そのいみ
穏やかな昼下がり、静か過ぎる室内に、二人の人物。
風通しの良い、この主の部屋には他に誰も居ない。
聞こえる音は、ただ紙をめくる音。
時折、リンが繰る書物の音のみが聞こえる。
「若…。」
長らくの沈黙の果てに、老人が口を開く。
主の背後、壁際に控えたまま。
読書の邪魔にならぬ程度に、小さく声をかける。
「うん?」
少しの間を置いて、リンが返事を返す。
目は、相変わらず文字を追ったまま。
「ランファンの事ですが。」
申し上げねばならぬ事があるのだと、無言の中に。
己が身には出過ぎた行動であるかも知れないと、弁えつつ。
それでも、大切な主の為には言っておかなければならない、と。
老いた、年長の自分だからこそ、諌める言葉を口に出来るのだと、自身に言い聞かせる。
そして、老兵の目は、しかと主君に向けられている。
膝を着いた姿勢で。
「ああ。」
主はあくまで興味のなさそうな、軽い反応を取る。
ぺラ。
紙をめくる音が、静寂と共に更なる重圧を老兵に畳み掛ける。
「-------…。」
主の余りに薄い反応に、老人は話を切り出すきっかけを失する。
「知ってるのか。」
静かに動きを止めた主は、年に似合わぬ穏やか過ぎる声で呟いた。
それでも、振り返らず、視線は書物に固定されたまま。
「はい。お情けを賜った様で…。」
ぽつりと投げかけられた言葉の重さに耐えかね、一瞬視線を外し床を見詰める。
突如、主君の投げ放った剣が空を切り、老人の顔の真横の壁に突き刺さった。
驚き、目を見開くフーを、リンは激昂した声色と表情で威圧する。
「二度とそんな言い方はするな!」
机上の書物を叩き付ける様に立ち上がり、部屋の出入り口へ向かう。
「・・・若。」
顔だけで主の動きを追い、言い縋る従者に更に切り捨ての言葉。
「うるさいっ!」
「…御意・・・。」
殆ど、部屋を出てしまった主に、聞こえるか否かの返事を搾り出し、フーは口を固く結んだ。
老人の胸に大きな不安が過ぎる。
あの娘が、どうか主君の枷にならぬ様に、と。
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ガンガン6月号が出る以前にネタとしては作ってありましたの。
…てか、結構前からリンラン萌えしてたんじゃん、私ってば。
若、間が持たなくなるとすぐ読書お願いしてしまいます。
↑
ってのも、これも発掘してきてちょこっと直しました。
流石にアップできる状態ではなかったので…。
でも、かなり酷い…(号泣)
フーさんは二人の事知ってると思うのです。
知ってて、表立って反対も賛成もしないけど、心配はしてる…と。
漢字で書くと「その意味」。
平仮名にこだわる余り訳が分からなくなってしまいました。
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