4 授業の記録 その1

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はじめに・・・場の設定

M先生:  昨日は暴走ゲームをしたわけですが,なかなかゴールに達しませんでしたね。一番速くゴールに到着した人は小原君でした。第1着おめでとうございます。

 今日から「ベクトル」という章です。
 前回の授業で鶴亀算の話をしました。亀さんの手を切り落として血まみれの前足を数えるというようなことをしなくても,文字を使うことによって計算で自動的に答えが出てくるという話をしました。それと同じことを図形の性質を調べるときにもやりたい。そのための「数学的な道具」を作ることから始めようということを話しました。
 そのための材料として「暴走ゲーム」をやったわけです。「自動車の移動」を考えて矢印で表しました。こういう「移動」を表す矢印以外に、何かを矢印で表すというようなことを,君達は知っているでしょうか。どうだろう?

 1 ある   2 ない

さあ,どっち?

 1の人,手を挙げて・・・いないなあ・・・・。
 2の人,手を挙げて・・・(全員)・・・困ったなあ・・・。

 ううん…,中学校の理科でやったんだけどなあ。

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M先生: 1に変わった人いますか?・・・(10人ぐらい手を挙げる)・・・ああ,良かったなあ。じゃあね,君

生徒1: 「重さ?」

M先生: 重さか・・・(板書する「重さ」)

生徒2: 「重力」

M先生: 重力か,・・・よし・・・(「重力」と書き変える。)カだな・・・。
 こんなことを学習しましたね。カを矢印で表して、2つのカの合力をこういうふうに平行四辺形を作って・・・として求める。
 さてさて,この「カ」と昨日の暴走ゲームでの車の「移動」という全然違うものを考える。どちらにも共通することを考えてみよう。何があるだろう?

生徒3:  どちらも矢印で表されます。

M先生:  他には何があるだろう?・・・ちょっと出にくいかな・・・。

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M先生:  について,「2つのカを合わせる」ということができて,こうやって平行四辺形を作って求めましたね。

移動についてはこういうことができるだろうか?

生徒: ・・・(無言)・・・

M先生: よく分からないかな・・・。
まあ,単純に「カ」を「移動」で置き換えれば,「2つの移動を合わせる」ということになるけども……。
 昨日やった暴走ゲームでは,スタート地点から出発した自動車の移動を,こうやってつないで,トータルの移動がこうなる・・・というようなことを何回もやったわけです。こういう意味で,どちらのものにも,「力を合わせる」ということと「移動を合わせる」ということが考えることができるけども,ちょっと違うよね。
 カの場合は,2つのカを合わせるときには,こうやって平行四辺形を作って,対角線でできるこういう矢印,これが2つのカを合わせた結果です。
 これに対して,移動の場合は,2つの移動は,矢印をつなぎ合わせて,その結果,こういう移動になる。違うものです。
 だけれども、作る手順は違うけど、同じものができています。

 2つの矢印を考えましょう。この矢印が「カ」を表していると思えば,こうやって平行四辺形の対角線の矢印だし,この矢印が「移動」を表していると思えば,こうやって矢印をつぎたして,トータルではこういう移動になる。できた矢印を見るとどちらも同じになっていますね。
 違う操作をしているのに同じものができる。このように「カ」と「移動」という全然違うものなのに,同じような動きをしている。

・・・不思議ですねえ。不思議ですね。

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M先生:  で,このように,違うもののなかにある同じものを見つける作業というのは,大事なものなんです。こういうことで有名なことに,ニュートンの万有引力の法則の発見があります。本当にリンゴが落ちるのを見て発見したのか・・・・・・。
 ニュートンの頃には望遠銃ができたりというようにいろいろな技術が発達してきて,どうやら地球は太陽のまわりを回っているようだということが分かってきていました。地上で同じようなことを起こすときを考えると,ただボールを投げただけではそういう事は起こりませんよね。ボールに紐をつけてそれをぐるぐると回します。ぐるぐる回しているときに、この紐を切ってしまうと,どうなるか?・・・そのままぴゅんと飛んでいってしまいます。
 ニュートンはボールに紙をつけてくるくると回すのと.地球が太陽のまわりにくるくると回っているのを,関係を考えたんだろうね。太陽と地球の間に,紐の働きをするものがあるだろう……と。

 このような違ったものの間に,共通なものを取り出して考えるということは大事な 考え方なんだな。

 そこで,これからやることは,「移動」「力」の両方に共通のものを取り出して,暴走ゲームであいつに負けて悔しいとか理科の時間に力の合成ができなかったなんて感情を取り去って,ピュアな形の結晶のようなものにして,それを数学の考察の対象にしよう。数学を創っていこう。これがこの「ベクトル」の章でやることの第1段です。

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