ある日、碁会所でいつもと同じように打っていたら、進藤が碁石を落とした。
ボクが進藤を睨むと、進藤は苦笑しながらしゃがみ込んだ。
それから進藤はうろうろと床を這いつくばる。
どうしたと問いかければ、進藤が顔を上げる。
なんて顔をしているんだと思った。
なんて情けない顔だ
もう一度、「どうした」と問いかける。
進藤は右手にある碁石をボクに見せた。
進藤の手から零れた碁石だろう。それが何だと問いかけようとして気がついた。
碁石は欠けていた
落ちた衝撃で欠けてしまったらしい。
欠けたものはしかたないだろう、もういいから、と言い、対局に戻るよう促すが進藤は黙ってボクを見つめた。
進藤の顔は寂しそうに見えた。
ボクが黙って見つめ返すと、進藤は顔をくしゃっと歪めてまた床に這いつくばる。
「どうした?まだ何かあるのか?」と聞けば、
「もう片方が見つからないんだ」
進藤は苦しそうに呟く。
そんなものなくてもいいのに。あっても役に立たないんだぞ?
それなのに進藤は必死に欠けたそれを探す。
まるでそれがないといけないのだと言うように。
何故そんなに必死になる?
もう、いい。もういいから
「進藤、……もういい」
微笑んで言ったつもりだったが、失敗したような気がする。
進藤はボクを見て悲しそうに笑った。
「どうせ元の碁石には戻らないもんな」

数日後、進藤が偶然、あの碁石の片割れを見つけた。
進藤は見つかった片割れともう一方をパズルのように合わせる。
それでも決して元には戻らない。
しかし進藤は決して元には戻らないそれを見て
幸せそうに笑っていた。

 

 

ごめんなさい。
碁石がそんな簡単に欠けるものなのかよくわかりません。
かなり適当です。ヒカアキなのかも怪しいしな(苦笑)