16 授業後の座談会 その8

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あなたがベクトルの授業をするときには?

伊藤潤:  今度は今日の授業とは離れて,これからベクトルについて,どういったことを自分はやってみたいか,ということを話し合っていきたいと思います。

七海:  私がやってきたのは,2次元,3次元両方を同時にやっていくということです。 教科書は2次元と3次元を分けているでしょう。そうしないで,直線も円と球もいっしょにやっていくんです。例えば,位置ベクトルのとき,始点をOを平面上にとるより,違う平面上にOをとった方が分かりやすいような気がするんです。

小田島:  実際の受験の問題などの話になるけれど,三角形とかいろいろな図形の辺の比を求めるための道具として,ベクトルを扱うというのもあると思います。

 それから,反省している点は,例えば,ベクトルの大きさは成分で考えると2点間の距離になるとか,数学2の「図形と式」と密接な関係があるわけですけど,混同するような形で話しすぎていたかなという気がしています。


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下町:  私がベクトルやるときに大切にするのは,先ほども言った,  の形ですね。

 まず一次独立。整数の世界では,aとbが互いに素であれば, ax+by はどんな整数でも表せますが、その表し方は一通りではない。しかし,ベクトルの場合は,平行でなく,零ベクトルでない2つのベクトルであれば,sとtは一通りになる。

 それから,s+t=1 のとき,A,B,Pが共線になっているというところを境に図形を見ていくことを強調したい(図)。     これはパソコンを使って,   のベクトルが伸び縮みする動きと,その端点  の動きをビジュアルに見せていくということをさせても,イメージが定着するのではないかと思います。

 それから,ベクトルはベクトルでするということ。xy平面があって,そこに2つのベクトルがあるというのではなくて,あくまで,  で張られる世界で考えていくようなくせをつけること。

P(x,y)として、y=kx+m の形になってほっとするということにならないようにしたいですね。

千葉:  それは斜交座標という話にもなりますね。斜交座標でやると.問題を解くときに全部うまくいくのじゃないかと思うのですが,結局うまくいかなかったという経験があるんですよ。

小宮山:  結局,斜交座標を前提にした入試問題は作らないからね。以前,斜交座標に関する遊本的な問題を出したけど,出来が悪かったですね。

下町:  斜交座標と「座標」で考えるということではないんです。イメージの話。ベクトルにはイメージが大切だと思うんで。2つのベクトルで張られる平行四辺形の端点の動さが見えてくれば,問題を解く技術ということはさておき,ベクトルが分かるのではないかという。


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佐々木:  あとは,内積をどう扱うかという話でしょうね。内積で強調したいのは図形的には正射影との積という考え方です。

七海:  まっすぐには2通りあって,一直線に並ぷという意味と、例えば全校朝会で「まっすぐに並べ」というのは,正面に対して垂直になるという意味があるんですね。この2つのまっすぐを表現するのに都合がいいのがベクトルで,後者のまっすぐには各を扱うものなので内積に関わってくるということになりますね。

伊藤潤:  今は「平面図形と式」は数学2でやっているんですよね。あれに本当はベクトルを使おうという考え方があれば楽になるんですよね。現行はベクトルが数学Bにあるので,苦しいところです。互いに関連させてやれば一番いいのでしょうが。

七海:  内分・外分というのはベクトルの実数倍のことですからね。

小宮山: せっかくの機会だから,新課程について聞きたいのですが。
 一番最初に言ったように,大学ではベクトルをやってきている学生とやってきていない学生がいて困るということもあるんだけれども,それ以上に数学Cをやるところが少なくて,変換の考えは殆どしないわけだし,Cでやるにしてもものすごく中途半端なんですね。そうすると,いわゆる線形代数的なものを扱うのがものすごく中途半端になってしまっていて,かえって昔の方が良かったんじゃないかなと思うのです。
 もし複素数を扱うんだったら,もっと本格的に扱う方がいいんじゃないかなと思う。虻蜂とらずになっていて,数学らしさみたいなものを体験させるには,もうちょっと足りないんじゃないかなあという気がするんですね。そういう辺りについて,実際教えてみてどんなかなと。今までの教えてきた関係と比較しながら聞ければいいなと思います。
 
宮本: 昨年の3年生が新課程の1年生ですよね。昨年は理系のできる生徒達を教えていたのですが,できる生徒達にとっては面白いのではないかと思っています。ある幾何の問題を解こうとしたときに,座標も使える,ベクトルも使える,複素数も使える。3者3様でそれぞれ特色があって,生徒も好みがあって,自分で道具を選択できるということは良いことですよね。んで,この3つをちゃんとマスターできる生徒というのは,かなり優秀で,大学に行ってから1人で何でも勉強できるのじゃないかと思っています。
 ところが,大部分の生徒は,ベクトルにしても複素数にしてもかなり困難を感じています。文系になると壊滅的です。というわけでカリキュラムの問題なのか,生徒達の数学に対する態度の問題なのか…。

伊藤潤:  それでは,あと,何か言いたい人,どうぞ。


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宮本:  位置ベクトルは生徒がいやがりますね。位置を表すためにベクトルを使い,また2点間の変位を表すためにもベクトルを用います。それで,普通はどっちも同じベクトルを使って表しています。だけど本当は,そうするためには一回同一視によって同じと思わないといけないんだけども,そこが抵抗を感じるところじゃないのかなと思います。
 どうせだったら,空間の位置を表すベクトルと,変位を表すベクトルの空間を2つ用意して,この2つを区別して扱う…という,Affine空間の幾何をやれないかなと思っています。まあ理系の数学好きな生徒向けですけど。
伊藤潤:  あとないですか。じゃあ,最後に私が。先ほど,ベクトルは虚しいという話をしたんですけれど,ベクトルでは最後に図形への応用というのが出てきますね。あれは結横難しい問題が出てきて,我々も予習をしないとまずい(笑)。ああいう終わり方ではなくて,最後は,もうちょっとですね,勉強した後に実になるような,具体的なベクトル量の話とか,ベクトルというのは面白いなあというふうに終われるようなものがあって欲しいと思いいますね。最後に図形の難しいのをば一つとやって,これでもかこれでもかといった感じでね。それで,ベクトルは嫌いだ。内容がなかったということになるのじゃないかと思ううのです。
 それでは,これで終わります。

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