M先生:
今日は期待値だね。教科書を見てみよう。
1000本のくじがあって、その中には
1等 10000円 が 5本
2等 1000円 が 20本
3等 200円 が 75本
はずれ 0円 が 900本
というようになっている。このくじを1本だけ引くとき、どれだけの賞金が期待されるかを考えてみよう。
賞金の総額を計算してみると、
10000×5+1000×20+200×75+0×900=85000
となって、85000円だから、これは1000本のくじの総額だから1本あたりは、85円となる。つまり、くじ1本で85円の賞金が期待できる。
M先生: というのが教科書に書いてあることである。このくじを全部買い占めてしまえば、賞金の総額85000円全部自分のものですよね。うん、ゴージャスだな。85000円ぼろ儲けだ。どうしてみんなくじを全部買ってしまわないのだろう?
生徒1: 先生!そんなこと言ったって、くじを買うのにお金を払うんでしょう?
M先生: そうか、くじ1本買うのに100円払ってしまえば、賞金は1本あたり85円だから、損することになるか・・・、残念だな。生徒2: 宝くじなんて、損することになってるんだよ。
M先生: そうだろうか?だってね、10本買ったら、その中に1等と前後賞、あわせて1億円なんてあたればね、300円×10=3000円払ったって、断然お得じゃないか。私は、今1億円当たれば、教員なんて辞めてしまうかもしれないな。当てて人生たて直しだな。
生徒2: でもさ、1等なんてなかなか当たらないんでしょう?
M先生: 「確率」を考えるということは、偶然に左右されることを扱っているわけですが、「くじを全部買う」というのは全然偶然じゃないよね。くじを全部買い占めれば、1本あたり85円というのは、必然になってしまって、教科書の説明って、なんとなく違和感があるんだけど、君たちはどう思う?
くじを全部買うとき、「賞金総額の1本当たりは85円」は必然だと思う。M先生: そうだよね。宝くじを買う私の立場からするとね、くじを全部買い占めることなんて不可能なわけですよ。だから、くじのなかのほんの一部分だけを買う。私の場合は、一回に買うのは、10本連番を2セットと、バラの10本を1セットあわせて30本がせいぜいでしょう。まあね、それだけでも1万円だな・・・。私の知っているある先生は、5万円ぐらいかけている人もいるようですが・・・。
M先生: くじを全部買い占めてしまう場合の1本あたりの期待される賞金が85円というのは当たり前だと思うんだけど、このくじを1本だけ引くときにこれに期待される賞金が85円というのはどう思う?
質問の意味がわからない様子の生徒が多いM先生: 1000本のくじのセットを2000セットとか、いっぱい用意して、君たちに順番にくじを引いてもらうんだけど、1番目に引く人は、1つのセットから1本ひく。次に引く人は、1番目に引いたセットからではなくて、別の新しいセットから引く、3番目の人も、新しいセットから1本ひく、・・・とやっていく。だから、1等賞が5本でたからといって、もう出ないということはないわけですよ。そのかわりはずれが少なくなっていくわけでもない。つねに、同じ確率で当たる状態になりますね。こういう場合にも、1本あたり85円だと思いますか?
順番に一人ひとり答えを聞いていく。半分の生徒に聞いたところでM先生: 私もね、いま考えているところです。もともと確率を考えるということは、考える対象としては偶然に左右されることについてです。偶然に左右されるから、次に何がおこるか予測することは出来ないのですが、何回も何回も回数を重ねていくといろいろなことが起こる比率が一定の値に近づいていき、その値を考えて「確率」と思うわけです。コインを投げて表が10回続いたから次は裏が出るなんてことは言えないという事柄を考えているのです。だから、1セットのくじをみんなで引くのとは、違うのではないだろうか・・・。一人一人、全部違うセットのくじを引く場合を考えるのが本当なんではないか・・・。
生徒4: でも、先生! 何回も何回も繰り返しやったときに、1等がでる比率は 5/1000とか、、2等がでる比率は 20/1000 とかにだんだん近づいていくんでしょう。そうすると、一人ひとりのもらえる賞金の総額っていうのも、1セットを買い占めたときの比率に近づいていくんじゃないかな・・・。
M先生: うん、そうかな? そうかもしれない。みんなはどう思う?
残りの生徒にまた一人一人聞いてみるM先生: 同じという生徒が多くなってきたようですが、どうでしょう?考えを変更する人は変更して、もう一度聞いてみようかな手をあげてね・・・
同じと答える生徒が大分・・・M先生: いずれ、期待値というのは、くじを1セット買い占めるときの1本あたりの平均値という概念ではないということは、みんなわかってもらえたようですね。それでも、あることが起こる比率がある値に近づいていくということから、1本あたりの賞金金額も、平均値に近づいて行きそうな気がしてきましたね。この値のことを、「期待値」というわけです。教科書に定義がありますから、みてみましょう。