12 授業後の座談会 その4

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力と移動の和を「止揚」する

佐々木:  ベクトル量のところに関していえば.「カというのは」,例えば,2つのベクトルが同時に作用するという,ある静止したところで考えるのですが,変位,移動というのは,首の作用の後に了の作用をするという,時間的なものが関係してくるので,生徒にとってはちょっと違和感がある、んじゃないかと思いました。

 和の定義に関して,「カ」では平行四辺形の対角線を使ったし,「移動」では,三角形を使う矢縦ぎ法で別々に定義したのですが,この「移動」や「変位」の和を考えるときも,「カ」と同じようにやれるような実験があるんです。  例えば,今O地点を,AさんとBさんが出発します。このとき,CさんもOを同時に出発し,AさんとBさんの両方が同じに見えるように,両手を広げて指をさしながらバックしていきます。両方の変化を同時に見ていくということですね。そうすると,結果的にAとBで作られる平行四辺形の対角線の端点位置になっているわけで,これは,「カ」での和の考え方と整合します。

宮本: CさんはAさんをずっと同じ角度で見続けるということだから,Aさんと同じ速度成分をもっているし,Bさんとも同じなんですね。

伊藤潤:  この実験は体育舘でやるんですか?

佐々木:  いや,教室で生徒を歩かせてもできますよ。


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伊藤潤:  今のでいえるのは,「移動」は移動であって,変位はベクトルのような気がするんです。じゃあ,「カ」がベクトルであるということをどうやって生徒に納得させるんですか。

宮本:  私の今日の授業では納得する必要はないのですよ。「カ」と「移動」という本来異なるものに共通にあることを抽象してベクトルを定義してゆくということをやっているわけで,「カ」がベクトルだということは一言も言ってませんよね。

小宮山:  でも,あのカとあの力をたしたら,平行四辺形の対角線になるっていうことは納得させないの?

宮本:  それは,論理的に実証する必要はなくて,「中学校で学んで納得している」という前提でやっています。
 ここでは、数学として「力」がベクトルかどうかを議論する場面ではなくて、なんとなくでよいから、中学校では「力」を矢印であらわして、力の合成を矢印を作図して求めたことがあったなあ・・・という原体験を思い出してもらうだけでよかったわけです。

七海: 今日の授業のように,ベクトルの和の部分も違う形で表して,こういう和の定義もありますよ,こういう和の定義もありますよ,というので十分だと思いますよ。そして,これが,座標かなんかを入れてくれば同じになるということを後で言うわけですね。

宮本:  というか,わざと違うものをもってきて,結果が同じになるから,何かあるなと思うわけです。

小宮山: そこから,たし算の定義にもっていきたかったわけですね。

宮本: そうですね。佐々木さんは,両方とも違わないようにやろうということを考えていて,私は違うものをわざわざもってきたということだと思います。


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佐々木:  「カ」でなくても,速度でも何でもよかったということですね。

宮本:  そうです。でも、速度の合成とかになるとなかなか目に見えてこないかな,という感じもあります。

伊藤潤:  でも考えてみれば,速度というのも,単位時間での「移動」なわけですから,単位時間という制限はつくけれども,結局移動ということになりますね。

宮本: そう言われるとそういう気がしますね。ただ,速度を矢印で書くというのは,まだギャップがあるかな・・・。教科書では,すごく難しいことを書いていて,有効線分ABを平行移動して重なるもので類別して,その同値類をベクトルとして定義している。今日の授業では,そこのところはごまかしているわけです。矢印でベクトルを定義していくことにはいろいろと批判があるけれども,モデルにしたって雰囲気が生徒こ伝わればいいのかなと考えています。ベクトルを矢印でやりたいというのがあって,速度はその点,あんまりうまくないなと思いました。

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