「…酷い風だな…音が凄い。」

気だるい温もりの中、ぼんやりと覚醒した状態で耳に入る風の音は酷く強い。
目覚めてたまたま聞こえる音がこの音なのか、そもそもこの音で目覚めたのか。
定かではないが、どちらにせよ無防備な脳に耳から直接叩き込まれるこの音は、包まれた温もりよりも寒さを寝起きの意識に植えつける。



窓の外の風に、呟いた自分の声さえも…存在すらも掻き消されてしまいそうだ。



体よりも意識の寒さに身震いして、傍らの熱源に身を摺り寄せた。







「眠れませんか?」
腕の中で僅かに身じろいだ所為か、視界の外から低い静かな声が降る。
その声の緩やかな振動に、触れた部分から熱が伝わり寒さに竦めた体が弛緩する。



「眠れなくはないが目が覚めた。」
短く愛想のない返事を返して、まろやかな睦言には程遠いと内心自嘲する。


ゆっくり瞬きをする間に、しなやかな赤銅色の腕が伸びて、確かめる様に再度この体を包み直す。
吹き荒ぶ風の音に冷やされた氷を掻き消す温もり。
触れた箇所がひりりと熱を持つ。

子供でもあやす様に、ただ抱き寄せた男の顔を腕の中から覗き込む。
聞こえる呼吸は寝息そのもので、もしかしたら夢の続きを見ているのかも知れないと思いながら。


「何だ?」
見上げた視線は、そのまま閉ざされていると思った赤い透明な視線に絡め取られる。
予想に反し向けられていた眼差しに戸惑いを隠せず、勢いを削がれた。
せめてもの悪足掻きに言葉だけは強気に。


「怖くはないですか?」
ふっと表情を崩すその顔は酷く穏やかで、締め付けられるように胸が痛くなる。


「阿呆、誰にものを言っているマイルズ?」
感じた痛みを打ち消す様に、口の端を上げて笑って見せてやれば、それすらも見越した様な微笑。
「…そうですね。」


そのまま更にぎゅっと抱きすくめられて、寝ぼけているのかと憎まれ口を叩こうとした口を閉ざす。
照れ隠しに目を閉じて、その裸の胸に耳を押し当てた。

静かにゆっくりと繰り返されるその鼓動と体温が凍えた体にじわりと浸透する。




掛けられた声に本当はほっとしたのだなどと、決して言ってはやらない。
安堵の言葉を一人飲み込んで、無言のまま逞しい胸の、規則正しく脈を打つその心臓の位置に口付けて、心地良い眠りに誘われる。





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休みの朝か、お仕事起床時間前のまどろみをイメージ。

単にときのの部屋は風の音が凄いんです、と言いたかっただけかも知れません。

最近風強いですねえ…。


ぶっちゃけときのは風怖いですよ。












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