<宮城松島紀行>

 航空自衛隊松島基地所属のアクロバットチーム・ブルーインパルスの取材に同行する機会を得たので紹介したいと思う。
 今回は道中の記録が殆ど無いので、2日間とも松島基地での記録が主となる。どちらかというと、飛行機ページ向けの内容になっているがご了承いただきたい。
 なお、詳細な記事や公式記録としては。2006年5月末に発売される航空情報誌に掲載されるので、合わせてそちらも見ていただけると良いかと思われる。


<2006/4/18>

 23時にJR川崎駅にて同行の先輩と合流。この人が写真を撮って記事を書く。トヨタ・アイシスで出発。

  <4/19>
 0時丁度に羽田ランプから首都高横羽線に入り、湾岸線、小菅経由で東北道へ。深夜なので流れは良いが、それでもトラックがかなり走っている。東北道に入ればトラックの数も減少。快適に時速130キロで北を目指す。
 1時半ごろ。宇都宮を過ぎた上河内SAでうきはが運転手に。その後、深夜の東北道を突っ走る。突っ走る。3時半頃に菅生SAに仙台はもう目前。松島基地へのナビの到着予定時刻は、当初5時半過ぎを指示していたが、この時点で既に4時半ごろに修正されている。飛ばしすぎだ。
菅生SA。アイシス、菅生にて。
 小休止の後、再び走行開始。仙台南部道路、東部道路、三陸自動車道を経由して4時過ぎに矢本インターへ。早すぎるので、朝食をとることに。
石巻市内のジョイフルで朝食。
朝からエビフライ定食。腹ごしらえをして、いざ、松島基地へ。

6時の開門と同時に松島基地へ入る。来意を告げて、広報の方と一緒に11thSQの隊舎へ。松島基地に来るのは3年ぶりかな?三回目。前回はT−2を見に。最初に来たのは専門学生の頃。学校の見学で。

ゲート傍のゲートガーディアンたち。松島基地ゆかりの機体が並べられている。写真に写っているのは左手前がF86D、通称セイバードッグ。右がF86Fセイバー。奥の黄色いのがT−6テキサン。尾輪式の練習機でT−34メンターが入るまで多数が訓練に使われた。その後、一部の機体は民間に払い下げられて、改造零戦として「トラトラトラ」等の映画撮影に使用された。右奥はT−33シューティングスター。練習機だがT−1やT−2が充足してきた後年は、連絡機等の汎用機として使用された。写真には写っていないが、画面右にはT−2練習機と、F−104スターファイターが置かれている。T−2とマルヨンは見学用の階段が取り付けられていて、コクピットの見学が可能。学生時代見学に来たときは、キャノピーをあけて中に座らせてもらった。

視線を少しずらすと、セイバードックの向こうに格納庫が見える。「Blue Impulse」の文字があるとおり、ここがブルーの格納庫+付属の隊舎である。ブルーは広報部隊で一般にも見学公開している関係上、一番ゲートに近いところに施設がおかれている。あまりに奥過ぎると、練習部隊とはいえ、実線機のF−2Bとかも見学者の目に触れてしまうからだろう。
 隊舎へ移動し、まず整備のブリーフィングを見てからエプロンへ。途中で、航空雑誌各誌で写真を提供している石原肇氏と合流。この方は雑誌の取材だけで食っている凄いお方だ。

全ての扉が開かれ、フライトの準備のためにエプロンへと次々に引き出される。

整然と並べられたブルーインパルス仕様のT−4練習機。電源車は二機ごとに一台を使用する。写真奥から1番機2番機の順で、画面外に6番機が並ぶ。少し見づらいが、正式な2番機は整備のため終日フライトはなし、2番機には予備機が使用されている。


3番機#726は安齋一尉、岡田二慰の乗機。
プリフライトの様子を見学してから、一度隊舎に戻る。ウェザーミーティング、ブリーフィングを見る。ウェザーは芳しくなく。午後からは更に悪化するようだ。
展示も近いということもあって、パイロットの搭乗はウォークダウンから始まる。取り敢えず、エンジンスタートやなんかは置いといて、滑走路脇の撮影場所へ移動する。

