伊藤潤:
それではですね・・・どうまとめましょう(笑)。だいたいベクトルの導入については決着がついたような気がします。
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下町:
今日の授業でおもしろいな,というか不思議だなと思ったことの1つは,交換法則のところで,
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相等・交換法則・結合法則
あとは,2つのベクトル量の話から「等しい」とは何かとか「合わせる」とか交換法則についてとか,という話をしていく部分ですけれども。
宮本:
ここはですね,生徒は退屈だったろうなと思います。ごめんなさいだな。
七海:
今までは,単位元とか逆元とか結合法則とか,そういったものを扱うのは,ベクトルと行列ですか…だったんですね。新しくなってからは,どうなっているんでしょう? 複素数でもそういったことをやるんですか?
小宮山:
あるけれども,そういう形では扱わないのじゃないですか。
七海:
昔,行列で積の交換法則が成り立たないというのが出てきて,初めてそういう交換法則とかをやる意味があるんだなあと思ったんです。だから,そういうのがあることを言ってから始まったら,わりとすんなりと受け容れてくれるんじゃないでしょうか。そうでないと,何でそんな当たり前のことを言っているんだという感じになるのではないでしょうか。
伊藤潤:
今の生徒達はどんなふうになっているんですかね,その辺は。
宮本:
生徒は交換法則なんて当たり前と思っているんじゃないでしょうか。「矢印縦ぎたし」で和を定義すると.これはそんなに当たり前ではない。
他の分野では、例えばたしてから積分するのと積分してからたすのは同じ結果になるのですが,ここをやったときには,操作の順序を変えるときに,結果が同じだというのはいつでも言えるわけではないということは話してあります。パンツをはいてからスカートをはくのと,スカートをはいてからパンツをはくのを考えたとき,結果は同じになるが,これがパンツとズボンのときには違う結果になる…とかという話。
伊藤潤:
小学校のたし算ても,例えば,3人の子供がいました。そこへ2人が遊ぼう
と来ました。何人になるでしょう。というようなとき,結果は5人です。これが最初
2人いて,3人来たというときも結果は5人で同じなのですが,ちょっと意味が違う
なと。
宮本:
たぶん,言葉で書いたときには順番があるんだと思う。最初の導入では順番があると言っていた方がいいかもしれません。
伊藤潤:
問題はですね.交換法則とかの微妙な点を感じている生徒がいるか,どうかということなんですね。
宮本:
私は授業で「感動だなあ」と感動を強要することをします。「これは面白いなあ。感動だなあ」というのを言っていると,生徒もこういうのを感動する人もいるんだなと分かってくるようになる。だから交換法則の成立に疑問をもつようなことを授業で繰り返してやっていくことによって,生徒のそのような態度を育てることになると思っています。
伊藤潤:
確かに,これを交換法則という,皆,ノートにとって覚えろというのであれば.当たり前のことを押し付けられたという感じになりますが,そうじゃなくて,よく考えれば違うよね,という迫り方をすればいいのかもしれませんね。
七海:
ところで.「等しい」というところに関係することなんですけれども,
の「=」と,平行なベクトルの
=
の「=」は違いますよね。最初の=は定義っていう感じですね。
小宮山:
最初の=はたし算の定義で,そして,そのクラスとして表すのが後者の方なんです。正確にいえば,
を
として定義するということだし,後者の方は,同値類として [
] = [
] であるという意味ですね。
最終的に,足し算の場合も同値類として同じになるものを使って定義するということになります。だから実際は同値類の世界でたし算を定義しなければならないので,代表元をもってきて,同値類の足し算を定義しましょうということなんですね。それぞれの = の意味は違っていますね。
後で,交換法則や結合法則がどうのこうのという話をするときに,同値類の話をしていなければならないんで,この詰もちょっと触れるのかなあと思ったんですけど・・・かえって強調すると分かりにくくなるっていうのもあるんですけどね。
で作られる三角形で表された有向線分と
の三角形によって作られた有向線分がなぜ等しいかということを生徒に質問したとき,生徒の反応が「2辺挟角」の合同だから等しいと言ったところです。

「2辺挟角」という言い方そのものにもちょっと驚きがあったのですが,図1のAB,BCを平行移動して作られた図2の三角形から,よく2辺挟角が等しいとすぐ分かったなあということです。
もしかしたら,ひっくり返して重なるということで言っているとしたら,「大きさ」についてのみの相等しか考えていないのではないかと。
それから,交換法則や,結合法則は移動の方だけで説明したけれど,力の方のモデレでは説明はどうやるんですか。
宮本:
平行四辺形の場合だと,そもそも,足す順序がないので,足し算算についての交換法則は自明のようなものですね。これについては黙っていました。
下町:
カは同時に作用しているので区別がつかない。結合法則は平行四辺形を作ってやるのですか?
宮本:
実は,別のクラスで前の時間にやったときに,結合法則を平行四辺形をくっつけてやったら,図が複雑になってしまって,これはまずいということになりまして。
下町:
でも,矢縦ぎ算のときも,力の平行四辺形のときにも,同じように結合法則が成り立つことを,本当は言わなきゃいけないんでしょうね。
宮本:
あの図を見てると,同じと実感できない子が多いだろうなと…。
小宮山:
うまいところだけ使ったという感じね。平行四辺形だと同じ方向のものをたしたら大変なことになる。
伊藤潤:
私がちょっと気になったのは,始点Aと終点Bを結ぶ線は,まっすぐでなくてもいいんでしょう?
宮本:
そうでしょうね。
伊藤潤:
ぐにやぐにゃに曲がっていても,初めと終わりだけが問題で.途中は問わないという。そこは言及しなかったようですが,これは,ちゃんと言った方がいいんじゃないかな。
宮本:
言った方がいいのでしょうか? 言えば面倒くさくなるような気がする。
小宮山:
そういうふうにしたときには,今度は,k倍とかが面倒になるでしょう。
宮本:
伊藤先生がおっしゃったことは,多分,前の時間に暴走ゲームの中で、彼らの中では昇華されている(笑)。暴走ゲームでコースの端ぎりぎりをかすめて通るときに,「先生!これOKですか?」つて質問する生徒がいました。それで,全体に対して,最初と最後の点がコース内だったらいいことにしようかという話をしているもので。
伊藤潤:
最初と最後を押さえれば,移動量とか変位が出てくるんだ,ということの理解は必要だと思います。
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という式で,図を見なくても記号が形式的に計算してくれて面白いね」という話をしようと思っていました。記号の良さを言いたかった。
というように,全部始点と終点を使う形で通しましたよね。
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