第6話 〜過去〜


オラクルベリーに帰る間ロビンはずっと、セルジについて疑問を抱いていた。自分はセルジの事を良く知らない。そんな人と一緒に生活している事に少し不安を感じた。自分の過去は全て話したがロビンの過去はオラクルベリーに行く途中の舟の上で少し聞いただけだった。ロビンはセルジの過去についてとても興味を抱いた。

「おや?どうしたロビン、さっきから元気がないね?」

「…うん。」

「なんかあったかい?おじさんに話してみなさい。」

「おじさんって伝説の勇者の事知ってる?」

「…うん?あ…あ〜知ってるよ。魔王をやっつけたんだよね。」

「…うん。で、その勇者がおじさんの持ってる『大きな袋』を持っていてそれが伝説のアイテムの一つって言われている事も知ってる?」

セルジの顔が少し真剣になってきた。

「ん〜ま〜知ってるよ。持ち主だからね。それより、ロビン。どうしてそんな事聞くんだい?」

「いや…ガロスさんにね。色々と伝説の勇者について教えてもらって、大きな袋が伝説のアイテムってはじめて知ったんだよ。で、それは僕は昔セルジおじさんが世界を旅してた頃に見つけた物だと思っていたんだよね…」

「そのとうりだよ。世界中を旅してた時に見つけたんだ。それがどうしたんだい?」

「…で、その時にそういえばセルジおじさんの過去ってあまり知らないなぁ〜って思ってさ…」

セルジは少し寂しげで、そして、開き直ったような笑顔を見せた。

「そうか…俺の過去は全然話してなかったな。ロビンの過去は色々と聞いたのにね。悪かったね黙ってて。夜にゆっくり話して上がるよ。ほら、オラクルベリーについたぞ。」

ロビンはオラクルベリーについた事を気付いていなかった。セルジがずっと話してる間もずっと、ずっと考え込んでいた。

オラクルベリーに戻って三人は少し早めの夕食を済ませた。夕食の間もお互いほとんど会話をせずにすんだ。夕食を食べ終わってセルジがベットに腰掛けた。

「さて…ロビン。俺の過去が知りたいだろ?夜遅くだとまた、セルジが寝ちゃうから早速話してあげるよ。こっちへおいで。」

ロビンはセルジと同じ方向を向いてセルジの太ももに座った。セルジはロビンのお腹のあたりで手を組んで少し、体を揺らした。ロビンとセルジがこんなに密着するのは初めてであった。そして…セルジは話を始めた。

「話す前にこの事は絶対誰にも行ったらダメだぞ!ガロスさんにもダメだよ。本当に誰にも言わないでくれ。約束できるね?」

「…うん。わかった。」

「良し…じゃ〜話そう…ところでロビンは舟の上で俺の話をどこまで聞いていたかな?」

「セルジおじさんを育ててくれたおじさんが死んじゃった所までは聞いたよ。」

「ん〜そこまでか…そこから話せばいんだな…」

セルジは少し笑みを浮かべながら…しかし、あまり喋りたくない顔をしながら話を進めた。

「そのおじさんが他界してね。俺はそれからずっと一人で生きてきた。自分の身の回りの事はすべて自分ひとりでやったんだ。それと、そのおじさんの財産で剣術をならったり呪文を習ったりとしてたんだ。ただ、まだまだ小さかったから仕事が見つからなくてね、最初のうちはそのおじさんの財産で過ごせたから良かったけど収入が入らないから少しずつお金がなくなって、財産が底をつきそうだったんだ。俺はアリアハンに住んでいたんだけど、その頃アリアハンのすぐ近くにはバルサックというモンスターが住む洞窟があってね、当時はバルサックが良く町に来て、人を殺したり建物を壊したりと大変だったんだ。城の兵士もよくそのモンスターと戦ったんだけど、モンスターがすごく強くて王様も困ってそこで、王様はモンスターに賞金をかけたんだ。」

セルジは一度話をきり、ロビンの顔を後ろから眺めた。ロビンは真剣に話を聞いていた。話が途切れロビンが後ろを見たのでセルジは優しい顔で微笑んだ。そして、話を進めた。

「俺はもう、お金がなかったからそれにかけるしかなくてね。先を越されないようにすぐにその洞窟へと行った。洞窟の中にはバルサック以外にも結構多くのモンスターがいてバルサックのところまで行くのは本当に苦労したよ。そして、バルサックを死と紙一重の所でやっつけて、アリアハンに凱旋したんだ。王様はすごく喜んで、そして、俺には親もいない事を知って俺が18歳になるまでは経済の面で保証すると約束してくれたんだ。その頃が…だいたい、8歳か9歳頃だったよ。それからの俺は親を殺したモンスターを全滅させようと心に近い、魔王バラモスを殺すため修行に明け暮れた。15歳になった俺はバラモスを倒すために世界を旅するようになった。旅の途中で後に伝説の勇者と言われるアベルに出会ったんだ。俺はその時はモンスターを手当たりしだいに殺していた。今思えば残酷な事をしていたいよ。だけど、その俺にアベルは

『殺さなくてはいけないのは悪の根源バラモスだけだ。』

と言ったんだ。俺はいままでの自分が情けないと思ったよ。俺がやっていたのはモンスターを全滅させて平和な世界を作る事じゃなくて、両親がモンスターに殺された時に何もできなかった自分への悔しさを弱いモンスターにあたってただけだった…ただの八つ当たりだったのさ・・それにアベルは気付かせてくれた。そして、バラモスを倒すためにアベルと共に旅をする事になったんだ。その旅の途中でもいろんな奴に出会ってパーティーを組んだ。最終的には、勇者アベル、小柄ながら剣の腕は達人でいつもムードメーカーだった戦士ディアス、ずる賢い性格をしていたけど呪文はすべて覚えていた賢者フィリス…そして、俺だ。

俺達は旅を続けいよいよ、バラモス城まで辿り着き、旅は最終局面まで進んだ…

……「少し話を切ろうか、長く話してもつまらないだろう。」

セルジが話を一度切った。

「飲み物でも飲んで少し一休みしよう。」

セルジはコーヒーをもらいに、宿屋のお上さんの所へと行った。…その間ロビンはセルジの話を頭の中でまとめていた。セルジが伝説の勇者と一緒に旅をしていたのは流石にビックリした。この後バラモスが死んだのはわかっているが伝説の勇者がどうなったのか、ディアスやフィリスはどこに行ったのか、それが気になる所だが、その事よりも自分の過去を話しているセルジが苦しんでるように感じて仕方なかった。この後に想像もできない事が起きたんだと、ロビンは感じていた…

 

    


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