 普通はこんな滑走路脇の草っぱらで写真なんか撮れない。目の前を当たり前のようにT−4やらF−2が離着陸する。
 ブルーは8時にテイクオフ。午前中一回目のフライトは、松島基地上空でのアクロ。一面雲が出ているが、運高があるためか第1区分の演技を行った。なお、EOSで撮影していたのでフライトの写真は無し。ご了承を。
 ところで、演技の区分の話なのだが、そもそもフライトには大きく2種類がある。普段皆さんが基地祭なんかで目にするアクロと、編隊で上空をフライパスするだけの航過飛行がある。アクロには雲高、視程の制限によって第1区分から第4区分までがあり、それぞれに演目が設定されている。大まかに言うと、第1、2区分は高度差のあるループ演目が入る。第3、4区分は雲高が低いため高度差はなく水平面でのループを主とする演目となる。簡単に言うとこうだ。今日なんかも恐らく第3区分辺りが妥当に見えるところだが、石原氏も曰く、こんな天気で良く第1区分なんかやったもんだ、ということだった。
 そして、公式ではアナウンスされないものの、第5区分と言うものがある。それが前述した航過飛行なのだが、これに水平系のループなんかを組み合わせた一見アクロみたいな演目がある。
「編隊連携機動飛行」と呼ばれるもので、航過飛行にプラスαで組まれた演目である。具体的にはファンブレイク、レベルオープナー、チェンジオーバーターン等でバンク角が90度以内のものがそれにあたいする。90度を超えるとそれはアクロになってしまうそうだ。また、第1〜4までのアクロは演目のパターンが決まっているが、編隊連携機動飛行は演目のパターンが固定されておらず柔軟に設定出来るため、普段と変わったパターンを見たいなら編隊連携機動飛行を行うショーを見に行くと良いだろう。
 さて、この雲なので、スモークは同化しちゃうし、露出は綺麗に決まらないしであまり良い写真を撮ることが出来なかった。それでも、間近でランディングを撮れたのは大収穫だ。降り際にみんな手を上げたり挨拶してくれたり、パフォーマンスも忘れない。アクロ程ではないにせよ、離着陸だって簡単じゃないだろうに凄い人達だ。だって、2番機の玉越一尉なんてこっち見て両手挙げてたよ!!
 フライト終了後、再び列線に戻ってきた各機の整備風景を撮影。続いて格納庫内の機体も撮影させてもらった。

格納庫内に鎮座する、先代の使用機T−2。178号機。確か、ブルー引退後も21飛行隊で引き続き使用されていた機体だ。前回来たとき、唯一飛行可能なブルーの機体として飛行しているのを撮影した。奥にいるのが、整備中の2番機である。この写真だと少し見辛いが、翼端についている、ミサイルみたいなやつ。ほとんどAIM−9、サイドワインダーにそっくりだが、これは「FORMATION POLE」といって専用に作られたものだそう。機体と同じく三菱重工で製作されている。キャプティブ弾とか訓練用のダミーではないということだ。

エアインテーク後方にT−2ブルーを称えるステッカーが貼られている。

外では早くも午前中2回目のフライトの準備が始まった。2回目のフライトはソロ機である5番機、6番機のみが使用される。訓練も飛行場上空ではなく金華山沖の指定訓練空域で行われるということだ。

空域に向け出発する。
ところが、訓練空域の天候が思ったよりも悪化していたようで、そうそうに帰還。これで午前中のフライトは終わってしまった。

列線に並ぶ5番機#804、川口3佐の機体を右翼端から撮影する。こんなに近くで撮影するのも初めてだが、何よりブルーの機体に触ったことすら初めてだ。804は事故後に補充された機体なので他の機体よりも綺麗だ。

一通り撮影し終え、隊員たちも食事へと向かったので我々も食堂へ。写真の建物の中に食堂と売店がある。隊員用の大食堂はこの建物の裏手にあり、学生時代に来たときはそちらでカレーライスをいただいた。食事後、売店でストラップやらワッペンやら買ってから隊舎へ戻る。

昼食後、格納庫を再び見せてもらう。なんと、見覚えのある入間・総飛のT−4が格納されていた。午前中に降りてくるのは見ていたが、まさかこんなところにしまい込まれるとは思っても見なかった。外来機はとても「お客さん」なので、自分の部隊の飛行機を外に出してでも格納庫に入れるそうだ。ところでこの778号機。なんか見覚えがあるな?と思っていたら、昨年、横田の基地祭で展示されていた機体だ。まったく妙なところで出会うもんだ。
 だんだん天気も悪くなってきて、午後のフライトも危うくなってきた。取り敢えず、天候調査に1機上がるというのでエプロンに繰り出した。なお、この天候調査機のことを「METRO」と呼び、通常であればノーマルの専用機が使用されるが、本日はメンテのためブルーの機体が使用された。

6番機#728、草薙1慰がフライト前のチェックを行う。

キャノピーが閉じられ、チョークも外された。まもなく両翼についていた整備員も機体から離れる。

ランプアウト。

手を振ってくれました。いってらっしゃい!!

