すっかり同じ軌跡を描いて落ちていくでしょう。
これに対して賛成の人は?

    賛成の生徒     ・・・ 28人

M先生: そうですねえ。コインを投げるときに、投げ出す角度とか、与える回転とか、着地点の材質とかあらゆるデータが全部そろったら、裏か表か計算できるかな、原理的にはどうで しょう?・・・

    できると思う人   ・・・ 22人

M先生: 例えば、地球上のあらゆる点での気象に関係するすべてのデータが集められたら 大気の動きは、理科で勉強するような自然界の法則にしたがって変化していって 明日の天気は、そのデータをもとに確定できますか? すべてのデータが集められたとして、ちゃんと計算できるとしてという仮定のうえ で、どう思います?

    確定できると思う人  ・・・ 15人

M先生: ところが、現実には、そんな膨大なデータは手に入らないし、計算だってできないと思う。
 原理的には、コインを投げるすべての要素を全部分かればその後の運動をすべて予測することができるかもしれません。けれども、そういうことは、可能とは思えませんね。現実的には予測不可能といっていいと思います。

 また、気象データに影響を与えるものすべてを考えたとき、ある地点でだれかが火を燃やしたとかそういうことまで影響すると思います。そうすると、その火を燃やそうと思った人間の脳の中の働きまで、すべての要素を知ることが必要です。そういうことを考えてみると、すべてのデータを知れば・・・という考え方は、人間の心の動きまでもすべて決定できると思ってしまうことではないでしょうか。

 こういうことを考えてみると、世の中には、物理で勉強する「質点の運動」のように、その質点に働く力と初期条件が決まってしまうと、その後すべてを予測することができるというような現象と、コインを投げるときのように、偶然に左右されている現象の2種類あるということになるでしょうか。

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中学校で学んだことのまとめとこれから学ぶこと

 これから学ぶ「確率」というものは、偶然に支配されて起こるような事柄を考察の対象とするわけです。例えばコインを投げるということを考えると、このことは、偶然に支配されていて、次に表がでるか裏がでるか、その個々の場面で原因と結論という関係では予測することはできません。10回裏が続いていたからといって、次は表になるかどうかは分からないのです。

 けれども、偶然に左右されることを何回も何回もやっていると、ある「傾向」が見えてくるようになるのです。みなさんに実験してもらった結果で言うと、10円玉を投げるという「偶然に支配される」ことを何回もやっていくと、表が出る比率も裏が出る比率もだいたい 0.5 ぐらいに近づいていきます。

 この「傾向」を知っていると、皆さんにやってもらったような賭けの場合に、何回もやっていると大体どのような傾向で勝負がつくかが予測できました。そしてそれは、実験の結果にかなり近いものでした。

M先生: というわけで、偶然に左右される事象に現われる「傾向」とその傾向を組み合わせてどのようなことが考えられるのかをこれから勉強していくのです。中学校の時には、すべての場合をリストアップできるような場合だけで考えてきましたが、高校でこれから学習するのは、リストアップはできないけれども、計算はできるような場合とか、また、起こりうるすべての事象はわからなくても、実験の結果からわかった「傾向」だけをつかってどこまで予測可能であるかとか、そういうことを学んでいくわけです。


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 バックに流れている曲は、モーツアルトの曲です。モーツアルトは、1小節単位でメロディーの断片を作りました。そして演奏者はサイコロを振ってその断片をつなぎ合わせて演奏するのだそうです。

 ランダムに曲の断片をつなぎ合わせて演奏するプログラムが @nifty のパソコン通信で nifty:FMIDICLA/LIB/07/208 データ名:音楽のさいころ遊び にあります。使わせていただきました。

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