三省堂旧版教科書 高等学校の確率・統計より
ある晩悪魔がやってきて、私にこんな賭をすすめた。
「これから10円玉を何回も投げるよ。1回でも表が出たら勝負は終わりで賞金を払う。第1回目に表が出たら賞金は2円だ、1回目に裏で2回目に表が出たら賞金は4円だ。裏が出るたびに賞金は倍額になる。19回裏が出続けて、20回目に表が出たら、賞金はざっと100万円だ。ところで、君は最初にいくらか払わなきゃいけない。いくらにしようか?」
私は期待値を計算してみた。。「金額×確率」を計算して、次のように足し合せればよい。
2円×1/2 + 4円×1/4 + 8×1/8 + ・・・
おやこれは、1+1+1+・・・、無限大ではないか?
「そうなんだよ。君は絶対、トクなんだ。どうだい、10万円ぐらい払ったら?」
M先生:
確率も一通り終わったのですが、今日はもう一度最初の賭けの話にもどりましょう。
最初にみんなに読んでもらったペテルスブルグの賭けの話は、途中省略されている部分がありました。今日は省略なしで見てみましょう。昨日勉強した「期待値」という言葉がありますね。今日はもう、書いてあることが全部わかると思います。
生徒1: 期待値無限大って、どういうことだろう?
M先生: というわけで考えてみよう!
M先生:
授業でやったときには、
1回め表が出れば1円、
1回目裏が出て、2回目表が出れば2円、
1回目裏・2回目裏が出て、3回目表が出れば4円、
1回目裏・2回目裏・3回目裏と出て、4回目に表が出れば8円
・・・・
としてやったわけですが、上の文章では2円から始まっていますね。そこが違うことをちょっと注意しておいて・・・
期待値を計算するためには、とり得る賞金について、その賞金をもらえる確率を計算しなければなりません。まず、とり得る賞金というのは、いくらだろうか?
生徒1: 1円か2円か4円か8円・・・
M先生: そうだね、1回目で表が出れば1円、2回目で初めて表が出れば2円、3回目で初めて表が出れば22=4円、4回目で初めて表が出れば、23=8円・・・では、n回目で初めて表が出れば?・・・
生徒2: 2n円!
M先生: そうだろうか?もう一度よく考えてみて・・・
生徒2: 2n-1円!
M先生:
そうだね。
では、次の各賞金についての確率を考えてみよう。
M先生: はじめに、賞金が1円のときの確率は?
生徒3: 1回目に表が出る確率だから、1/2
M先生: そのとおり。じゃあ、次に賞金が2円の確率は?
生徒4: 1回目に裏が出て、2回目に表が出る確率だから、(1/2)2=1/4 !
M先生: そのとおり。じゃあ、次に賞金が4円の確率は?
生徒5: (1/2)3=1/8 !
M先生: ピンポン! じゃあ、次に賞金が8円の確率は?
生徒6: (1/2)3=1/16 !
M先生: そうだね。だいたいわかってきたようだね。 じゃあ、次に賞金が2n-1円の確率は?
生徒7: (1/2)n !
M先生: これをまとめてみましょう。
| 賞金 | 1円 | 2円 | 4円 | 8円 | ・・・・・ | 2n-1円 | ・・・・・・ |
| 確率 | 1/2 | 1/4 | 1/8 | 1/16 | 1/2n |
生徒1: 先生! 賞金が 2n-1 の次の・・・はどこまで続くんですか?
M先生: どう思う?
生徒2: ずっと続く!
生徒1: え?! ずっと続くの? 確率の合計が1にならないとだめなんでしょう?
生徒2: だって、裏が出続ければ、賞金はどんどん高くなるよ。
M先生: ・・・にやにや・・・ 確率の和だけど、半分半分・・・とやっていって、その合計の和がどうなるかは、この図を見てもらえばいいと思います。
M先生:
というわけで、期待値を計算すると、
1×1/2 + 2×1/4 + 4×1/8+・・・+2n-1×1/2n+ ・・・
となります。
これは、計算すると
1/2+1/2+1/2+・・・+1/2+・・・
となってね、どんどん足していくといくらでも大きくなるかな。
生徒1: どんどん足すってとこが、どうもなあ・・・