もっと愛しあいましょ






「ん    。」
突然、思いついて目を閉じて顔を向ける。
二人でベンチに腰掛けたものの、相変わらず会話もない。
それはそれで良いのだけど、まるで自分の存在なんて関係なさそうに、ひたすら黙って本を読み続ける傍らの人を少し困らせたくて。

「…何を考えている…。」
一瞬の間の後で、ようやく、本から顔を上げての一言。
眉間に皺を寄せながらなのは見なくても手に取る様に分かる。
「ちゅーして♥」
目は開けずに、そのままで手短に告げる。
「ここが何処だか分かってるのか?」
今度は素早い返事。
不愉快さが全開でも、低く、耳通りの良い声。
「ヒイロさんの通ってる大学の構内♥」
大きな目を開き、にっこりと極上の笑みを浮かべて。
目の前には、案の定、眉間にくっきり縦皺のヒイロ。
あからさまに困った顔を見届けて、満足気に、再び目を閉じる。

「ん♥」
そんなデュオの様子に大きく溜息をついて、ヒイロは読んでいた本を閉じる。
改めて見る、目を閉じた表情が、笑いを噛み殺しているのが分かる。
大方、自分を困らせる事が目的なのだろう。
新しい遊びを発見した、子供の様な、楽しそうな顔。

そのまま、片手で目を閉じたままの彼の顔を正面から掴む。
丁度こめかみ辺りをグッと。

「は?」

実際にキスをしてくれる事はないだろうと、タカを括ってはいた。
でも、まさかそんな行動に出るとは思っても居らず、素っ頓狂な声を出してしまう。
同時に、慌てて目を開け、両目を塞ぐ掌を確認する。

「ちえ〜、何だよー。」
顔を掴んだ手をオーバーな動きで軽く振り払い、拗ねた顔で、デュオは掛けていたベンチから立ち上がる。
困らせたかったのは事実だけれど、せいぜい無視する位で良いじゃないか、と。
わざわざ報復してくれなくても良いのに。
仕掛けたのは自分でも、何となく、釈然としない。
そのまま、頬を膨らませて立ち去ろうとする。

一見無表情に、しかし微かな笑みを噛み殺しつつそんなデュオの姿を見送り、ヒイロは去って行く三つ編みの尻尾の先を素早く捕まえて引く。
引っ張られた人が、バランスを崩す位に、強く。

「イッテェ、何すんだよっ!」
当然の様に、頭ごと後ろに引っ張られ、更にムッとしたデュオが振り返りざま。
そう叫ぶ前に、素早く唇を塞いでしまう。

「え?」
目を丸くして、立ち尽くすデュオを、今度はヒイロが置き去りして歩き出す。
「して欲しかったのだろう?」
去り際に一言残して。
擦れ違い様の、ほんの一瞬、勝ち誇った様な、鮮やかな笑み。

「行くぞ。いつまでぼーっとしている」
予想外のキスに、顔を赤くしたまま、まだ固まっているデュオに、表面はいつも通りの冷たい言葉。
でも、明らかに声に笑いが含まれていて。

やられた。

現実に引き戻す声に気付く。
困らせるはずだったのに、いつのまにか自分がからかわれてる。

デュオは、ぱっと笑顔で振り返り、小走りに追いついて、後ろからヒイロの腰に抱きついた。
「へへ。ありがとな、ヒイロ。すっげえ嬉しい。」
背に顔を埋めたまま。

悔しいけれど、事実、嬉しくて。

言った後に、そっと顔を上げ、ヒイロの顔を下から覗き込む。
少し上気した、人懐っこい笑顔。

「…ふん。行くぞ。」
その目に、うろたえた表情を隠し切れず、ヒイロは自分から視線を逸らしてしまう。
逸らした視界の隅で、その瞬間にデュオの笑顔がますます深くなったのを確認する。

やり返された。

この笑顔に、自分が弱い事を分かっていての行動だ。

照れ隠しに、そのままデュオの腕を掴んで足早に歩き出す。
急に引かれた腕に、若干バランスを崩しながら、デュオも歩き出す。

温かい手に腕をとられたまま。









あまあま。
ってか、その前に『ヒイロが大学受験する話』を書かなきゃいけなかったんです。
いや、所々は出来てるんだが…勢いでこっちを先に書きたくて…。
そしたら案の定先に出来ちゃう訳ですよ。
あまあま。いいね〜。
秋野のリハビリって事で。
そのうちヤりますよ。昔の様に(いや、そんな激しかないけど…←阿呆)。
まずは文章書きに慣れないと…!
やはり茶の間のこたつでパソ打ちしようってのが間違ってたのね。
これはちゃんと自室に篭って書きましたよ。

031221




更にいじってみました。
練り不足みえみえでしたので。
多少は…マシになっただろう…とね…。

040127

そして今アップ。
040215





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