無題

















突風に煽られた自分より遥かに小柄な体が、地面のない所へ押し出されてしまうとは、考えてもみなかった。


サングラス越しのこの目に映るほんの一瞬の出来事が、もどかしい程に長く長く感じられた。



バランスを崩した体。


風に踊る長い髪。


空気の固まりを含んで形を変えるコート。



スローモーションの映像が脳裏に鮮明に焼き付く。







「震えてるのか?」
必死に捕まえた体を、その必死さのままに抱え込み、腕の中から聞こえた声にようやく正気を取り戻した。


「心拍数も跳ね上がってる」
フフ…と小さく笑う彼女に笑い返せない。
指先も凍えて解けない。


「寿命が縮まりました。」
震えを抑える事も出来ず、力ない声での返答。

「そうか、奇遇だな。私もだ。」



そう言って、閉じ込めた胸に額を預けて来た彼女に本気の動揺を見た。
この腕が彼女に届いた奇跡を神に感謝して、伏せられたその髪に心からの安堵を囁いた。



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いちゃいちゃ。

弱肉強食は何処に行った!?(笑)












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