ランウェイに向かう6番機を背後から。

6番機が天候調査に出ている間に、他機では出発準備が行われている。1番機#725で、前席が村田3佐、後席が飛行班長の吉田3佐。

整備の合図によりエンジンスタート。動翼チェックを行う1番機。滞りなくチェックが終了し、まもなくランプアウト・・・・・・
と言う感じに準備はしていたものの。6番機の天候不良という報告により、このままフライトはキャンセルになってしまった。エンジンもシャットダウンされ、村田3佐、吉田3佐両氏とも苦笑いしつつヘルメットを脱いだ。

フライトがキャンセルされたので早々と格納されるT−4。主脚の所のパイロンに合わせるようにバックする。このあと雨も予想されているので素早く作業が行われる。美観を第一とされるブルーインパルスの機体にとって、雨水の水滴は大敵。完全に拭き取らないと水滴の周りが汚れで変色してしまい汚くなってしまう。他の実戦部隊では考えられないような機体表面へのいたわり、こだわりがある。
格納されたT−4。ブルーのステッカーを接写する。
しばらく休憩をした後、最後に整備、パイロットの記念撮影が行われた。

「Home of The Blue Impulse」の文字をバックに機体を配置。

パイロットの皆さん整列のもと記念撮影が行われた。

お世話になりました。今日はこれで一旦引き上げる。4空団司令部内の広報にご挨拶して退陣。

 本日は矢本駅裏にあるビジネスホテルに投宿。元気なら、石巻線の乗り残し、石巻〜女川間を乗車しに行こうかと思っていたが、思いのほか疲れていたので・・・というか、ほぼ24時間起きていたので、さっさと寝ることに。

 <4/20>

 6時に起床。昨日よりさらに天気は悪く、雨模様。取り敢えず、朝食をとり松島基地へと向かう。天候は一時的に回復するようだが、それでもこれから悪化してゆくと言うことで、フライトは終日キャンセル。
 取材のパイロットインタビューに同席させてもらい、話を聞く。
 インタビュー完了後。週末の茂木、ツインリンクもてぎで開催されるインディジャパンの展示飛行のため、落下増槽を取り付ける作業を見学する。

まず、パイロンを取りつけ、続いて増槽が取り付けられる。全て人力で行われる。

増槽取り付けとは別に燃料系のトラブルで整備していた1番機がランナップのためにエプロンに引き出された。一時的に晴れ間の広がったエプロンで試運転の準備が進む。エアインテークには異物混入を防ぐためにフェンスが取り付けられている。

試運転中の#725機。一瞬、雲の隙間から光が差し込んだ。試運転はウェットモータリング、ドライモータリング(ウェットモータリングでチャンバー内に噴出された燃料をこれで排出させる)、エンジンランの順で行われる。エンジンランはアイドルから、若干のパワーアドバンスまで行われた。

試運転を見ている間に、5番機には増槽が取り付き、整備の方々は別の機体の作業に取り掛かっていた。

予備である745号機の作業風景。。パイロン取り付け中で、その後手前の増槽が取り付けられる。ちなみに、パイロンは日本飛行機製、増槽は新明和工業製であった。機体は川崎製、エンジンは石川島播磨重工製。純国産機であっても部品によって分業化がなされている。

最後に、格納庫内を二階部分から遠望。ご覧のように横並びで5機が収納できる。5機ずつ前後に2ラインあるので合計10機が格納できると言うわけだ。

 雨も酷くなり、この後もフライトは期待できないのでそうそうに退散することに。例の食堂で昼食をとり、13時半には松島基地を出発した。

横殴りの雨の中、松島基地外周をまわる。右が基地である。
ぐるっと畦道をまわり、国道45号線で塩釜へ。

雨の松島を横切って・・・・・

 多賀城から仙台東部道路で亘理へ。亘理から6号線を南下し広野から常磐道に入る。東京には20時半ごろ入り、22時ごろに帰宅した。

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