ロビンがコーヒーとジュースを一つずつ持って戻ってきた。それをテーブルに置きコーヒーを一口飲みとまた、話を進めた。
「バラモスの強さは想像を絶する強さだったよ。戦いの途中何度、逃げ出したくなったか…だけど、世界の平和のためそして、自分が生まれ変わるために俺は戦った。戦闘の途中…ディアスが最初に死んだ…そして、フィリスが死んでいった…」
セルジは少し泣いていた。つらい過去を久々に思い出したのだ。
「…もう、いいよ。おじさん。そこまでわかったらもう十分だから…」
「いや…聞いてくれ…」
「なんとか、二人でバラモスを倒す事ができた。だけど、アベルはもう死にそうだった。倒した時にはもう二人ともMPを使い切っていて治療もできない。町に行く為の手段もない。俺はアベルを引きずりながら歩いた。俺も体がボロボロだった。だけど、自分を変えてくれたアベルを死なせないと言う事をきかない体をひきづりながらも一歩…一歩…歩き続けた。だけど、ダメだった…町にたどりつく前にアベルは死んでしまった…アベルは死ぬ前に俺にこう言った。『セルジ、両親の敵が取れてよかったな。これからは自分のために生きろ。強く、強く生きろ』って言ったんだ。そして、ゆっくりと目を閉じていった。
…それから、俺はアリアハンに戻り旅の報告をした。そして、王には俺がバラモスを倒したパーティーの一員だと国民には言わないように頼み、傷を癒してすぐにバラモス城に出かけた。
「バラモス城に?何しに行ったの?」
「三人の墓作りと三人の遺品をとりに行ったんだよ。三人の遺体を土に埋め『魔王バラモスを倒し世界を平和にした勇者アベルとアベルともに世界を平和に導いた剣士ディアス、大賢者フィリスここに眠る』という文を木の板に書いて建てた。そして、俺はひっそりと井戸で暮らすようになった。そして、店を出したってわけだ。…これが俺の過去の全てだ。満足してくれたかな?」
「ゴメンネ…セルジ…嫌な事思い出させちゃって…」
「いいんだよ。ロビンにはいつか言おうと思ってたんだ。最初にも言ったけどこれは絶対に内緒だよ。誰かにばれて俺が褒め称えられるのが嫌だからね。そうなったら、アベルに対して申し訳ないよ。俺はただ運良く生きただけだ。褒め称えられなくてはいけないのは絶対アベルだからね。…あの時アベルが生きて、俺が死ねばよかったんだよ…」
「それは違うよ!!!」
ロビンが大声で泣きながらセルジに言った。
「セルジおじさんが死んじゃったら僕はどうなってたのさ…おじさんに出会えたから今幸せに生きていけるんだよ…それに、勇者アベルがセルジおじさんを生かしてくれたんじゃない!なら、勇者アベルが言ったように強く強く生きなきゃダメだよ!」
「…そうだな…ロビンのいうとおりだ。アベルからもらった人生はアベルに恩返しするために一所懸命生きなきゃダメだな…今俺ができることを精一杯やらなきゃな!な〜ロビン俺には夢があるんだ。聞いてくれるかい?」
「どんな夢?」
ロビンは涙をふきながら聞いた。
「俺は国を作りたいんだ。今あるように国じゃないぞ。人々が平等な地位で共存できる国で、差別もなくみんな平和に暮らせる国を俺は作りたいんだ。ロビンも手伝ってくれるかい?」
ロビンは涙をふいて
「うん。もちろんだよ。」
と、輝いた笑顔を見せてくれた。こうして、セルジ、ロビン、スラキチの再出発が始まった。
セルジが夢としてあげた「人々が平等な地位で共存できる国」この夢を達成するためには過酷な努力が必要である。ただ、セルジは今強く生きようとしている。…そう、死んでいった者が生かした者に望んでいるのは復讐でも自分の名誉を守らせる事でもない。生かした者のその後の幸せである。強く、強く生き幸せになってほしいという願っているのである。人は人生の中で何度も出会いと別れを繰り返す。そして、成長していく。これまでのセルジやロビンがそうであったように。これからも数多くの出会いと別れが彼らには待っているのだ。
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