確率の授業9

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授業の実況中継・・・数学的確率を考える


授業4時間目

M先生: 昨日は「偶然的な事象」に対して回数を大きく取っていくと、ある事柄が起こる比率がある一定の値に近づいていき、その近づいていく値を「確率」と考えること、その値は実際にはわからないかもしれないが、理想的な状況を考えると「数学的確率」を定義することを考えました。

M先生: 数学的に確率を考えるときには、起こりうる全ての場合をリストアップすることが大切です。そのとき、一つ一つは同様に確からしくなるように考えなければなりません。ところが、たとえば、画鋲をなげてどっちを向くかを考えるときには、同様に確からしい全事象のリストアップなんてのはできませんよね。

M先生: 例えばねえ、商店街の歳末福引なんて見てみると、昔はね、抽選機があってガラガラと一回転すると口からポトリと小球がでてきて、その色ではずれのティッシュだったり、5等の醤油がもらえたり・・・という感じでしたが、最近は違うんですよね。
 テレビが置いてあって、そのテレビにファミコンみたいなのがついてて、ボタンを押すと画面が色とりどりに変わってピコピコと電子音がして、そして結果がでる。残念でした・・・とか、おめでとう!3等賞です、とかね。
 ガラガラと回すときには、きっと抽選機の中には最初に賞品の数だけいろんな色の球が入れられていて、その中から球がでるのでしょう。だから、用意された1等賞の賞品の数しか1等賞の球は入っていないでしょうから、だれかが1等賞を出せば、その後はもう出ることはない。
 ところがファミコンで抽選するっていうことは、おそらく、ある一定の比率で1等、2等、3等、・・・参加賞・・・が出るようにプログラムしていることでしょう。この場合には、各抽選のときにも、各賞が出る確率は一定になっているでしょうから、かなり小さい確率ではあるけれども、1等賞がでた後も1等賞がでる確率は変わらないのではないかと思うんです。
 そこのところの違いがわかるかな?

    ・・・なるほどという生徒、ちょっと困った顔をする生徒、いろいろ・・・

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生徒1: でも、1等賞の数が決められた数しかでないようにプログラムしてるかもしれない・・・

M先生: ああ、それは考えられるよね。私が福引実施委員だったら、そういうプログラムにしてもらうだろうね。だって、賞品を用意するのに、数が決まってないと困ってしまうからね。
 まあ、でも、仮定の話として、抽選するたびに、各賞の比率が同じであると考えましょうね。こういう場合には、どういう「全事象のリストアップ」になるのだろう?

    ・・・どういうことだか、質問の意図がわからない様子・・・

M先生: 別の例でいうとね、例えばサイコロを投げるときのことを考えようね。1の目が出る確率は1/6、2の目が出る確率は1/6・・・。これは、全事象を考えると、目の数が、1,2,3,4,5,6の6通りであって、どの目がでるのも同様に確からしいと考えられるから、1/6となるわけですが、これは普通のサイコロのときの話。
 もしもサイコロが直方体だったら、どうだろう? どの目がでるのも同様に確からしいといえるだろうか?

生徒2: いえない。

M先生: 同様に確からしくないだろうね。きっと。何年か前には、こういうサイコロを使って実験してみました。ドタッて倒れるから、さいころじゃなくて「サイドタ」と名前をつけてね。確かに各目の出現比率は等しくなかったよ。こういう時には、全事象のリストアップなんてしてもしょうがないのかなあ・・・

M先生: というわけで、話を簡単にするために、ちょっと単純な二つの場合を考えよう。

   1 3本のあたり、7本のはずれ の計10本のくじをひく場合。

   2 コンピュータが、出現率0.3であたり、出現率0.7ではずれ 
       が出るようにプログラムされている場合

という二つの場合。
 1の場合には、全事象は{○1,○2,○31234567}という同様に確からしいリストができるわけですが、
 2の場合は、どうなるのだろう?

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どこが違うの?

生徒3: どっちも同じ確率になるのに、どこが違うの?

    ・・・同感であるという顔つき

M先生: だってさあ、素直に考えれば、起こりうる場合としては{ ○,× }だけなんでしょ。そして、これでは同様に確からしくない!

    ・・・これにも同感であるという顔つき

M先生: みんなが同じというなら、2の場合にも「全事象のリストアップ」は、{○1,○2,○31234567}としてよいというのでしょうか?

    ・・・当然だという表情の生徒、
       そういわれると、ちょっと疑問という生徒
       困った顔の生徒

M先生: 「サイドタ」を転がしたときにね、こんな感じの出現比率になったんです。
サイドタの目 1  2  3  4  5  6 
出現率0.100.180.220.220.180.10
こういう場合の全事象のリストアップとして{1,2,3,4,5,6}とすると、同様に確からしくないですよね。これでいい?

生徒4: 全事象はそれでいいと思うけど、同様に確からしくないし、確率が1/6っていうように計算できない。

    ・・・みんな同意見のようす・・・

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数学的確率とは

M先生: このサイドタの「全事象リストアップ」として、
   1と書いたカード  5枚を一枚一枚区別したもの
   2と書いたカード  9枚を一枚一枚区別したもの
   3と書いたカード 11枚を一枚一枚区別したもの
   4と書いたカード 11枚を一枚一枚区別したもの
   5と書いたカード  9枚を一枚一枚区別したもの
   6と書いたカード  5枚を一枚一枚区別したもの
の全部で50枚のカードだと思うっていうのはどうだい?

生徒5: 全然違うじゃん!

生徒3: 確率は同じになる

M先生: みんなどう思う?

   多くの生徒はよく分からない様子

M先生: 数学的な確率を定義したんだけど、試行の結果を素直に表せばそのまま同様に確からしい全事象のリストアップができる場合は、問題ない。でも、今日考えているのは、そうでない場合です。
 こういう場合でも、実際に起こっていることにあわせて、同じ確率になるように全事象のリストアップを作り上げることをします。このようにすることによって、これから勉強する確率の計算が適用できるからです。
 サイドタの全事象がカードになってしまう・・・カードでなくてもいいのだけど・・・ところ、モノはちがっても、でてくる確率は同じになるのだからいいじゃないかという感じ。ここのところは、納得できない人は、大学行ってちゃんとした確率論を勉強しましょう。一応、こういうふうに理解しておいて大丈夫だと思いますよ。

M先生: 昨日は「数学的な確率」について、現実の現象をシミュレーションする「理想的な数学的なモデル」と考えるといいと言いましたが、今日の例は、現実と数学的なモデルの違いがはっきりとするものだったのではないでしょうか。
 これから、こういうところから出発して教科書の問題を考えていきます。

   やっと教科書の確率の章の最初のページを開く。
   試行とか全事象などの定義を教科書の記述にしたがって説明していく
   問い、例題、練習問題も順に解いていく
     そのときには、いつも「試行」「同様に確からしい全事象リストアップ」
     をしつこく確認しながら考えていく・・・

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